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価格競争なんてしないブランドたちは「ベネフィット」のパワーを理解している

このnoteは何?
FICCのBX事業部にて、「ブランドとはなんなのか? どうすればブランドを豊かにすることができるのか?」それをみなさんと考えるnoteを書いています。ブランドエクスペリエンスクリエイティブ事業部(通称:BX事業部)は、ブランドの強みを再発見・強化し、ブランドを起点としたマーケティングやブランディング施策を提供することを目的とした事業部です。

FICC BX事業部の馬場です。

このnoteが入っているマガジン「本当の価値を生むブランディング戦略(仮題)」では、ブランディング戦略について書いていくものですが、今回はそのなかでも大切な要素のうちのひとつ、ベネフィットについてをご紹介します。ここを志向しているかしていないかで、消費者とのコミュニケーションは大きく変わってきます。

同質化・価格競争から抜け出させてくれる「ベネフィット」その意味

消費者へのコミュニケーション方法のひとつに、フィーチャーセリング(機能訴求)があります。フライパンが「マーブルコート!」「ダイヤモンドコート!」とか声高に言ったり、カメラが「何万画素!」「ISO感度いくつまで!!」とか言ったりするやつです。

ただ、このフィーチャーセリング、
▶欲しい機能を消費者が未自覚な場合がある(マーブルコートとダイヤモンドコートのどっちがいいなんてわかりますか?)
▶価格競争に陥る、同質化する
▶ブランドロイヤリティへの寄与が難しい
などの厄介ゴトを抱えています。

他方、ベネフィットセリングという消費者へのコミュニケーション方法もあります。こちらは機能ではなく、消費者が改善したかった状況の理想像を示す、提示するものです。

ベネフィットって? 食洗機の例

上でベネフィットセリング=消費者が改善したかった状況の理想像を示すもの、としましたが、ここで食洗機を例にした場合のベネフィットを考えてみましょう。

食洗機は「皿を洗ってくれる」という機能を提供してくれるものです。が、ある既婚の男性にとって、購入の背景に「食後に皿を洗わないことによってパートナーと喧嘩になってしまう」という状況があったとしたら、食洗機がもたらすベネフィットはパートナーとの喧嘩の原因をなくすこと、つまり関係の正常化です。

この「機能→ベネフィット」の構造を、FICCの福岡(BX事業部長)はさらに細かくこのように整理しました。

こちらの記事ではより詳細に整理しています。

関係性を改善するベネフィット

ベネフィットはいくつかの種類に分類でき、3つないし5つに分解して説明している場合もあります。が、私たちは、社会的ベネフィットと自己表現ベネフィット、この2つがベネフィットの誘引力として強いものを持つと考えています。さらにいえば、結局のところ「関係性を改善する」というところに、すべてのベネフィットが落ちてくるとも考えています。

それではここで、社会的ベネフィットと自己表現ベネフィットがそれぞれどんなものであるかをご紹介します。

▶社会的ベネフィット
社会的なロールを満たす(他者との関係性を改善する)ことを志向するもの。
・いい父親であるために◯◯する
・いい上司であるために◯◯する
・いい飼い主であるために◯◯する
などなど。
▶自己表現ベネフィット
自己表現の強化を志向するもの。
・テッキーな自分であるために◯◯を持つ
・イケてる自分であるために◯◯を着る
・かわいい自分であるために◯◯を飼う
などなど。

よくよく見ていただくとこの自己表現ベネフィット、「◯◯な自分であるために」というその「◯◯な自分」は、他者との関係性のなかに存在しているものであることがわかります。

なので、社会的ベネフィットはもちろん、自己表現ベネフィットも「関係性を改善するベネフィット」のなかに入ってくるのではないでしょうか。

社会的ベネフィットを刺激するCMを、プロアクティブがよくやっていました(今もやっています)。プロアクティブの機能を直接的に享受するのは使用する子どもたちですが、このCMは保護者ら(主に父親)に向けたメッセージを発信しています。

「子どもたちの笑顔を守れる父親になれる」という素晴らしいメッセージだと思います。

ベネフィットはどうやって発見できる?

ではこのベネフィット、どのように発見することができるでしょうか?

弊社代表の荻野は、以下のような6つの質問がヒントになると書いています。参照いただき、明日からのコミュニケーションづくりにお役立てください。


1. 消費者はどんな気持ちになりたいのか? どんな気持ちになりたくないのか?
2. 消費者は誰に認められたいのか? どう見られたいのか? どう見られたくないのか?
3. 消費者はどんな人物でありたいのか? どんな人物でありたくないのか?
4. 消費者は何に楽しみを感じるのか? 何に不安を感じるのか?
5. 消費者はどんな快楽を得たいのか? どんな苦痛を解消したいのか?
6. 製品機能はどのように競合との差別化を実現し、ベネフィットの提供を可能にするのか?

─DIGIDAY 「 消費者ベネフィット 」の定義に役立つ、6つの質問:ベネフィットセリング習得の第一歩より

以上、ベネフィットセリングについての概要をお伝えしました。このnoteが入っているFICC BX事業部のマガジン「本当の価値を生むブランディング戦略(仮題)」では、今後もブランディング戦略において重要なエッセンスをまとめていきます。ご興味あればぜひ。


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