16_ラストワルツ

昔から泣き虫と呼ばれるくらいにはよく泣く。
今でもそれは変わらないみたい。とにかく泣く。

「泣くな」と久しぶりに言われたので「なんで泣くんだっけ?」と思った。

こうやって文章を書いたり、プレゼンを難なくこなしたりするから
あまりそうは見えないのだけれども、私はとにかく「言葉が苦手」。
読書量や論文を書いたり企画書をまとめることで練習は多くしてきたから
時間をかければ言葉にすることもできるようになった。
だけど会話で紡ぐ言葉にはたぶん人より限界がくるのが早い。

そりゃそうだろ。じゃなきゃ、絵なんてそもそも描かないよ。

喜怒哀楽がどうにも抑えられなくなったのに他の表現ができないから泣くんだよ。

以前、まったく泣けなくなった時期があった。
当時の絵を見ると本当にただのホラーだったりする。
それは自分の中の恐怖も不安も全部どうやっても出て行かなかったから
絵にするしかなかったんだと今になると思う。

最近「怖い絵を描いたらすごそう」ということを言われた。

この「ばけもの」という作品を見た方から
精神的な「怖さ」を表現したらすごくハマりそうと、、、

あっ、って思ったよね。
あの泣けなかった日々の絵はまさにその「怖い絵」だと思う。
まだ自分の中に眠らせて発散しきれない感情の一部ではあるなとも思う。

怖い絵も挑戦しようと思ってるけど、人が幸せになる絵の方が描きたいから
できれば不安や悲しさは泣くことで終わらせてしまいたい。

泣くのは表現だ、なんて高尚な言い方はしない。
私の中では、言葉よりも思考が、思考よりも感情が、猛スピードで走っていて
どこかでいつも何かが追いつかなくなってしまう。
追いつかなくなった分を涙で吐き出しているみたいなことなんだ。

泣いた残りカスみたいなものがたくさん溜まっていくと絵になるんじゃないかな。
泣かないで溜めて「ばけもの」みたいな怖い絵も描いちゃったね。

少なくとも私が誰かの前で泣くのはね、
その人が「たくさんのことを感じさせてくれる」からなんだよ。
もらうものが「喜怒哀楽」どの方向でも大きすぎて
自分の感情に、思考も言葉もぜんぜん追いつかなくなってしまってる
そういうことなんだよ。


「ラストワルツ」


読んでくれてありがとう!心に何か残ったら、こいつにコーヒー奢ってやろう…!的な感じで、よろしくお願いしま〜す。