ロケットリーグで学ぶチームコミュニケーションの重要性

はじめに、本記事は「ロケットリーグにおいて、技術的にどうすれば勝てるようになるのか」を紹介する記事ではない。そういった内容をお望みであれば、国内トッププレイヤーの一人であり僕の親愛なる友人・Kanraの記事をぜひとも参照していただきたい。プレイングスキル向上に必要な情報がとても細かくまとめてある。
https://note.mu/kanrarl

僕が言いたいのは、「団体競技においてチームが最高のパフォーマンスを発揮するのに、質の高いコミュニケーションは必要不可欠だ」ということだ。

【目次】
1. 「ロケットリーグ」について
2. チームに必要なことは個々人のプレイングスキルだけではない
3. 意思疎通をしないチームは、もはやチームとは呼べない
4. ロケットリーグにおいてのチーム内コミュニケーション
5. 意思疎通ができないチームの末路
6. チーム内コミュニケーションの質を上げる方法とそのメリット
7. 最後に

・・・

「ロケットリーグ」について

ゲームに限った話ではないが、『コミュニケーション』はチームで戦うことにおいて最も重要な要素の一つだ。

特にFPSやMOBAなどといったゲームジャンルでは団体戦形式が基本となっているため、勝つためにはチームとしての完成度を練磨していく必要がある。

今回は、僕が「ロケットリーグ」というゲームを、チームでプレイしてきた経験と実例を通して「チーム内コミュニケーション」がどれだけ大切だったかを紐解いていきたいと思う。

そもそも「ロケットリーグ」ってなんだ?という方にまず軽く説明をさせていただきたい。

「ロケットリーグ」は2015年にPsyonixというアメリカのインディーゲームスタジオから発売された「車×サッカー」をコンセプトとするアクションスポーツゲームである。
長方形の箱庭スタジアムでプレイヤーたちがラジコンカーを操り、どデカいボールを蹴り合って、互いの陣地のネットを揺らす。
ただそれだけの単純明快なゲームだ。

一見いわゆるバカゲーのように感じられるゲーム性だが、そこには確かに「勝つか負けるか」の戦いがあり、やり込めばやり込むほど上達していくという確かな実感があり、熱中するプレイヤーが増えた結果、esportsとして賞金が用意される大会が世界中でいくつも開かれるまでの人気を博した。

このゲーム自体、「ゲームをプレイする」という感覚より「スポーツをイチから覚える」といった感覚に近いため、熱中したときのハマり具合が他のゲームのそれとはまた格別なのだ。
(僕はハマりすぎた結果、発売当時から3年間、合計4000時間以上プレイし続けている。)

きっと先述した表現では、ロケットリーグの本当の魅力は伝わらないと正直思う。
だからこそ、ぜひとも多くの方に一度、本タイトルを触ってみてほしい。

まあ、それは良いとして。
ここから本題に入ろう。

チームに必要なことは個々人のプレイングスキルだけではない

ロケットリーグでは1v1〜4v4まで各人数ごとに戦うモードが用意されていて、自分の好きなモードで幅広く遊ぶことができる。

ロケットリーグの競技シーンで主流となっているのは「3v3」モードだ。
このゲームの魅力に取り憑かれた僕はチームを結成して競技者となり、
コミュニティ大会からRedBull主催のものまで、ありとあらゆる国内/アジア大会へ出場し、何度も優勝してきた経験がある。

だからといって僕が最高レベルの技術を持った選手かと言われれば、断じてそうではない。むしろアジアのトッププレイヤー達と比べて、オールラウンドな技術力に関しては劣る方だ。
(厳密に言うと僕は流れを掴んで敵のゴールを突き刺すオフェンスは大得意だが、ディフェンスが苦手。)

では、他のアジアトップ勢と比べて劣る技術力を持つ僕がなぜ公式戦で勝てたのか。
それは、他の誰よりもチーム内でのコミュニケーションを重んじてきたからだ。

意思疎通をしないチームは、もはやチームとは呼べない

まず分かりやすくするためにロケットリーグから離れて他の球技などで考えよう。

サッカーでもバスケでも野球でもホッケーでも、同等の実力同士のチームがぶつかった場合、「細かな作戦を立てず、話さず、各々の個人技で凌ぐ」チームと「積極的に声を掛け合い、作戦を立て、一丸となって戦う」チーム、どちらの勝率が高いだろうか。

3人 対 3人の状況でいうと、「1・1・1 VS 3」といった構図になっている。

この2チームの間の明確な差は何か。
それは、カバー/フォローの速さだ。

「各々が個人技で凌ぐ」チームの一人がミスをした場合、コミュニケーションの鍛錬を怠ったあまり連携が上手く機能していないため、フォーメーションにスキが生じる。つまり、反撃を受け失点をするリスクが高まるのだ。

一方、「一丸となって戦う」チームの一人がミスをした場合、
その後方から別メンバーが「俺がカバーする」といった声かけを行い、すぐさま抜けた穴を塞ぎに行く。
そして他のメンバーはカバーに行った選手をさらにカバーする。
これがいわゆる”ローテーション”というものだ。

一度コケそうになるともうそのまま倒れ込むしかない状況と、
コケそうになっても後ろから支えてくれる人がいる状況。
どちらの方が伸び伸びとプレイできるのか、明確だろう。

チーム士気の維持/向上。不測に起こった状況の安定化。相手を出し抜く連携。
これら全てに、「コミュニケーション」が深く関わっているのだ。
これを疎かにするチームはもはやチームとは呼べない。ただの「団体」だ。
そしてたった1秒で攻守の展開が変わるロケットリーグにおいて、コミュニケーションは最重要事項なのだ。

ロケットリーグにおいてのコミュニケーション

では、ロケットリーグの3v3大会で戦うにおいて僕がどのようなことを行ってきたのか。
流動する試合展開の中でカバー/フォローを最速で行うために、
①自分のポジション
②自分が次に取るアクション
③チームメイトにやってほしいアクション
を、ハッキリと声を発してコールしていくことだ。

さらに、チームメイトが良いプレイをしたら最大限に褒め称える。
自分やチームメイトがミスをしてしまっても「切り替えよう」と即座に言って、立て直す。

…ロケットリーグを3人で戦ったことがある方は、
「なんだ、そんな単純なことか。」と思ったかもしれない。
だが、人は緊張状態に陥ると"そんな単純なこと"さえも当たり前に行えなくなるのだ。ランクマッチで強さを発揮できる選手が、大会出場時に伴う緊張により口を開かなくなり、ペースを崩していく様を幾度となく見てきたからこそ言える。
だからこそ、僕は普段当たり前にできることどんな状況でもできることに昇華させるよう心がけた。

プレイングに関しては、正直どうしても緊張の影響を受ける。
どんなに場慣れをしている選手でも、手が震え、肝心な舞台で最高のパフォーマンスをできるとは限らない。
だがどんなに緊張していようが、口を動かすことはできる。
しゃべることは可能だ。意思を伝えることは可能だ。
どんなに緊張していようが、発声すらままならなくなる選手はそういないだろう。
そしてその状況下でも、「今なら俺シュート打てるぞ」「ディフェンスに戻ったぞ、カバーするから前出て行け」「右側で並走してるからパス出してこい」など、常に分かりやすく意味のある意思表示を行う鍛錬を積み重ねてきた。

僕は公式戦どころかチーム練習試合の時点でこれらを疎かにしたことがない。ただの一度もない。
チームメイトにも試合中にコミュニケーションを取るよう常に言い続けてきた。
なぜなら、これらがチームで勝利するための必須条件だと信じているからだ。
これを練習しているチームとしていないチームでは、本番で発揮できるポテンシャルの差が明確に開くと感じているからだ。

意思疎通ができないチームの末路

僕は基本的に、VC(ボイスチャット)ができない人とはチームを組まない。
もし組みたいと思うほど強いがVCをしない選手がいれば、VCを繋いでもらえるよう説得をする。
それは、試合中に最速で意思疎通ができないチームは「味方の意思が分かればもっと上手く立ち回れるのに」といったフラストレーションが徐々に溜まり、チーム全体の士気が落ちていくからだ。

実際に、海外のプロシーンでも「選手の一人がVCをしなかったことが原因で問題となったチーム」が存在する。
北米のプロチーム「Out of Style」はプロ1部リーグ”RLCS”でプレイしていた。しかしシーズン中、傍から見てもプレイは噛み合っておらず、リーグでの順位は下から数えた方が早い程だった。
シーズン終了後、同チームメイト同士が好成績を残せなかったことに対してTwitter上で口論を起こした。
そのやり取りの中で、選手の一人が”シーズン中、一度もVCに(環境的な問題ではなく意図的に)参加していなかった”ことが判明したのだ。
この問題の全容は、以下のツイートにまとめられている。(英語)
https://twitter.com/Lachinio/status/993190414025920515

チーム内コミュニケーションの質を上げる方法とそのメリット

では、ロケットリーグのチーム戦において効果的なコミュニケーションを取るには普段からどういったことに気をつけるべきなのか。あくまで自論だが説明しようと思う。


①ハッキリ、簡潔に、明るく発声する
え、いきなりそんなこと?と思うかもしれないが、僕にとっては死ぬほど重要だ。
試合に集中している中で、ゲーム音と仲間の声を同時に聞き取るのは意外と難しい。だからこそ、相手が意識して聞こうとしなくても伝わるような工夫が必要になる。

A「今 後ろいる 前出ていいよ……あれ、ポジション被ったよ……(終始小声)」
B「俺今後ろにいる!!オッケー!!よっしゃ次俺出るから!!下がって!!(ハキハキ)」

だいぶ極端な例だが、ハッキリしていないのとそうじゃない方の差はこんな感じだ。
Bはちなみに僕。試合中、正直味方からしたらウザいくらいハイテンションだと思う。が、意思がしっかり伝わらず陣形を崩すよりかはマシだ。
そして、伝える内容は短くまとめる。意思が伝わるならほぼ単語のみでも良いレベルだ。「右パス来い!」といった感じに。
さらに、通る声はチームの士気とテンションを上げることができる。
か細い声で場を盛り上げられる人は、そこまで多いだろうか。僕は経験上そういないと感じる。
オンラインで繋がって姿が見えない者同士なら、尚更だ。


②ミスに対して落ち込まず前向きな声掛けをする
どんなに強いチームでも、ミスは必ずする。
だが、強いチームはミスをした後の立て直しがとても速い。
それは、過ぎたことで落ち込まず、切り替えが速いからだ。

ではどうすればその切り替えの速さを培えるのか。
①を踏まえた上で、即座に励ます/謝る/鼓舞する→次の行動へのコミュニケーションを取ることだ。

僕なら自分のせいで失点した後、
「あーゴメン、ポジションミスった、気をつける」(謝罪/反省)
「次、絶対俺が取り返すから!!まだいける!!」(鼓舞)
「よし、俺がボール触りに行くね!!」(次にとる行動を伝える)
のステップで言葉を発する。
ここで大切なのは、一つのステップに時間をかけすぎないこと。試合展開はどんどん変わっていくのに、過ぎたことをくどくどと気にしたところでどうしようもないのだ。それより、次の展開で相手をどう出し抜くかを考える方が生産的だろう。それをチーム全員でいかに素早くこなせるかが重要となる。


③少しの「笑い」作りを意識する
これは別にヘラヘラしながらプレイしろということではない。
僕は試合前の待機時間などに、減らず口(?)を叩いてみたり、変なネタを言ってみたりしてチームメイトを軽く笑わせようとする。
なぜなら、人は笑うとその瞬間だけでもネガティブな感情・緊張が吹き飛ぶからだ。要するに、リラックスができる。常に緊張の糸が張り続けると、どうしても精神的疲労が蓄積していくため、それを避けるためだ。笑った後に嫌な気持ちをする人はいないだろう。
「笑い」は、リラックスであり、精神的な余裕作りであり、チーム全員が顔を上げるためのきっかけなのだ。
僕は必要最低限のことしか会話できず余裕を作れないチームは、最大限のパフォーマンスが発揮できるとは思えない。状況を打破するのに必死で、思うようにプレイを組み立てることができないことが多いからだ。
僕はチーム全員が精神的に余裕を持った状態で、声を掛け合ってプレイを組み立て、伸び伸びとプレイをしたいし味方にもそうさせたい。
そのためなら僕は喜んでピエロになる。


たったこれだけで、今まで会話を疎かにしていたチームにとっては相当な変化になるだろう。
肝心なのは、これらをチームメンバー全員が意識して取り組むことだ。

最後に

ものすごく精神論〜な感じになってしまったが、要はチームの雰囲気を良くした上でストレスなく伸び伸びとプレイすることがチーム全体のパフォーマンス向上に繋がり、その鍵となるのが効果的なコミュニケーションを取ることなのだということを伝えたかった。

そして何よりも、チームが一つになって噛み合った結果生まれたプレイは、どんな競技においても果てしなく尊く、気持ちが良いものだと僕は感じる。

僕はロケットリーグを通してもっとこの感覚を味わいたい。追い求めたい。だから、シナジーを育んで良いチームを作りたい。そして、この気持ちをもっと色んな人に伝えたいし共有したい。この感覚こそが、チーム内コミュニケーションを効果的に取ることの、真の醍醐味だと信じているからだ。

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Yuhi

株式会社Wekidsで働くゲーマーです。ロケットリーグというゲームを愛しています。文章構成力向上のため修行中です。

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