【2019.08.25少し追記&修正】同人誌の相場と適正価格

※予め。以下の文章は全て個人の見解で個人の意見です。(当方、小説を書くので、自費出版などの『本』を意識した文章になってしまっています。グッズ等をメインで取り扱っている方は脳内で置き換えてお読みください)

※2019.08.25→同人誌は『頒布』になるので、一部表現を頒布に合わせて修正しました。あまり大きな変更はありません。(商品→作品にしたくらいです)

同人誌の価格設定で「相場に頼らず適正価格で」と言われることがあるが、じゃあ何故『相場』があるのか?

今回はその話をしたいと思います。

日本語は言葉の意味が変わる。昔と今じゃ使い方が違う言葉もゼロじゃない。
でも、広く使われている言葉の意味を考えてみると分かりやすいものもある。

『相場』とは、わかりやすい表現に変えるなら『世間一般の評価』であり、『大体「妥当だ」と言われる金額』のこと。

相場(そうば)の意味や使い方 Weblio辞書
https://www.weblio.jp/content/%E7%9B%B8%E5%A0%B4


既に自分の価値を知っている人には不要である相場だけれど、まだ自分の価値を知らない人には参考になる。そのため、相場は今後もなくならないと思う。

同人誌の販売と頒布の話にも関係しているが、『頒布』なら相場はあまり関係がない。利益を求めないので、よほど制作費が高くなければ大体どこも同じような値段になるはず。

『販売』をする人で、自分の作品の値段の付け方を知らないなら、相場を『ある程度』参考にした方が良いこともある。

何故なら、世の中に出ている作品は、制作費だけではなく、利益の出し方も割合も価格もみんなバラバラ故に価格の付け方に戸惑うから。

【手作り故に制作費は安いが手間暇をかけて自分自身で納得の行く作品を創りあげたい】のか、【制作費は高くなるが商業誌そっくりに作り上げたい、または自分の理想の作品をプロに委託して作りたい】のか、という違いはあれど、作品に対する想いは同じくらい強い。

同じくらいの利益を得る場合、どちらが高くなるか?
もちろん、制作費が高い方が高くなる。

これは例えなので計算としては正しくはないけれど、【60pで手作りで見た目も中身も悪くない300円】と、【中身が300円と同じだけど商業誌そっくりな900円】なら、どちらが手に取りやすいだろうか?

予算の都合や買い手のこだわりもあるだろうが、『安い方』が手に取りやすいのではないだろうか?

逆に、多少利益は下がるものの、【中身は300円と同じだけど、商業誌そっくりな本が500円】だとしたらどうだろう?

今度は商業誌そっくりな500円の方が手に取りやすいのではないだろうか?

この『手に取りやすい』金額が顧客が納得する価格であり、相場なのではないだろうか?

ここで面倒な話になってきます。

【相場とは『ふわふわしたもの』であり、確実な指針ではない】ということにお気づきだろうか?

人によって違う価値観で、大体の人が選ぶだろう価格が『相場』となっているだけだ。決して『適正価格』ではない。

つまり、【相場が必ずしも正しいというわけではない】ということ。

『間違いではない』あたり、個人的にはとても面倒な話だと思っています。

では、適正価格とは何だろう?

言葉通り、『作品に対して適正な価格(価値)』です。

じゃあ、作品に対して適正な価格(価値)をつけるのは誰だろう?

売り手か?【否】
答えは【買い手】です。

じゃあ、買い手が必ずしも作品の価値を適切に判断してくれるか?

答えは【否】
当然『安く買えるならその方がより良い』ので、少し安くつける可能性が否定できないから。

【人が決める価値に正解はない】

これもまたひとつの答えです。

「じゃあ、決められないじゃないか!」と悩んでしまいますよね。だから面倒なんです。

でも、ちょっと落ち着いてほしいんだけど、経費と利益を含めて価格を決めたとき「この価格は高すぎる(安すぎる)」と感じたことがないだろうか? 直感で問題はないです。その直感こそがひとつの目安なので。

つまり、今言ったような目安も含めて、様々な目安を参考にすることで、自分も周りも納得のいく価格をつけることができるというわけです。

★『相場より高過ぎたら売れにくいから、経費を削減するか、質をかなり上げる』という目安

★『自分の直感で感じた価格』という目安

★あまりにも自分を卑下するようであれば、『他者に「どれくらい?」と聞いて得られた金額(聞く相手は公平を意識して可能であれば全く知らない第三者が望ましい)』という目安

様々な目安を元に、自分が納得するまで試行錯誤することで価格は付けることができます。

一番大切なのは『一度決めた価格はあまり上げたり下げたりしない方が良い』ということ。

下げる方は、高く買ってくれた人にも納得してくれる理由が必要になる。上げる方も、次から買う人が納得してくれる理由が必要になることを忘れてはいけません。

最初のうちは試行錯誤が必要になるので上げたり下げたりが発生しやすいのですが、一度でも売れた作品は誰もが納得のいく理由付けがない限り、上げ下げしないのが望ましいです。

(私自身も価格を下げるとき、理由付けを説明した上で、価格を下げる前に一人だけ買ってくれた人に何らかの還元をすることを約束しました。買ってくれた人は仲間であり同士でもあるため、連絡が取れる状況だったから使えた手だったというのもありますが、もし連絡が取れなかったとしても買ってくれた人に対して何らかの呼びかけをしていたと思います)

ただ、高すぎて全く売れないなら下げれば良いけれど、安すぎると一つの問題が生じます。

『安すぎるが故に他者の作品が売れなくなる』

これが、他者よりもクオリティが低くて誰もが納得のいくものなら良いけれど、『他者よりもクオリティが高いが自分が卑下しているために価格が低くて、誰もが納得のいくものではない』場合は、業界の衰退の要因にもなりかねない。

自信がないこと自体が悪いとは言わないけれど、自分に自信がないからと、自分の直感を価格の目安にするのは、やめることをオススメします。

では、価値を変動させないためにはどうしたら良いのだろうか?

イラストは用途やサイズなどの目安によって価値が決まるように、小説や漫画を含めた作品にも、計算式など自分も他人も納得しやすく、ブレる心配がない指針が必要になります。

一度ブレない指針を決めてしまえば、周りの意見に流される必要はなくなるから。

ブレない指針作りで困ったら、私流の計算式で良ければ参考にしてください。

キリ流の計算式
https://note.mu/yudukikiri/n/n0e7473bf43a9

もちろん、自分なりに価格表を作っても良いと思います。

答えは一つじゃないので、不安に思うことはありません。

※仕事の場合は、自身の技術レベルが上がり、クオリティが上がるにつれて価格は上がっていく必要があるので、歴とクオリティの両方の目安も視野に入れて、必要になったタイミングに合わせて値上げをしていこう。時給(作業時間)で計算するのはオススメしません。

あとは、中身勝負です。お互いに頑張ろう!

おまけ。表紙で劣等感を感じてしまう人へ。

え?
絵が描けなくて表紙が作れない?
絵師がいないし、お金もないから作れない?

商用無料のフォントと、同じく商用無料のフリー素材、表紙(もしくはフォントと素材)の色を拘れば、シンプルだけど、見た目がそれなりの表紙は作れるぞ。


※実際に発行した『金魚の水槽』の表紙。フリーフォントを使って文字だけの表紙の本もある。

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センスがない?
小説表紙で画像検索して、ちょっと参考にしよう。
意外となんとかなるよ!

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