見出し画像

YOASOBI、アニメ『葬送のフリーレン』OP「勇者」の感想と全体的な考察

ブログ内から2023/11/26の記事を転記、編集追加しています。

今頃ですが、アニメ『葬送のフリーレン』の主題歌「勇者」にハマって鬼リピし倒しています。
YOASOBIの曲はこれまでほとんど聴いたことがなくて、推しの子の主題歌「アイドル」もMVを見ながら一回聴いてみただけで、なんていうか…ここまで表現しちゃうんだ、みたいな感想を持ってしまって、それ以降は聴いていませんでした。

でもこの曲はアニメ『葬送のフリーレン』を何度か見た後に注目するようになったんですけど、本当にぴったりだなと思いました。

葬送のフリーレン - Wikipedia

あらすじの抜き書きーーーーーー
魔王を倒して王都に凱旋した勇者ヒンメル、僧侶ハイター、戦士アイゼン、魔法使いフリーレンら勇者パーティー4人は、10年間もの旅路を終えて感慨にふけっていたが、1000年は軽く生きる長命種のエルフであるフリーレンにとって、その旅はきわめて短いものであった。そして、50年に一度降るという「半世紀(エーラ)流星」を見た4人は、次回もそれを見る約束を交わしてパーティーを解散する。
50年後、すっかり年老いたヒンメルと再会したフリーレンは、ハイターやアイゼンとも連れ立って再び流星群を観賞する。まもなくヒンメルは亡くなるが、彼の葬儀でフリーレンは自分がヒンメルについて何も知らず、知ろうともしなかったことに気付いて涙する。その悲しみに困惑したフリーレンは、人間を知るためと魔法収集のために旅に出る。
ーーーーーーここまで
この曲を聴いて、泣きまくるくらい好きになっています。


感想と全体的な考察。
この曲で1番好きなのは、1番と2番の間奏コーラスの所です。
英語なので、色々検索してこちらのページから歌詞とその訳を抜き書きします。

yoasobiの勇者の間奏で流れるコーラスの歌詞は?日本語訳もチェック | koreano ナビ

抜き書きーーーーーー
And we begin,
right to the story Out to meet people in this journey So hurry up,
our chase will go on forever
Ever,
ever,ask for how long
*****
そして始めます
さあ、物語へ この旅で人々に会いに行きましょう
急いで
私たちの追跡は永遠に続きます
今まで、どれくらいの期間を尋ねますか
ーーーーーーここまで

コーラスの内容も重要と言えば重要なんですけど、聴いた感じや印象的なことを書くと、壮大なんだけどテンポも早いし、何となく不安を煽るような不穏な感じも受けました。なんとなくなんですけど、フリーレン自身でも気づいていないような焦燥感や後悔を表現しているように感じられたのです。

このコーラスは、1番の2番の間と2番の後に入っているんですけど、
1番の歌詞の最後
>今更だって 共に歩んだ旅路を辿れば
>そこに君は居なくとも きっと見つけられる

2番の歌詞の最後
>今更だって 振り返るとそこにはいつでも
>優しく微笑みかける 君がいるから

この2つの歌詞部分に共通するのは、君(ヒンメル)はもう居ないけど思い出の中にいる、ということなんですけど、このコーラスで

「でも実存に勝るものはない」

と、前の歌詞を否定しているというか覆している?ように思えました。フリーレン自身でも気づいていないような、“君(ヒンメル)はもう居ない”という事実と焦燥感、後悔を歌っているように感じられたのです。

実をいうなら、もっと早く、知ろうと思えば知ることができた時間っては冒険の後の50年分はあったんじゃないかと思う訳で…その時一緒にいなかったことの後悔かもしれないとも考えました。
やる余地はあったのにやらなかったっていう後悔が、1番キツいのではないかなと思いますしね。

英語の歌詞訳の『急いで』の部分も、フリーレンが(無意識のうちに)気に入ったというか縁のあった、人間の実存する時間は短い、ということを曲の全体的なテンポの速さで表しているような感じがしました。

そしてもう一つ好きな箇所があって、最後の歌詞の部分なんですが、

>新たな旅の始まりは 君が守り抜いた
>この地に 芽吹いた命と共に

この2行、テンポというのか言葉を音にはめている幅?っていうのか、それが前半と後半で急激に遅くなっているんですよね。
フェルンとシュタルクのことだと思うんですけど、実存している間にその人となりを知ることができる時間を意識して作れるようになれたということを表しているようだなと思いました。

もう一つ注目した部分としてシンバルの使い方があります。音楽はど素人なので聴き覚えの話になるんですが、「ジャーン」っていうあの音ってやっぱり目立つから何回も聴いていたら、だんだん(何でここに入っているんだろう?)ということが気になり始めてしまいました。
リズム的なものを言葉で表現するのは難しいのですが、できるだけ書いて行きます。

歌詞、抜き書きとプラスしたものーーーーーー
1番サビ
同じ途を選んだ* それだけだったはずなのに*
いつの間にかどうして

頬を*伝う*涙(なみ*だ*)の*理由(ワケ)をもっと
(ここの歌詞部分だけで5回も入っている)

知りたいんだ*
今更だって 共に歩んだ旅路を辿れば
そこに君は居なくとも きっと見つけられる

間奏コーラス
*And we begin,
right to the story Out to meet people in this journey So hurry up,
our chase will go on forever
Ever,
ever,ask for how long
ーーーーーーここまで
私が聴いた限りでは、シンバルの音が入っているのは*(米印)で記した辺りなんですけど、重要な位置に入っていると思われるのと前半に集中していて、後半にかけてはあまりなくて間を空けてコーラスの前でまた入っています。
これはコーラスを引き立てるためなのではないかなと考えました。

そして、2番サビでは

歌詞、抜き書きとプラスしたものーーーーーー
君の手を取った
あの日全て始まった*
くだらなくて 思わずふっと笑ってしまうような
ありふれた時間が今も眩しい

知りたいんだ*
今更だって 振り返ると(※)そこにはいつでも
(この部分だけドラムのリズムが早い)
優しく(※)微笑みかける 君がいるから

間奏コーラス
*And we begin,
right to the story Out to meet people in this journey So hurry up,
our chase will go on forever
Ever,
ever,ask for how long

*新たな旅の始まりは
君が守り抜いたこの地に
芽吹いた命と共に
ーーーーーーここまで

*と(※)の表示で分けたんですけど、それは控えめになっているけど入っているよなと思ったためです。
あとドラムのリズムが早くなっている部分とそのあとは遅くなって緩急をつけているのは、やはり間奏コーラスを引き立てるための意図があるからではないかと考えました。

つまり、間奏コーラスではあるけれどこの部分は「隠されたサビ」ではないかと考えたんですよね。
構成的にも、間奏コーラスの部分が重要であるという作りになっていると解釈しました。

ここまででバックミュージックの考察は終わりです。


次、最初私は主題歌をスルーしてたのに、注目するに至った理由を書いていきます。

実をいうと「フリーレン」のアニメは最初から見ていなくて、6話くらいから見始めたんですけど、9話の「断頭台のアウラ」の最後でボロ泣きしまして。
あの回って魔族を倒すために、魔力の制限をして魔族を欺くためにフリーレンが長い時間と労力をかけてきて、それが報われる一瞬じゃないですか。

それが最終回とかでも物語のヤマ場として描かれている訳ではなく、過ぎていく時間の一つとして淡々に描かれているのが「フリーレン」の凄いところだなと思うんですけど、その奥に隠された多分フリーレン自身も気づいていない思いとか、先生と話している時のフリーレンの後ろ姿で感じてしまったりしてて、それを見ていて何か他に見逃していることがあるのではないか?と無意識に思って、主題歌に注目したのかな…と考えたりしました。

この考察をしてから、フリーレン一巻のこのワンシーン、

漫画「葬送のフリーレン1巻」より
漫画「葬送のフリーレン」1巻より

このフェルンの言葉が(無意識だとしても)どれほどの深い痛みとして、フリーレンに突き刺さったのかということを考えると、涙が止まらなくなってしまうんですよね。
フリーレンがエルフだからってのもあるけど、めちゃくちゃ淡々としているので、

漫画「葬送のフリーレン」1巻より

ここのシーンもただヒンメルのことをきっかけにして、永久の時を生きるエルフが人間に興味を持っただけにしか受け取れませんでした。

今回YOASOBIを色々調べていて“書いてあることを曲にしているだけじゃん”とかいう意見も見たんですけど…、書いてあっても読めてないじゃんって思ったんですよね。
私は読めてなかったので、この「勇者」という曲で気づかなかったことを気づかせてもらって本当に感謝だなと思いました。

記事は以上です。
ここまで読んで頂いてありがとうございました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?