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小さいおじさん〜その1〜




プロギャンブラー“マスクマン”。      



あれは、僕がまだ20歳の頃。

当時の僕は外出時はほとんどと言っていいくらい、常にマスクをしてた。

さらに髪は長く、前髪なんて言ったら特に長いのでいつも目元が隠れていました。
一見、明るく振舞っていたけれど、本当は人付き合いが大の苦手。


特技は”作り笑い"。
そんな20歳。

できることなら人と話したくない。
人と目が合いたくない。
それくらい、人と接することが苦手だった。だから常にマスクをして口元を隠し、前髪を長くして表情を隠していた。


そんな僕についていたアダ名は”マスクマン"。


あの頃、僕は毎日パチンコ屋へ通っていた。
こう言ったら変だけれど、プロギャンブラーとして毎日戦っていた。

“ギャンブラーって…そんな勝てるわけないじゃん”

そう思った方、、これが面白いことに勝てるんです。 


理由は1つ、簡単にいうと負けないようにしているから。


面白いもので、知れば知るだけ奥が深い。
確率論や統計学。
心理学や投資。
僕はギャンブルを等してそれを学び出したくらいです。

おそらく僕の今の基盤は間違いなく、学校ではなくパチンコ屋で育ててもらったといってもいい。 そして、自分が疑問に思ったことに対して仮説を立てて行動にして繰り返すうちに少しずついろんな結果が出る。


それが自分の自信となり、いつしか人を雇った方がもっと勝てると気づき、自分のチームを率いてあちこちのお店に出向いていました。
そして、どんどん一日あたりの収支も増えていった。

僕は自分の失敗(負ける)という経験から、なぜ負けたのか?それをめちゃくちゃ考えて次に同じことをしないようにしていた。
そして、負けの確率をいかに減らすか?いかに早く高設定(勝ちやすい機会の設定)を見抜けるか?を考え、"練習"するために実際にお店に置いてあるスロットマシーンを何台もを買い、ひたすら自分でデータを取り解析していた。

そんな積み重ねを繰り返しやっていくという作業をし、うまくいくという結果がでて自信となる。
やがてはこれは誰でも出来ることなんだと確信していました。


知らないうちに、「自分で決める」という大前提があって、仮説を立てて行動。また修正。この繰り返しで結果最後にはうまくいくことに気づきました。

これはあくまで僕のケース。
この"ギャンブル”というケースの共通点は読んでいる方にはわからないかも知れない。

けれど誰にでも自分をめちゃくちゃ信じて大丈夫なんじゃん!ということがある。
それが僕はたまたまのスロットマシーンだっただけの話。
でも、それすらも自分で気付けたわけでなく、"小さいおじさん"との会話で気付けたことだった。



小さいおじさんとの出会い


忘れもしない今から23年前のこと。
当時、ギャンブラーとして生活する傍ら、ネットワークビジネスをかじってやっていた。
ほとんどパチンコ屋ばかりだったが、たまにご飯に行ったりみんなであったりとする程度だった。そんな中にいたのが僕の出会った小さなおじさんだ。

その名の通り、背が小さい。
そして、なんだか知らないがいつもハイテンション。そして、いつもニコニコしてペコペコしている。それが最初のイメージだった。


でも気づけばいつも彼に僕は大切なことを教えられて来た。 そして、180度違う人生をいまは歩いている。



その日、僕はしっかりと一日のノルマとしていた金額を稼いでパチンコ屋を後にし、小さいおじさんや友人たちとご飯を食べていた。そして何気なく小さいおじさんが喋り出した。


小さいおじさん「ん〜。。やっぱあかん。
ほんまにさ〜、みんなもったいないわ。こんなに可能性が自分の中にあるのに全然それに気づいてへん。
もうみんな一番最初に人生の超難関を自分でクリアしてるのに忘れてしまってるわ。ほんで、今になって僕にはできないなって言って諦める選択してしまってる。」


どういうことだろう??何があったのだろう??
そう思っているとその表情を察したのか続けて箸もおかずに話し出した。


小さいおじさん
「あんな、誰が歩けるを教えてくれた?誰が自転車に乗れるを教えてくれた?いやいや、それ以前やわ。
生まれた時みんなゴロゴロしとっただけやろ?なのに今では当たり前のように歩いとる。
なんで急に自分で歩けると思ったん?赤ちゃんの時やでみんながそれ思ってたの。」


確かに言われてみればそうだ。

今では何も意識ぜずに無意識でできていることは赤ちゃんの頃から子供時代にもう乗り越えてきていることばかりだ。
でもなぜ僕は急に歩く練習をしようとおもたんだろう?全然記憶もなければわからない。
そんなことを考えている中、小さなおじさんはさらに続きを話してくれた。



小さいおじさん
「赤ちゃんのころの俺らなんて無知やん?世の中のことなんて何にも知らん。
知っていることって言ったら、絶対的に信頼できて安心できる家族の顔とかくらいやん?そんな子が急に無謀な挑戦をし出したわけよ。"歩く”っていう挑戦。
そんな赤ちゃんの"歩く”という挑戦を親も家族も誰一人止めようとせぇへんかったやろ?だって親は知ってるし、信じ切ってるわな。"この子は歩けるようになる"ってこと。」


た、確かに。。
知らないうちにその話に吸い込まれ、変な実感と確信に溢れてくる。



小さいおじさん
「俺たちだって今にくらべて何百倍も無知で弱小だったのにいきなりとんでもない挑戦を始めたわけよな。
歩いている人を見て、自転車に乗る人を見て、できるできないじゃなくて”自分も歩きたい!いや歩ける!”と思って無意識にやり始めたんやろ。
何度も何度も転んで頭打って、顔ぶつけて、失敗してもなぜ諦めずにあんなにできたんやろうな?

多分な紛れもなく、自分は歩ける、自分は乗れるようになる。そう信じてたんやろうな。100%どころか1000%。

そして、自分だけでなく、まわりのみんなも信じてくれていたと思わへん?自分と同じくらい。
そりゃ〜できへん要素を言う人もいないし、みんな応援してくれて、できると持ってる人に囲まれて自分もそう思うし、そんな環境あったらできるわ。1000%」



たしかになぁ。。
自分を信じるか、、。
最近自分を信じるとかそんな出来事なんてなかったよな。
ちょっと自分でしゅんとしてしまった。



小さいおじさん
「ほんまに俺たち全員が今、困難を乗り越えてこうして会うことができて、こうして一緒におれてる。
あん時ちょっとでも歩くの諦めてたら、こんな世界はなかったよな?できるんやて本気で思って信じて動いてたからこの今がある。

それなのに今の俺たちはちょっと失敗するとできないと思いこいんでしまう。自分には無理だ。いつかできたらいいななんて言っとる。
たった数回の失敗で、諦めようか考えとる。 

周りのができるようになるのが早いと、自分には才能がないなんて思ってしまう。
ほんまに勿体無い。 

例えば、お前はパチスロで今は負けへんやん?なんで?
最初は負けてたのにやめへんかったやん?
それどころか自分でああしたら、こうしたらって考え続けて勝てるようになったわけやん?
そこには何があった?絶対に自分ならできるって信じてたから諦めへんかったわけやろ?

今、自分ができてることやって
お前が無意識に自分のこと信じてやってきたからできるようになってんやで。」


そんな話を聞いているうちに、僕は昔をふと思い出した。 。


僕は自分のしていることに自信がなかった。

ましてや周りはみんな大学に進学して、大手就職先を目指す中、僕は一人ギャンブラーと化していた。

そんな周りの友達よりお金を多く持っているということで僕の気持ちは満たされていた。

けれどずっと心のどこかにあったのは、自分が嫌いでしょうがなかった。情けなくてしょうがなかった。
パチンコ屋の中ではカリスマでも店から出た僕は一瞬でなぜだか落ちこぼれの気分になった。

そんな僕に、小さいおじさんは話してくれた。



小さいおじさん「お前さぁ、もう人生で一番ストレスのかかったこと、難しかった難題を自分でクリアーしてんねやで?自分こともっと信じたれよ。それも圧倒的に。お前はもう自分の信じ方も信じる力も知ってるやん。」


歩けるようになって、話せるようになって、僕たちは赤ちゃんの頃に比べたら圧倒的に成長している。

なのに大人になればなるだけできないと思うことが増えている。
いつも優劣を何かや誰かと比べてしまってる。

でも、自分の隣の人と比べて生きなくてもいいんだ。

僕は、寝返りを自分でうった。
自力で立ち上がって歩いた。
自転車に乗れた。
話せるようになった。

その時と今、何が違うといえば、自分はできるようになるという自分を信じる力ではないだろうか?

周りと比べてしまってできないと思ってやめてしまうのは本当にもったいない。
だって必ずできるから。
自分の信じ方をもう知っているから。


小さいおじさんの話してくれる一言一言の言葉に、初めて嬉しくて、悔しくて人前でちょっと涙した。


でも、現実はすぐには変わらない。
次の日、僕はパチンコ屋にいた。
それからしばらく、まだまだ僕の毎日はパチンコ屋。
僕は人間不信。そしてお金が全てでいた。。

でも、パチンコ屋にいるときだけは、なんだか自分のことをすごく信じられた。自信があった。

なぜだろう?

そう思うたびに、小さなおじさんの言葉がぐるぐるぐるぐる。。



“自分を信じる。それも圧倒的に”


続く、、、

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