これはゆういちが６歳の頃のお話です。

ゆういち6歳

ゆういち6歳。

小学校に入学した。

学校

ゆういちは、目立たない。

ゆういちは、おとなしい。

勉強はできる

図画工作はできる

体育は…ぜんぜんできない

逆上がりは

できない。

なわとびは

できない。

スキップは

できない。

うちに帰る。

「ただいま。」

「おかえりなさい。」

空き地で母親とスキップの特訓をする。

スパイダーマン

お隣に同じくらいの年の子がいた。
よく遊びに行った。
テレビを見た。
スパイダーマン。
日本のスパイダーマン。
腕時計みたいなので呼ぶとロボットが飛んでくる。

ジュリー

ゆういちはジュリー（沢田研二）が好き。
よく歌っていた。
隣の友達の家のコタツの上に上がって歌う。
自分ちではなく。
ゆういちの最初のステージはお隣さんのコタツ。

コマエさん

仲の良い女の子、コマエさん。

学校の帰りによく家に遊びに行く。

コマエさん家にはウルトラマンの人形がたくさんあった。
お兄ちゃんのかな？

それで一緒に遊んでいた。

ゴトゴトゆういち

学校から家に帰る。

用水路にブロックでふたがしてある。
その上を歩くとゴトゴト音がする。

ゴトゴト、ゴトゴト、ゴトゴト

ズボッ

急にブロックがなくなり、用水路に落ちる。

「ただいま。」

「おかえりなさい。」

すぐ泣くゆういち

家の隣の空き地

トゲトゲで囲われている

近道をしようとトゲトゲをくぐりぬける。

「ビリビリ」

ランドセルの黄色いカバーが破れて泣く。

テープを貼って直してもらう。

そんなの付けるのは初めだけだから外してもいいのに
自分だけ黄色いカバーのないランドセルなのが怖い。

不完全犯罪ゆういち

学校からの帰り道。
もう少しで家。

あ。

うんこを漏らした。

そーっと２階へ上がり、

パンツを脱ぎ、

裏の家の庭にパンツを投げる！

これで漏らしたことはバレない！

翌日。

ピンポーン。

誰かが家に来た。
母となにやら話しているようだ。
そして、帰って行った。

母「裏の人がパンツ返しに来てくれたでー」

ゆういち「なぜわかったのだ？」

「はっ！」

パンツに「なかのゆういち」と名前が書いてある！