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終身雇用の終焉とこれからの働き方

先日、経団連のトップによる終身雇用の終焉についてのコメントがありました。

以下の記事では更に踏み込んで発言された内容が掲載されていますね。大手企業を立て直してきた経営者らしいコメントも並んでいます。

「雇用維持のために事業を残すべきではない」
「だめになりそうな事業を残すことは雇用されている人にとって一番不幸だ。経営者は早くあきらめるべきだ」


また、今日は日本自動車工業会の会長としてトヨタ自動車の社長も終身雇用に言及しています。時価総額で日本トップであり、製造業や産業界に並々ならぬ影響力を持つトヨタ自動車のトップが同じく終身雇用について限界がきているという旨を述べています。

「雇用を続ける企業などへのインセンティブがもう少し出てこないと、なかなか終身雇用を守っていくのは難しい局面に入ってきた」
「今の日本(の労働環境)を見ていると雇用をずっと続けている企業へのインセンティブがあまりない」
「労働流動性の面ではまだまだ不利だが、派遣や中途入社など以前よりは会社を選ぶ選択の幅が広がった。多様化は進んでいるのですべての人がやりがいのある仕事に就けるチャンスは広がっている」

経団連と自工会、そして日立とトヨタのトップの発言。いよいよ国内から終身雇用がなくなり、雇用の流動性が高まる方向に舵がきられるということですね。

どちらかと言うとこれまでどんなに不景気でも終身雇用を維持、あるいは雇用を守ることを重視してきた企業のトップがこうした発言をするというのは大きな時代の転換点を迎えているのではないでしょうか。


終身雇用型からジョブ型の働き方

私も新卒では終身雇用がメインの会社に就職したのですが、配属先と大学の専門性に関連性があるとは限らず、どちらかと言うと入ってから配属された部署で成果を出し、その職種の中で専門性を身につけていくというのが一般的でした。つまり、キャリアに自主性は少なく、会社に依存した意思決定でした。

職種ついても事務職あるいは技術職といった大きな枠組みのみで、新卒採用時点で求人票といったものはなく、いわゆる新卒一括採用・一括配属という会社でした。当然、入社前はなんとなく営業かなーくらいしか考えていませんでした。

一方で、ベンチャー企業に転職し採用活動に従事する中で、当たり前ですが中途採用がメインなので、セールス担当やマーケティング担当、カスタマーサポート担当など細かく採用したい職種を分解して採用活動をしていました。ソフトウェアのエンジニアに至ってはフロントエンドエンジニアやサーバーサイドエンジニア、あるいは UX エンジニアなど最近では細かく職種も分かれてきており、いわゆるジョブ型採用が浸透してきています。

上記のように中途採用で組織が構成されている世界では、一般的となっているそれぞれの専門性を持った上で転職し、そして入社後にその専門性を深めていくというのがジョブ型採用であり、こうしたプロセスが採用の中心になっていくのではないでしょうか。

ちなみにジョブ型採用がくると思って作ったのが求人票採点サービスFindyScoreですがちょっと早かったw



働き始めても学び続ける社会

終身雇用の場合は会社が機会を提示してくれているので、それに応じて勉強もしていくというのが一般的だったのではないでしょうか。そして終身雇用の良いところとしては、やはり解雇がないというところで、どんどん上を目指して成果や成長にこだわっていく人がいる一方で、どこかでその路線から外れても会社にしがみついている人も多くいるのではないでしょうか。そうした「しがみつき族」が「上を目指す族」に比べてたくさん勉強をしているというのはなかなか考えにくいものです。

しかしながら終身雇用が終わるということは 一生その会社で働くわけではなくなるため、どこかでその会社を離れていても生きていけるようなスキルや経験を身につけていく必要があります。

従って、自らの専門性や領域を決めてその上で学び続けていくということがより重要になってくるのではないでしょうか。

Findyのエンジニア転職サービスで開発しているスキル偏差値も学び続けるという機会づくりを目指して作っています。



できる限り早く動こう

終身雇用の終焉を嘆いている方も多いのではないでしょうか。
先日ほぼ終身雇用に近い形で自分たち家族を養ってくれた父親が大手企業の役職定年を迎えました。一つの会社を勤め上げ出世もし、家族も養ってきたことはすごく立派であり家族として強い感謝の念を持っています。

ただ、父親とも話していたのですが、もしかすると両親の世代が日本という国を生きる中では上り調子という意味で最も良い時代だったかもしれないという話もしました。戦後からの復興が見え右肩上がりの経済成長の中で明日は良くなる、そして雇用も守られるという社会で生きるというのは何物にも変えがたい安心感になります。そして成長するので出世のポストも今よりも多い。1社でキャリアが築けた稀有な時代です。

一方で高度経済成長が終わり、人口減や少子高齢化あるいは周辺諸国の成長と言った外部環境の中で、将来への不安を感じながら生きていくこと、その辛さが年々大きくなっていくのではないでしょうか。

今回、経団連だけではなく日本のトップ企業の首脳もこういった発表したということは一人の人として大きく受け止めていく必要があるとは思っています。おそらくですが経団連や自工会がこういったコメントをするということは、思いつきではなくかなり熟慮してのことではないかと思っています。

従って、この流れは不可逆的に起こっていくという前提に立った方が良く、 そうであるならば次を見据えて今の会社に居続けるあるいは将来的に外に出るということ双方を見据えて、学びあるいは現状の職場で深い経験を積むことに集中した方がいいのではないでしょうか。嘆くよりもですね。

人材あるいは HR の業界に関わっている人間からすると非常に大きなニュースでこれから働き方に対する日本国民の捉え方が大きく動いていく時期だなということを感じています。