少し、後悔した。ラーメンを啜っている最中、彼に気持ちを寄り添わせてあげてもよかったのかもしれないって。でも、その時私は彼が言った「ご飯を食べに」というそれが口実だなんて気付く事ができなかったし、彼がそれ程までに外に出たがっていたなんて事も知らなかった。それ程までになんて言ったけど、別に彼がこの後私に対して、どれ程自分が外に出たかったのかという事を説明した訳でもなければ、不機嫌な態度を分かり易い程取ってきたと言う訳でもない。
　ラーメンを食べ終えた後も彼はいつも通りの彼だった。そして、私もいつも通りの私だった。だけど私は少し後悔した。彼だってきっと私に寄り添ったに違いなかった。外に出ないという私の意見に彼は寄り添い、それはそれで彼も満足していたと思う。その後は、何てことないいつもの日常が流れただけだけど、ラーメンを食べている時、その啜る音だけが響く滑稽な部屋の中で、私は彼に対して悪い事をしてしまったと思ったのだ。そう思う必要なんてない事も分かる、分かるけど、どうしたってそういった念は私から離れてくれる事がない。

　そして、もし次の日に同じような場面に出くわしたとしたら、私は今日と同じような態度を取る。彼が外に行こうといった言葉に対して、寒いからと言って断ると思う。そして家にあった適当な物を食べながら、また後悔するのだろうと思う。

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