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2010年当時考えたECの在り方とかのメモ

2010年。まだ前職時代に、僕が投げたメールらしい。社員の子が保存してくれてた。自分でもそんなメールを書いたことなどすっかり忘れてた。

当時、僕は、いわゆる「WEBソリューション」の仕事をしていた。お客さんからWEBやネットに関しての悩みをお聞きして、その解決案を提案して、実行までやる。多かったのは、ネットのWEB活用というか、モノを売る、サービスを提供する、サポートする、みたいなのをサイトの位置づけから考えて、設計して、立ち上げやリニューアルをやることだったけど、この頃はECの相談が増えてきてる時だった。

楽天に出店しているお店が皆、そうだというわけではないのだけれど、当時はとにかく楽天の店舗では「売りを煽る」ような、そういう店舗が売り上げを伸ばしてたりして話題になってた。そういうやり方をすると、売れる、ということで、それがある種のノウハウみたいに語られたりしていた。

そういう状況が背景にある中、自分たちはどんなポリシーをもって、どんなサイトづくりをお手伝いするべきなのかを考えようとしてたのが、この文章だ。相変わらずとりとめもない文章ではあるけど、当時、考えてたことは、今、自身が商品を売る側の人間になっても、あまり変わってないなとは思う。

(ただ・・・うちの楽天店舗は、どうもここで書いたような、「説得臭」と「欲求喚起臭」しか漂ってこないようなサイトになってるような気がして、これはいかんなぁと思ってたりもします。)

※固有名詞なども入ってたりしたので、一部、文章は変えてます。

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ふと立ち止まって見て、自分がどういうところで、どういう人から、どういう店からモノを買いたいのか、リアルの場では、どんなことを考えてモノを買ってるのかということを振り返ってみたら、多くの楽天の店舗がやってるような、優秀店舗と言われるような店が徹底してるような、あんな、とにかく人を無理矢理にでも説得してやろう、買う気にさせてやろう、という気満々の店を選んだりしてない、ということに気づく。たまにそんな店で衝動的に買うことはあるかもしれないけど、長く付き合いたいとは絶対に思わない。

でも、ネットのマーケティングの世界では、なぜか、楽天的なああいう商売が王道というか主流のように勘違いしてしまいがちだったりする。でも決してそうではない。というか、それが王道になっちゃったら、この世界はどんなに寂しいものになるだろうか。

リアルのお店が、みんな楽天に出店している店舗みたいに、リスト集めに躍起になってたり、商品そのものの魅力を理解してもらうことや、お客さんとの長期的な関係を築いていくことよりも、とにかく買わせよう買わせようとしてたりするような処ばかりなら、それこそモノなんて買いたくなくなってしまうかもしれない。

そんな世界はあまりにもつまらないし、さもしいじゃないか。そんなところばかりで買物をしたいか。自分がそんなお店づくりの支援をしたいか?と問われれば、そんなの絶対したくない。それが売れるとか成果が出るとか、そういうことを差し置いても、そんな社会や世界をつくりたいと思ってるのか。全然そんな気はない。

でも、最近は、ついつい「より多く売る」というところで、お客さんを欺くような詐欺的なテクニックだとか、説得法とか、そういうものが先立ちすぎてる。プロモーションのテクニックだとか、ランディングページのテクニック、どんな色でどんな動きをさせたら反応するかとか、利用者を買う気にさせるには、まずは、こういう要素をもってきて、次にこういう要素。最後のダメ押しはこうとか。テクニックが悪いとは思わないけど、それしかない世界、そればかりの店舗なんてあまりにもつまらない。

そういえば、自分の経験に照らしても、楽天ではいくつも商品は買ってるけど、どの店で買ったかなんて覚えてるところは殆どない。
たまに、2回目買ったりする店も、その店自身に愛着があるわけでもなく、メールマガジンの購読停止忘れで届いたメールで、たまたまかなりお得そうに見える商品があって、衝動的に買ってしまうとか、そういうものばかりだ。お店に愛着なんて一切ないし、その商品を買うことが、自分や周りや世界にとって、どういうことなのかなんて考えることもない。考える暇さえなく、欲求を刺激されて「買わされ」ている。「楽天的」な店(楽天に出店してるしてないに関わらず)での消費体験、購入体験というのは、実に貧弱というか。これは正しい世界のあり方か? こんな世界を作ることに加担して意味があるのか?

つい数週間前にあるECサイトの提案をしたけど、そこでもボクは「楽天に出店しましょう」ということを語った。独自店舗作っても、集客も大変だし、なかなか売れない。買いたい人が集まってる楽天に出店して、こういう商品で、こういうプロモーションしかけて、リスト集めたら、こういうフォローしていって.... みたいな提案をしたのだけど、よくよく考えたら、この提案には、そのお店のブランドをどう伝えていくのか、お客さんとどんな関係をつくっていくのか、商品の良さをどのように伝えていくのか(売り込みではなく)、という視点が決定的に欠けていたということに気づいた。

このプレは、現場の人達にはひじょーにウケが良くて、僕はほぼ決まると思ってたのだけど、最終の社長のところでダメになった。担当の人は、価格面で最終社長が決めたので覆せなかった、みたいなことをおっしゃってたけど、もしかすると、社長には、このプレゼンは、単に、モノをどうやったら多く売れるかという視点しかなく、そこにブランドのことや理念やポリシーみたいなことが考えられてないじゃないかというところに不満があったのかもしれないなと、ふと思った。

ECサイトにとって、売れるか売れないかは死活問題だろうし、それが大事なことには変りないけれど、そのためにテクニックやら手法やらだけが先行していって、結果的に「説得臭」と「欲求喚起臭」しか漂ってこないような「ザ・資本主義」的サイトを作るなんてのはサイテーなことなのかもしれない。それで売れればいい、というような店舗の仕事なんてする必要はないじゃないか。

「良いものは必ず売れる」なんていう生ぬるい考えを信じてはいないけれど、たぶん、「ザ・資本主義」的サイトに嫌気がさしてる人も少なくはないだろうし、本当に良いものをきちんと伝えようとしている人の言葉は、おそらくネットでは伝わっていくだろう。

少なくとも、ボク(ら)が手掛けるサイトは、人とモノや社会との関係にとって、ほんの少しでも心が豊かになったり、気持ち良くなったりするものでありたい。その商品やサービスが必要な人にきちんと届き、その人の生活がハッピーなものになるようなもの。モノを探したり、買うという行為そのものが、単なる衝動や欲求をコントロールしたりするものではなく、きちんとうれしいとか、楽しいとか、役立ってるとか、そういう良い感情へ繋がるものでなければならない。これは売れるとか売れないとかの前に、根本的なポリシーとして確認しておかなければならないものなのではないか。

仕事になれば、金になれば何でもいいなんて気持ちはさらさらなくて、とにかく、自分たちと同じ視座にたって、自分たちの考えに共感してくれるところと仕事がしたい。予算があるとか、企業規模とか、ブランドとか、そんなのはどうでも良くて、良いこと、正しいことをパートナーとしてやっていけるところと仕事がしたいと真剣に思う。

自分たちがどんなポリシーを持っているのか、どんな理念を持って仕事に取り組んでいるのか表明する。こういう仕事はやらない、とか、ボクらは、こう考えるみたいな、価値をしっかり持つことは、お客さんを選ぶことになるし、また、お客さんに選ばれることにもなるのだと思う。

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