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長編小説『because』 77

どういった意味の答えなのか分からない私はその言葉に喜んでいいのか、悲しんでいいのか分からずただ呆然と立ち尽くしたまま、もうすぐ沈んでしまう夕日を眺めていた。

彼に「どういう意味?」と、ただそれだけ聞けばよかったのに、その時の私もやっぱりそんな事できなくて、彼の背中はその時から、そういった雰囲気を私に与え続けていた。

夕日が段々と霞んでいき、いつの間にか私の目からは涙が溢れ始めて、どうして私は泣いているのだろう、何に対して涙を流しているのだろうって、ずっと不思議に思いながら、それでも涙はどうしたって止まらなかった。声が漏れないように必死に堪えて、私に背中を向けている彼に気付かれないようにと一生懸命に、喉元から発せられる声を必死に押さえ込んでいた。

頬を何度も涙が伝い、いつの間にか出来上がった涙の筋に添って狂いなく流れていった。彼は無言のまま、私の知らないどこかを見たままだったけど、それに飽きたのか私の方に振り返った時に、私の流す涙に気付いて、私を抱きしめた。
「どうしたの?」
彼は優しく私に言った。

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