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神さまたちの詩歌集。

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降りてきた詩や短歌たち。
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記事一覧

4月の全短歌④一億超の

4月の全短歌④一億超の

31
脳内の総再生数一億超終わることない思春期がある

32
思い出を一枚一枚スクショして君に手渡す秘密の答え

33
脈なしの恋でも拍を打っている等間隔を装いながら

34
背中とか腕とか手にはないけれどどこでもいける羽根があるから

35
夕方に目覚めた猫と目が合っておまえは帰れとビームを放つ

36
あしたまた会うために言うさよならの軽さで心が空をゆく

37
この海の広さは知らなくてもいい

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【書籍化】毎日超短話(歌)2023

【書籍化】毎日超短話(歌)2023

2023年に書いた「毎日超短話」ほぼ全話、そして2023年の短歌の中から71首を、一冊にまとめました。

タイトルは「毎日超短話(歌)2023 」。
全272ページ。

※一部、校正見落としで重複ページなどがあります、ご容赦くださいませ🙇(改訂予定)

簡易的な作りのため、背表紙は入れられませんでした。自分でラベルしてもいいかも。

4月から3月へと流れていく構成。
文字はちょっと小さめ。
歌詞

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【短歌】注目を集めた7選その2

【短歌】注目を集めた7選その2

各所で注目頂けた短歌を7選、紹介します。

あこがれの雪になれずに耳もとで泣いてるみぞれの温かさすき

コトバディアへの投稿作品、テーマ「あこがれ」の一首。Xスペースにおいて、丸山永司さんの「短歌と歌の日」に取り上げて頂きました。

みぞれが雪になれないのは、雪より温かいからという思いです。

手に取らず廻る帆立を眺めれば母が隣で笑う気がする

ラジオ石巻「たんたか短歌」への投稿作品。テーマ「帆」

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4月の全短歌③丸くする人

4月の全短歌③丸くする人

21
映えるのに疲れたスマホ留守にしてさあ目を閉じて世界を描け

22
もしもしと電話の真似をする君と話してるのは神様か母

23
いつまでも可視化されない傷があり風が撫でてるときだけ気付く

24
「おかえり」と迎えてくれる子のための花火のような「ただいま」がある

25
悲しみよ急いでおいで今やっと涙腺のフタ外したところ

26
花びらが前髪に降り色めいた彼女と春がステップを踏む

27
西日

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4月の全短歌②桜の教室

4月の全短歌②桜の教室

11
一回も話すことなくさよならをする人もいる桜の教室

12
花の名は覚えないけど君の名は忘れることなく庭に咲いてる

13
公園の土管に隠れてキスしたい桜が雨に飛ばされてる日

14
再会の時のくるのを馳せている激流をゆくお魚の群れ

15
ほんとうは聞いてなくても「そうだね」と答えてくれるそれもまた愛

16
ああそうか、今日は今日しかなかったとさよならをする声で気がつく

17
強運の持ち

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3月の全短歌⑧《終》これから君は

3月の全短歌⑧《終》これから君は

71
失恋をした直後とかだったはず忘れな草と名づけた人は

72
4番手あたりの惜しいわたしにも表彰台は用意されてる

73
たぶんもう会わないけれどすれ違うことはあるかもあったのかも

74
新米がお釜の中で立っていてよそう茶碗でお辞儀をしている

75
性別はわからないけどあの二匹たぶんつがいで旅をしている

76
そよ風が生まれた日に立ち会ったつくしが春の足るを知る

77
笹舟に散った花び

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3月の全短歌⑦春へのパレード

3月の全短歌⑦春へのパレード

61
大人への日付変更線を飛ぶ機体は何かを切り離した

62
ただ息をしているだけで働いた細胞たちに有給あげたい

63
五分咲きを顔で表す妻がいて台所まで春が来ている

64
夕方のチャイムが鳴ったそのあとでフジファブリックめく鳴き出す鳥たち

65
分度器で測ってみたらさっきより傾いているほのかな恋だ

66
青空が広がらない日、目を閉じてまぶたの裏にパレードを呼ぶ

67
上を向くことに疲れ

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3月の全短歌⑥負けていく旅

3月の全短歌⑥負けていく旅

51
角を取りもう勝った気になったのであとはゆっくり負けていく旅

52
ニワトリがバイクの音がコーヒーが教えてくれる朝がきたよと

53
春にまた会いましょうって約束を笑顔で破る遺影の母は

54
ドアノブに冷たい水が掛けてあり潤う喉があたたかくなる

55
酒飲まずタバコも吸わず賭け事も浮気もしないお菓子は食べる

56
春の前、秋だったならこんなにも優しい種は芽吹かないだろう

57
演技だ

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3月の全短歌⑤泣き方の自由+

3月の全短歌⑤泣き方の自由+

41
ため息がひとつだけある教室でそれを拾える君の尊さ

42
あの日に根うまれてきた根やさしい根とおい空の根ゆめを見てる根

43
星のない夜空で月が見てるのは路地裏に散る流れ星の死

44
雨の日にうつむいて会うその花はわたしにとって晴れだと笑う

45
花びらが落ちる刹那にこの恋の行方を賭けて君に触れた手

46
弱音吐く相手がいると思い出し泣いてる夜が心強くて 

47
そういえば泣くの忘

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3月の全短歌④RECYCLE

3月の全短歌④RECYCLE

31
急いでる人のつま先止めている寝起きのモグラが春告げるので

32
同じもの食べてきたからぼくたちは点になってもたぶん似ている

33
えいやっと投げたボールが今日やっと届いた気がする君に振られて

34
川上に投げかけたもの川下に流れくるから刃は研がない

35
分度器で測ったように正確に45度だけ心を許す

36
かなしみのすぐとなりではよろこびの花が朝露を注いでいる

37
幼さを内ポケ

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3月の全短歌③春待ち

3月の全短歌③春待ち

21
遠足の持ち物の欄に書いてあるおやつ、水筒、楽しむ心

22
笑い合う友の目尻の皺を見て生きたよねって送るテレパシー

23
先生が好きじゃないので学校に行かない君の正しさが好き

24
あの店のあの席ふたつ空いているいつかのぼくらリバイバルする

25
上司でも部下でもないね君はただいっしょに暮らす小人のようで

26
先月の一位の雲を眺めてるそのうちきっと忘れる雲を

27
どれくらい調子

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3月の全短歌②気がする

3月の全短歌②気がする

11
また会えることを知ってるさようなら響いて誰かそっと傷つく

12
トゲトゲの葉っぱが隣合っている教室の枝、水やりする子

13
アルバムを見ながら吾子が唱えてる喃語はまるで般若心経

14
霧雨がスマホの上に触れていて点々になるあの人の文字

15
「YES以外、NOだよ」っていうやりとりをわかってやれよ、それが愛だろ

16
手に取らず廻る帆立を眺めれば母が隣で笑う気がする

17
いつの

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3月の全短歌①世界の青

3月の全短歌①世界の青

1
あなたからもらったモノはないけれどたぶん心を交換したね

2
一人ずつ打ち明け話をするたびに夜空の星が輝きを増す

3
これ以上満月になることはなく欠けていくのを見るだけなんだ

4
もう少しいい顔しろよとMondayがため息をつくSundayの夜

5
殿様を担いだ人のプライドを感じて走る子を乗せた籠

6
朝焼けは朝を教えているんだと光るつららが言っている日

7
ゴシップで潤っている人々

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2月の全短歌⑪めく、めく《終》

2月の全短歌⑪めく、めく《終》

101
シロクマの家は屋根すら付いてない星がいつでも見られるように

102
丸腰の俺でもいいか笹舟の日々でもいいか、やわらかければ

103
直線で描いた夢にない花と曲がりくねった道で出逢った

104
花丸の描かれたテストがポケットの中でわたしをあたためている

105
いなくても生きていくことできるけど三時くらいに思い出す人

106
埼玉で産まれて生きて死ぬまでに名もない幸を何度もつまむ 

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