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海外アーティストを日本で見えなくなる日はそう遠くないかも…

フェスに出る洋楽アーティストが物足りなくなってきた。それは自分の好みが2000年代のラウド系ミュージックを求めているせいもあるかもしれないし、最近の洋楽を全然聞かなくなった。聞くのは昔から好きなMUSEの新作ぐらいといった新しいものが耳に入ってこなくなったせいもあるかもしれない。

それを考えると、フジの最初はアツかった。97年のレッチリに始まり、98年のKORN、01年のシステム・オブ・ア・ダウンなど自分の好きなバンドばかりの揃っていた。

ただ、このとき僕は中学・高校生。高知の田舎に住んでいたのでそんなカッコいいバンドがあることを知りもしなかったし、フジロックというフェスがあるのも知らなかった。
僕の周りでは音楽好きはいても、「フジロック」という単語が出てきたことが一度もなかった。それぐらい田舎だった。

だから高校卒業後、東京に出てきてフジロックというフェスがあり、そこにレッチリやKORN、システムが出てたという話を聞いたときは心底行きたくて悔しい思いをした。

特にシステム・オブ・ア・ダウンはそのフジを最後に日本に来てはいない。レッチリやKORN、レイジ・アゲインスト・ザ・マシーン、リンプビズキットは運良く見ることが出来たのは今でも本当によかったと思う。

特にThe Prodigyは、キースの急逝もあり本当に悲しい思いをしたが、2009年の幕張メッセでのライブを見ることができたし、またそのライブが人生で3本の指に入るほど最高のライブだった。


話を戻そう。そんないわゆるラウド系と呼ばれるバンドが好きな自分からすると、最近のフェスで見たいと思わせてくれるような海外アーティストはいなかった。今年のサマソニに出るレッチリは見たいと思ったが、気づいたときにはチケットはソールドアウトしていた。だが、それだけだ。


でもこの僕の思いはあながち間違ってはいないようだ。6月12日にローリングストーンのネット記事で「フジロック×サマソニ運営対談 フェスと洋楽文化を支える両者のリアルな本音」が公開された。

そこでは、担当者だから話せる、海外アーティストのリアルな話が掲載されている。

「海外で売れてるけど日本には呼べない」というケースが、ここ5年で顕著に増えていて。そうなると、人気の格差はますます開いてしまうし、本当に呼ぶチャンスがなくなってしまう。

ここでいう人気の格差というのは、国内アーティストと海外アーティストを比較していっている。最近では海外アーティストを呼んでもソールドアウトにすることができず、邦楽フェスの方が盛り上がってきているらしい。これはこれで喜ばしいことなのだが、仕事として高いギャラを払って海外アーティストに来てもらっている立場からのポジショントークでいうと、こう言ってしまうのも充分に理解はできる。

特にこの高いギャラについても言及されている。

日本経済の低迷もあって、こちらとしては最大限のギャラを提示しても「安い」と言われ、シンガポールの大きなフェスとか、中国のお金持ちが主催する個人イベントに取られてしまう。昔はアジアといえば日本が一番で、なんとしても来たがるアーティストが後を絶たなかったのに、すっかりポジションが変わってしまった。

中国やシンガポール、そしてインドと経済が発展していき、かつてや世界でもトップに入る日本の経済はどんどん落ちていっているのが分かる。これは他の国が伸びてきたのもあるが、日本の経済低迷が続いているのも事実だ。


洋楽フェス、邦楽フェスと分けてしまうのは正直ナンセンスな気持ちもあるし、そこは別に戦わなくてもいい気はするが、お客さんが見たいと思っている海外アーティストが呼べなくなってきているのも事実。それは「ギャラが高額」という問題と、「チケットが売れない」という2つの問題がある。
ギャラが高額なことに関しては、チケットを高くしてもソールドアウトになれば出すことはできると思う。

問題なのはチケットが売れないことだ。その理由として考えられるのは、2000年前後と比べて音楽の売り上げが明らかに落ちてしまっていることだ。当時は国内アーティストで100万枚を超えることは年間通して何度もあった。しかし、いまは10万枚売ることさえも難しい。
当時はあちこちにあったCDショップもどんどんなくなった。HMVやタワレコといった海外資本の会社は倒産や撤退が余儀なくされていった。

何より身近に感じるのは、昔は当然のようにあったCDラックをもう見かけることはなくなったことだ。家具屋には当然あったし、どこの家にも必ずあって、友達の家にお邪魔したときはその人がどんな音楽を聴いているのか、一番に確認したことを覚えている。

「このバンド好きなんだ!この曲いいよね!」

といった話で盛り上がったり、自分の知らない音楽を教えてもらい、どんどん自分の音楽の幅を広げていった。
そういった意味でもあの時代はみんな音楽に貪欲だったといえる。勘違いしてほしくないのが、今が悪いといっているわけではない。CDからダウンロード、サブスクリプションに変わりSpotifyやiTunesでなんでも聞けるようになったことでいえば聞きたい音楽をわざわざ買いに行かなくてもその場ですぐに聞けるようになったのは凄く良くなった。

そうであっても音楽に対する貪欲さ、能動的に動いているかというと当時に比べて少なくなってしまった。知らないバンドが手書きのポップによってプッシュされてたときに聞くワクワク感を楽しみにCDショップに行くようなことはもうなくなってしまった。ジャケ買いといった言葉ももう聞かなくなってしまった。

生活の一部で聞きたい音楽がいつでも聞ける状態になったいま、新しい音楽を自ら探し出すということはだんだんと行われなくなっていき、その結果音楽の売り上げが落ちてしまった。

音楽は売れなくてもフェスやライブに行く人が増えたというデータももちろんある。ただ、それはフェスや一部のアーティストに偏った結果であり、接触機会が少なくなってしまった海外アーティストのチケットは売れなくなってきている。


海外アーティストのチケットが売れない
  ↓
高額なギャラが支払えなくなる
  ↓
有名な海外アーティストを呼ぶことができない


といった負の連鎖である。
すべては繋がっている。接触回数が多い国内アーティストと違い、海外アーティストではそれは難しい。本来ならプッシュするためにレコード会社の人が頑張るところだろうが、音楽自体売れなくなってきているいま、そんな金銭的な余裕はもうなくなっているのだろう。


自分の好きな海外アーティストを見るには、海外に行って見に行くのが当然の時代になっていくのではないか。LCCの飛行機チケット、ホテル込みのツアーパックの販売などをレコード会社が旅行代理店と組んで売り出す日もそう遠くないように感じる。

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