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「みんなのミュシャ」に行ってきました

こんばんは。イラストを描く仕事をしているつかはらです。

先日Bunkamuraミュージアムで開催されている「みんなのミュシャ」展に行ってきました。
こちら先に見ていた情報では
「ミュシャの絵画を紐解きつつ、後世に与えた影響を紹介する」
という展示という印象を持っていました。

行って見て感じたのは後世に与えた影響の紹介もさることながら
ミュシャ自身の受けた影響が細かく紹介され、そこがとても興味深かったです。
出身地や民族意識の紹介、宗教、様々な文化との交流、見ていた資料などがあり
何を見てそれが作品につながっていったのかを想像するのはあまりに楽しかった。

ミュシャの置かれた経済状況とそれを打開するために始めた仕事
そこから知名度を得て、作品を重ねて行く様子。

生涯を追う展示ではなかったので、
今回は一躍有名になったサラベルナールとの制作後はさらっと触れていた程度。

今回の展示は、
ミュシャが後世に与えた【様式】を確立するまでに
何を見て、何を得て(失って)、何を仕事にして、その絵を描くに至ったのか
その上でミュシャを見た後世の作家たちがどこに惹かれ何を作ったのか
この2つの点について丁寧に語られ、
ひとつの絵画史としての「ミュシャ」を見ることができました。

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個人的な感想を以下につらつらと。

ミュシャがあの挿絵やポスターなどの画業を始める前から
「スラヴ」を取り巻く環境を絵画から訴えようという気持ちがあったということ。
そのキャプションを読んだ時にとてもうれしくなりました。
仕事として受ける絵の前にその大志があり、そして晩年の「スラヴ叙事詩」につながって行く。。。
それは本当に私があこがれる画業としての道そのものです。

やりたい制作のために「絵」の仕事で自分の身を立てて行くこと。

また雑誌などの「表紙」の絵を多く制作したことが
いわゆる「Q型様式」につながったのではなかろうか?と想像するのが
おもしろかった(興味深い方の意味で)です。
なぜなら、背表紙の位置によって構図がある程度決まってしまいやすく
そのバランスをとっていくと文字位置、絵のダイナミズムを考えた時
絵を追う視線が左上から右下に流れた方が自然に見えるんですよね。

そうなると自然に中央上に書かれた円形から右下にモチーフが流れて行く構図
つまり「Q型様式」になるのは自然な流れだったのでは?と思ってしまいました。

それから素描でも影を多く描きこんでコントラストをつけるのではなく
必ず「白」でハイライトを入れて行く描きかたをしていました。
途中のキャプションかオーディオで説明がありましたが「印刷」を意識した
描きかたということでした。

「Q型様式」にしても「白」による表現にしても
挿絵・表紙・ポスターなど「印刷」でいかに映えるかを考えて描いていた。
それが「様式」となるまで考え抜いていたということなのでしょう。
そりゃマンガやイラストに多大な影響残すわけだ。

仕事で描いたものが自分の作家性に多分に影響を及ぼすということは
すごく理解できるし、だからこそ絵で稼いで行くことに意味があるとも思います。

「仕事」が残り、そのおかげで「伝えたい作品」が残る。

そういう意味で「ミュシャ」は私のあこがれるアーティストです。

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