初めての冒険は
となり町に行くだけで
わくわくとドキドキが
手をつないでるみたいだった

もしもまだこの体
貸してくれるのならば
あの気持ち　あの気持ち
また見つけられるのかな

　このみちのさきには
　大きな森があろうよ
　ひとりぼっちの榎よ
　このみちをゆこうよ

手に付いた絵の具の
色は空を映して
どこまでも　どこまでも
続いていくみたいだった

　このみちのさきには
　大きな海があろうよ
　はす池のかえるよ
　このみちをゆこうよ

あの人はこの町で
相変わらずの日々だけど
ときどきは　ときどきは
あぜ道で立ち止まってるよ

　このみちのさきには
　大きな都があろうよ
　さびしそうなかかしよ
　このみちをゆこうよ

　このみちのさきには
　なにかなにかあろうよ
　みんなでみんなでゆこうよ
　このみちをゆこうよ

金子みすゞ「このみち」を引用