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5月歌会報告

5月27日に開催された九州五行歌会の例会報告です。
いつもよりやや少なめの8人の参加、欠席歌が5首も出ていました。
みんな本当は参加したいんですよね……。

では早速上位歌のご紹介。
稲本さんのご褒美画像で1席歌をどうぞ。

はい、わたくしめの歌でした。
美しい芍薬の花に乗せていただいた歌は、人に何かを伝える場合のことを考えて出来ました。
五行歌に限りませんが言葉を使う表現然り、人との日常会話然りです。
「一滴」がミソだと思っています。
何滴も虚構を垂らしてしまうと、もうそれは真実から遠く離れたものに変わってしまいますから。
ことに詩歌などでは、必ずしも実際のことだけを言わなくても、何か小道具的に本当にはなかったものを入れることで、作品が印象深くなるということはあると思っています。
デフォルメ、フィクションなども効果的に使っていいのでは?と思います。
伝えたいことがよりたしかに伝わるのなら。

では、2席と3席の歌です。

2席、甲斐原歌。
背中そのものにはもちろん勝ち負けはありません。
ただ背中に現れることはよくあります。
スポーツで勝敗が決まった時の勝者の背中、敗者の背中はもちろん、人生の様々な局面で勝ち負けがついてしまうことがある。
その時その人の背中は物言わず語ってしまうのかもしれません。
出だしの掴み、最後の「はっきりと」のダメ押しが効いています。

3席、紫野歌。
蝶に託して心情も詠みこんでいると私は思います。
「夕べ」と「二頭の蝶」から男女のことを詠っている官能歌だと思う、というコメントも出ました。
言葉を削ぎ落として印象的な風景描写をしているだけなのに、奥深いものを感じさせるあたり流石です。
作者曰く、本当は蛾を見たのだそうです。「鱗粉」という言葉のもつ力もすごいけれど、蛾の鱗粉ではちょっと……かもしれませんね。

今月はどの歌も点を入れたいような秀作揃いでした。
たまたま今はこれを選ぶけど、明日だったらまた違う配点になっていたかもしれない、と思いながら悩んで採点しました。そのくらい全ての歌が良かったのです。
欠席歌もまた遜色なくて、本当はプリントをそのまま載せて全てご紹介したいくらいです。
……が、全部読めるのは歌会に参加する者の特権ということにしておきます。
是非一度、遊びに来てください!

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