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血液の話 その2

その2ってことは1があったのかい?
実は僕の記事の中で一番読まれているのがコチラです。

View数は一番多いが、スキの数はボチボチ。
僕のnote人生の中で一番の謎。
動脈と静脈について、中学理科の話をしています。

さて、今回はとある”きっかけ”がありまして、
暫く血液について書いていこうと思います。

一応12年間ほど、(今もやってるから14年か)血液の研究していましたので、そこそこに詳しいです。
あと、教科書とか読むの嫌いですし、調べたらわかるような書き方はしないので、学問上正しくない表現をしたりしますが、細かいことは気にしないでください。


血液の病気で多いのは?

やっぱり白血病とか気になる人多いと思うんですが、
血液の病気の大多数は貧血です。

2018年度で貧血と診断された患者数は約490万人
(日本医療データセンター(JMDC) P-Market(2018 年 4 月~2019 年 3 月))

2019年度で白血病と診断された患者数は14,318例
白血病:[国立がん研究センター がん統計] (ganjoho.jp)

圧倒的に数が多いのです。
とある”きっかけ”ももちろん貧血で、今回は身近な、特に女子には身近な”貧血”を軸に記事を書いていこうと思います。



そもそも血液って何のためにあるか?


いろいろと役割は多い血液ですが、
メインの役割は酸素を運搬することです。

貧血とは、
血が足りない状態ですが、カラダを循環している血液(液体)が足りないというよりも酸素運搬能力が低い状態と言い換えることが出来ます。

酸素がないと死ぬって思うのと同じ感覚です。(これは説明しないよ)
つまり、貧血が酷いと、酸素がなくて死にます。

コロナの時に有名?になったSpO2も似たような感じです。

https://www.jrs.or.jp/file/pulse-oximeter_general20211004.pdf

つまり、貧血とは呼吸が上手くいかない状態とほぼ同じ(厳密にはちがうけど)

息を吸ってー、吐いてー  はできる。
コロナの時は、肺がダメージを受けて呼吸がうまくできない(肺での酸素の取り込み)ため、酸素が足りなくなった。
貧血は、呼吸はできているけど酸素を運搬する能力が血液にないということになる。

例えるなら、買い物に行きたい状況にて、
車で行くとしたときに、結果として買い物に行けなかったとしましょう。

原因は、

車が故障している(SpO2が低い) 

ガソリンが入っていない(貧血) 

かの違いで、
結局買い物には行けない(酸素が足りない)ということ。

だから貧血とは、エラーが起こっている場所が違えど、
コロナと変わらないということです。
つまり、舐めるな・油断するなということ。


血液って何か?

身体を循環している赤い液体です。
でも、顕微鏡で観察してみると、液体自体は赤くないんです。
どっちかというと透明というか黄色っぽい色の液体に、赤い細胞が浮いている状態です。

https://sgs.liranet.jp/sgs-blog/4163

血液は液体成分と細胞成分に分かれます。
その中の赤い細胞がとても小さくたくさんあるので、赤い液体に見える
という表現が正しいです。

赤い細胞が「赤血球:Red Blood Cell (RBC)」です。
献血・輸血で出し入れするなかでの主役はこのRBCです。
RBCを取り出して、足りない人に入れることをしています。
それが献血と輸血です。

赤血球のほかにもいろいろな細胞や成分が含まれていますが、貧血としての主役は赤血球です。


血液検査の数値について


血液検査の結果ってみてますか?
略語も多く、謎の数字が並んでいます。
今回は特に貧血についてみるべき項目を説明しますね。

https://www.docknet.jp/media/medical-checkup-24/

コチラのリンク先でも、「貧血などが気になる場合に検査したい項目」とあります。

貧血の指標として、細胞成分として主にみるべきは、
赤血球数(RBC)
血色素量(Hgb)
HCT, MCV, MCHC, 網状赤血球数などです。

網状赤血球数なんてのは精密検査扱いになるのか、普通の健康診断では出さないことが多いですが、測定するのにかかるコストを知っている僕としては測定してほしいところですw

上にあげた項目は全てRBCに関わる数値です。
詳しく解説します。


RBC (/μL)

RBCは血液中の数を表しています。1マイクロリットル中の細胞の個数を表します。1マイクロリットルとは、1リットルの1/1,000,000です。その中に大体400~500万個あるということです。
サムネの画像のように、円盤というか、真ん中がくぼんだドーナツ(穴は泣いてないが)みたいな形をしています。この形には理由があって、柔軟な形をしていて、狭いところにもにゅるっと入っていける形をしています。毛細血管など身体の隅々まで酸素を運ばないといけないので、こういう形になりました。
ちなみに、核(DNAとかそういう情報)を持っていないので、細胞と呼ぶか微妙な立場にある。
酸素を運ぶ船みたいなもんですね。


Hgb (/dL) 

表示によってはHbのところもある。血液中のヘモグロビンの濃度です。
主に酸素運搬能を意味するので、貧血であればこの数値を見るだけの人もいます。
ヘモグロビンは赤血球の中の成分です。
赤血球を壊して、濃度を測定します。
卵の殻(RBC)と中身(Hgb)みたいな感じです。

主に酸素を運んでいるのはヘモグロビンですが、実際に運んでいるのはヘモグロビンの中のです。鉄が、酸化と還元により、酸素を運搬する。
だから、貧血の時に鉄分を取りましょう!レバーだ!と言われるのです。主な貧血の原因は、月経による出血と無理なダイエットによる栄養不足つまりパワー不足です。

ヘモグロビンはヘモとグロビンで構成されています。
ヘモは別名で鉄を意味します。グロビンはタンパク質です。
つまり、先ほどの例えで言うと、鉄が黄身、グロビンが白身です。
黄身がない、卵白だけの状態って、謎のドロドロじゃないですか。
そういうことです。


HCT: ヘマトクリット(%)

Htと書くだけの表記もある。
液体成分と細胞成分の比率
黄色い液体と赤い液体の比率である。
つまり、血液中の赤血球が占める割合と同じ。

貧血の人は少ない。
凄く古典的な検査で、採血して放っておくと赤血球は沈殿していきます。
今では、遠心分離をすることで時短しますが、特殊な装置を使わなくても得られる貧血の項目ですね。

なんで赤血球は沈殿するのかって、中にヘモグロビンが詰まっていて、ヘモグロビンには鉄が含まれているので、他の細胞よりも明らかに比重が重い細胞です。


MCV: Mean Cell Volume (fL)

赤血球の大きさの平均値です。大体80fL(フェムトリットル)で、
fLはμLのさらに1/1,000,000,000の単位になります。
【参考】m(ミリ)、μ(マイクロ)、n(ナノ)、p(ピコ)、f(フェムト)、a(アト)という順番で1/1000されていく。

まぁ、そりゃそうですよね。1μL中に約400万個も普通に存在するので、それくらいのサイズ感ですよ。小さすぎて、わけわかんないかもしれませんね。
でも、1μLの中に80fLが400万個ということから、ヘマトクリットも予想できそうじゃないですか?(わかる?)

80 x 4,000,000 = 320,000,000 fL
単位を変えると、320 nL (ナノリットル)
320 / 1,000(1マイクロリットル=1000nL) = 32% 
これがHCTですね。


赤血球の大きさは、中身(Hgbの量)によって影響を受けます。
ヘモグロビン量が少ないほどMCVは小さくなります。(小球性低色素性貧血:一番患者数多い)

もちろん、血液の成分を評価するのは、数と濃度(サイズ)。
サイズは小さくても数が多ければ、酸素運搬能は維持されます。
ただ、赤血球の数はあんまり変わらないように維持されています。数はあまり変えずに、1つの赤血球の中に入れるヘモグロビンの濃度の方で制御する方が楽なんですね。

5人乗りの車が5台あって、でも乗る人は12人しかいない状態だとして、
本当は5,5,2とか、4,4,4に分かれるのがよさそうですが、くるまを放置してはいけないので、3,3,2,2,2に分かれて乗っているという感じです。

この例えをすると、車の大きさは変わってないじゃんって思われてしまうので、MCVというのは人を含めた車の重量だと思ってください。
ヘモグロビンがたくさん詰まった赤血球、例えば5,5,5,5,5で乗っている車、どの車も重たいよね。3,3,2,2,2より、重いよね。




まとめ


血液、特に赤血球について超基礎的な部分を解説しました。

貧血で治療中の方は、
これらの項目が治療によって、前回から増えているかどうかを見ておくと
治療の効果が見える化されていくのではないかと思います。

自分の身体に起っていることなので、そういう興味を持つことが大事。興味があれば、薬を飲み忘れたり、放置したりすることを予防することにもつながると思います。

この記事の内容は、医療関係の学校に出ていれば習うと思います。
専門でやっていなくても当然知っているし、書けるし、しゃべれる。(ハードルを上げていく)

次回は、よりディープな「あぁ、そんなことも学校で確かやったわぁ」という内容にしていきたいと思います。そういう学校行ってない人は結構ツライかもしれませんが😆

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