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「巣箱」

「東村山にできた地域活動の拠点となる『つむじ』という場所を、まちのみんなに覚えてもらえるように、ランドマーク的なものがほしい。例えばツリーハウスみたいなもの!」というある意味無茶な(?)オーダーを相羽建設がしたのが2015年の秋がはじまるころ。家具デザイナーの小泉誠さんがいつもの楽しそうな笑顔で、大まじめに聴きとってくださり、しばらくして提案してくださったのは、宙(そら)に浮く不思議な緑色の箱空間だった。
巣箱は定員2名の家具空間。大工さんがつくってくれた梯子をつたって内部に入り込むと、傾斜した床と大きな背もたれ板でラウンジチェアになり、窓枠がテーブルにもなるという、ある意味建築そのものが身体を支える家具になっている。室内は木の部分以外は黒く仕上げられていて、窓から入り込む外の景色以外は、距離感があいまいになる不思議な場所でもある。
通りを歩く人にとっては、「あの箱は何だろう」とちょっとした違和感を残し、この場所を記憶するメディアにもなり、実際に登った人にとっては、その不思議な空に浮く家具の体感に楽しくなり、自然に笑顔になってしまうワクワク装置でもある。
登ってみると思ったよりもグラグラして不安になることもある(安全です!)けれど、それが吊り橋効果になって、一緒に登った2人は仲良くなれるという噂もあるらしい……。

学生時代、建築家の中村好文さんの生徒でもあった小泉さんは長野県御代田町に好文さんと研究室メンバーで小さなツリーハウスをつくった際、一番先頭にたって、一番木の高いところに登ってツリーハウスをつくったのだとか。
僕も巣箱に登って、ちょっとだけ空に近いところに佇みながら、自由な発想で豊かな居場所をつくれる人になってみよう。

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