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書くことからは逃げられない

 主に訓練目的でnoteを始めることにした。

 いわゆるテキストサイトというものが流行っていた中学時代、自分にとってカリスマ的存在だったR君(俺にギターを教えた張本人でもある)をはじめとした同級生数人の間で、レンタルのブログサービスが流行した。
 当時毎日更新されていた『僕の見た秩序。』という有名サイト(今ははてなブログに移行して不定期投稿になっていた)に影響を受けて、家の近所で撮った面白画像(味わい深い響きである)に気の利いたコメントを添えたような記事を量産してドヤ顔をキメたりしていた。

 高校生になると、ケータイを持たせてもらったのと部活で忙しくなっていったのとで、PCを開く時間が減っていった。周囲では「リアルタイム(リアル)」が全盛となり、俺もなんとなくそちらへ移行していった。モバスペ、Chip!!、@peps!などの単語にノスタルジーを感じるあなたとはきっと旨い酒が飲める。
 同世代には説明不要だが、「リアル」はブログとは若干ニュアンスが異なっている。今でいうタイムライン機能のないTwitterみたいなもので、各々がデザインをテンプレートで着せ替えた自分個人の「リアル」のページに、その時々のお気持ちをリアルタイムで綴るようなものだった。長文を書くケースもあったが、大半は「部活つかれた」「明日のテストやばい」など二言三言程度の投稿で、他の人からのコメントをぶら下げられたり、個別にアラート登録しておくと投稿通知をメールで受け取れたりした。
 自分が「リアル」に何を書いていたかはほとんど覚えていないが、ガラケーを打つ速度は全国でも間違いなくトップクラスだった。

 こういったブログ的なプラットフォームで継続的に何かを発信しようとするのは、おそらくその時ぶりである。大学のころ付き合っていた彼女と一瞬だけ続けていた鍵つき交換日記はノーカウントとする。

 色々やっていた割に、今でも文章を扱うのがそんなに得意なほうではない。
 要点をまとめたり必要な情報を取捨選択したりするのが苦手で、俺の書く文章はとにかくダラダラと長くなる。文章量が多いからといって内容が充実しているわけでもなく、ワードチョイスが致命的に下手だったり、思いついたことを思いついた順番に雰囲気で書き並べているので話題が飛ぶ。書き手としては文脈が繋がっているつもりでも、読む側にそれが伝わらない。あとシンプルに執筆に時間がかかる。打つのは早いのに。
 書いて伝える力はすべてに直結する重要なスキルだと分かっていながら、日々もどかしい思いをして過ごしている。

 そんな折、先日出演した『HOMEVIDEO』の配信映像が発売された。

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 ほらね。飛ぶでしょ、話題。

 リアルでの上演を予定した内容を無観客公演&映像収録へと切り替えた作品だが、せっかく配信という誰でも手に取れる形式で世に出たからには、やはり1人でも多くの方にこの傑作を届けたいと思った。
 知り合いへダイレクトにお知らせしたりもするのだが、一方で終演後40日以上を経てもなお溢れるこの作品への「お気持ち」を、ヘタクソながらも有りのまま垂れ流していくことで、不特定の誰かにも興味を持ってもらえる可能性を広げたい。そんな考えから、敢えてあまり得意ではない方法で振り返る場所を設けてみることにした。

 …みたいな大義名分がありつつ、実際には個人的な頭の整理を目的としている側面もあったりする。
 あらゆる点で特殊だった今回の公演について、正直なところ十分に腹落ちさせられていない部分もまだ多く、いつまでも「終わった感」を得られていない。元々咀嚼に時間のかかる性格なうえ、今回は上演後即座にリアクションをいただけていなかったり、そもそも最近人と会話する時間が激減していたりといった状況も相まってか、心がいつまでも成城学園前の周辺を彷徨っている。
 せっかく節目っぽい公演を打ったのに、これでは次に進めないということで、半ば勢い任せで吐き出すことを始めた。それでまあ、色々書いていくうちに心の整理が上手になったり、この下がりきった文章能力が多少でも鍛えられたりしたら儲けものだな、などと思っている。

 三日坊主が得意技なので、自分が無理なく続けられる分量を意識する。それはつまり読む人がサクッと読める分量であることにもなる。日本人は平均600字/分で活字を読むらしいので、1記事あたり3分=1,800字くらいで落ち着くように収めたい。ちなみにこの記事は早速オーバーしている。
 中身についても同様で、今これを書いている編集画面の横に表示されているnoteのチュートリアル的な記事にも、

名文や超大作を仕上げようとして手が止まってしまうくらいなら、駄文でも短文でも悪ふざけでも、とにかく気軽に投稿しましょう。
創作活動は、筋トレやランニングと同じです。一時期に集中して取り組んだら、それで終わりではありません。ちょっとずつで良いので日常生活の一部にすること、クセをつけることがポイントです。

とあるので、あまり身構えずに楽しんでいきたい。すでに手遅れな感じが否めないので反省していく。
 HOMEVIDEOの販売期間は一旦今月末までだけど、仮に習慣化できたのなら以降もいろんな話をする場にできると理想かな。期待はしない。

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