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ウチの叔母って😥 : 青ブラ文学部


静寂を破る放屁の音が部屋中に響きわたった。

しかもだ。
「ぶぅぅぅ」
とかじゃなくて、
「ぶびっ ふびっ ぶびっ」
と、歩くたびに漏れ聞こえるその音。

「一回で済ませや😥」
と、内心思ったのだけれど、
口には出せない。

今日は、
従姉妹の結婚相手が初めてやって来た日なのだから。

従姉妹の結婚相手をそっと見ると、真面目な顔で固まっている。
叔父の顔を見ると、結婚相手に負けないくらい真剣な顔で、湯呑みを見つめている。

「なんで、笑わずに固まれるんだ?」
と、口には出さずにつっこんでしまう。


その音は、
叔母が茶の間から台所に行く間、
ずっと続いていた。


従姉妹と言えば、赤らんだ顔を下に向け

…笑いを堪え、肩を振るわせている。

従姉妹もかなりの美人で中島美嘉風ではあるが、結婚相手も韓流スターの様な切れ長の目で端正な顔立ちだ。

この顔立ちで、放屁で笑ってしまうのはルール違反なのだろうか?

この空気の中、結婚相手は、従姉妹と結婚させて下さい…と、高い声で叔父に訴えた。

「声、裏返ってる?」
と、心の中でつっこむ。

しかも叔父がこれまた裏返った声で、
「君は、幸せに出来るのか?」
と言う。

従姉妹は再び、顔を下に向け肩を振るわせる。

どう見ても茶番だ。

結婚相手はまたもや裏返ったままの声で、有名企業の名前を言い、「苦労はさせません」と、言い放ったが、説得力に欠けていなくも無い。
結婚相手がブサイクならまだしも、韓流スターみたいな顔で、声を裏返したまま話すって…。

叔父の集中力は切れたらしく、
「ちょっと反論してみただけだ。充分行き遅れてるし、よろしく。」
と、従姉妹を叩き売り状態で結婚相手に渡すことにした様だ。

「えー! 顔がイケメンでも、こんな声裏返った奴にくれてやるのー?」
…なんて、私の意見は関係ない。

そしてまた、
急須にお湯を入れた叔母は、
ぶびっ ぶびっ ぶびっ
と、音を漏らしながら戻って来た。

「あー、なんかごめーん。
私、オナラ出る感覚わかんなくてぇ〜。」

もー、一体、なんの話してたか、わかんなくなるわ‼︎

おかしいのを我慢して、おかしいのを通り過ぎたら、叔母を冷たい目で見てしまったら、叔父も同じ思いらしく、叔母を冷たい目で見ていた。



恐ろしく、下らなくてごめんなさい💦💦

青ブラ文学部|山根あきら

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