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Cygames のコンテンツが Mildom で投稿・配信禁止になった件についての雑記

雑記ね、雑記。個人的な覚書ってこと。だから鵜呑みにしないでね。

Cygames のコンテンツが Mildom で投稿・配信禁止になった件。これ、めちゃくちゃ残念だなぁと思っていて。思ってはいるんですが、Cygames と Mildom どちらを擁護するってわけでもなく、配信者は可哀想だよなぁと感じています。

例えば Mildom が JASRAC と利用許諾契約を結んでいない件について、Mildom での配信はグレーって認識が広がるのは、まぁ間違ってはいないというか、Mildom 結んでねぇのかよ、駄目じゃん!と僕も思うわけです。

なんで JASRAC と契約していないといけないかっていうと、ゲームタイトルによっては作品内の楽曲管理を JASRAC に委託していて、その流れで配信のガイドラインも JASRAC のそれに準拠している、とかそういうところだと思います(要出典)。

ただ JASRAC は権利管理団体の一つであり、皆さんの知っている有名な楽曲、アニソンにも JASRAC が管理していないものが多数存在しているとは覚えておいて良い気がします。

そこら辺の面倒がないから、作曲者がオフボーカル音源配って推奨しているようなボカロ曲は「歌ってみた」文化と相性が良かったんだと思います。

んで翻ってゲーム実況の文化は元々イリーガルなところから立ち上がってます。ニコニコ動画でポケモン実況なんかが始まった当時は権利許諾なんて絶対にされていなかったと思います。

これは別に、じゃあ今もイリーガルな存在で良いよね!みたいな話ではありません。ゲーム実況は多くの場合グレーゾーンにあたる作品の二次利用です。Mildom がどうとかではなく、本来的に全ての配信プラットフォームで配信する全てのゲーム実況者は自分が配信する全てのゲームについて利用許諾を確認すべきなのです。だって誤った二次利用で権利侵害をする側になって責任を問われるのは貴方だから。自分の身は自分で守りましょう。

この世には数多くのゲームがあり、大半は JASRAC に準拠したガイドラインを敷いているわけでもなく、その開発者全員が全ての配信プラットフォームでゲーム実況してほしいと願っているわけではありません。ゲーム実況者が海外インディーゲームの実況をするとき、裏では「よぉ、メール読んだぜ。俺のゲームを実況してくれるんだって?日本のストリーマーが!?ワオ最高にクールだ、実況するときは見に行くから教えてくれよな」みたいなやり取りがあったに違いないと私は信じながら視聴しています。

さて、今まで書いてきた理屈は Mildom が権利関係を他の配信プラットフォームと同じ水準までクリアしていなかったことを擁護する理屈ではありません。ゲーム実況者についても日頃から権利関係については調査しておくべきです。んで Cygames の取った措置にもどうしても納得がいきません。

海外の状況を見てみましょう。昨年、人気ストリーマーの Ninja さんが配信プラットフォームを Twitch から Mixer に移ったことで大きな話題となりました。多額の金額が動いたのではないかという話も。以降、実況者の引き抜き合戦は大いに盛り上がっています。

動画内の記者に対して「これは私が自分のルーツに立ち返る良いチャンスだと思っていて、私がなぜストリーミングが大好きになったのか思い出させてくれます。」と語った。ちなみにNinja氏はかつて『Halo』シリーズを熱心に実況していた過去がある。

んでね、Ninja さんは元々『Halo』シリーズの実況をしていたんですって。Mixer も『Halo』シリーズも Microsoft が開発しています。

「Cygames社及びCyberZ社(OpenRec)の関係が主要因となり、交渉妥結には至りませんでした」(原文ママ)という Mildom の発表が本当だとしましょう。仮にね。Cygames はゲームの開発会社、OPENREC は Mildom と同じく配信プラットフォームです。Microsoft が同じことをしますか?「Halo シリーズの実況、Twitch では出来なくしちゃうよ~んw」って?するわけないじゃん。

人気ストリーマーは新しい時代のスターです。彼らと、彼らの視聴者が作り出す Hype は大いに価値がある。

それは熱狂だから、もし外側からその熱狂に値段をつけるなら途方も無い金額でなければいけない。だってそうでしょう?自分が見て感情を動かされて、周りも沸いてコメントが読みきれない速度で流れて、ただそこに興奮があることだけ伝わる。そんな熱狂に自分たちの想像できる範囲の値段がついたら?「月 30 万か、手堅いかもな。社会保険や税金を考えると結構せせこましい生活しないとな」みたいな?

そこには自分の想像が到底及ばない金額がつかないと。だから加藤純一さんに年 1 億の、スタンミさんに月 500 万以上のオファーが掛かったと聞いて我々はその法外な金額に驚くし、それを蹴るっていう判断にビビるし、つまりそれ以上の価値が、自分の想像が到底及ばない値段以上の価値が今自分が見ているこの配信にはあるのだと、そう信じることができる。

もちろんさぁ、Mildom に悪い印象を持つ人が多いのは知ってますよ。それが強引な引き抜き手法に対するものなのか、中国に対する保守的な悪感情なのか、中国資本にお金を握られることの経済的な脅威なのか、中国開発の部分もあるだろうアプリをインストールすることへの抵抗なのか、それがどのレイヤーでどういう情報に触れて抱いたものなのかは分からない。でも、本来的に値段の付けられない熱狂に対して理解の及ばない値段をつける、その心意気は評価しないといけない。

だって OPENREC にはそれがなかったってことだもん。引き抜きに対抗して、もっと良い条件(それは金額じゃなく、配信者にとってより良い配信を実現できる環境であって良い)を提示せず、コンテンツホルダーとして対応したこと。それってプラットフォーマーとしての敗北じゃん。仮にですけどね。「Cygames社及びCyberZ社(OpenRec)の関係が主要因」(原文ママ)だったんだとしたらね。

Mildom の発表が事実と異なったとしてもね、Mildom と OPENREC 両陣営にとってこれが良い結果に結びつくとは到底思えないんですわ。だって醒めるもん。OPENREC はサイバーエージェントグループの関連会社の 1 つだっていうどうしようもない現実を突きつけてくるし(そりゃそうなんだけど!)、Mildom のイメージは悪いし、そんなところで配信したいかしら。

んで「金に目が眩んだ配信者ざまぁ」みたいな発言が流れていくのが本当に悲しい。俺は自分が視聴して感情を揺さぶられる配信者には、より良い環境で配信を続けてほしい。金に目が眩んでほしい。それは迂闊かもしれないけど、もっと良い環境で配信したいって気持ちを忘れてほしくない。「契約書を確認しないほうが悪い」みたいな正論も必要ないじゃん。メジャーリーガーのエージェントみたいに四大事務所の弁護士が横で「御社の状況だと実況できるゲームに制限が……」云々言えば良いじゃん。お金が動くんだからさ、デカいお金が。そういう派手な世界を観たいんですよ。「ゲーム配信が金になる訳ねーだろ」じゃねーんですわ、なるわボケ。

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