見出し画像

私はお化粧をしたくない

お化粧をしたくない、というと少し語弊があるかもしれない。

より正確に文字に起こすと、

『女性は化粧をするのがマナーだという風潮がイヤだし、私はすっぴんでいたい。でも誰かにしてもらえるなら、たまには化粧をしてみたい』

になる。これを短い言葉にすると『私はお化粧をしたくない』に収斂される。

中学や高校は校則で化粧を禁止されているところも多い。けれど彼女らが読む雑誌や、憧れる女優やモデルやアイドルは、大抵みな綺麗にお化粧をしている。ファンに聞かれてInstagramやTwitterで使っている化粧品をシェアしていることもある。

たとえ校則で禁止されていても休日はそれに縛られない。
だから、みんないつの間にやら顔にパタパタ、目にくるくる、思い思いに化粧を施す。大学生ともなればすっぴんで大学へ通うことすら憚られる!というタイプの人たちも出てくる。

マスクをしている友人に『風邪?大丈夫?』と聞くと『違う違う!朝、化粧してくる時間なくて〜大丈夫だよ〜』と言われ初めてその価値観に気付く。もちろんお化粧をしたい人は女でも男でもそれ以外の性自認の人でも誰だってお化粧をすれば良い。すっぴんで人前に出るのが憚られると思うのも、それをマスクで隠すのもその人の自由だから。

彼女が『今日すっぴんだからマスクなの』と少し恥ずかしそうに笑ったのが、心ない誰かに化粧をしていない事を蔑まされた経験からではないことを祈りながら。

社会人ともなると、女性の化粧はマナーだという空気感が未だにある気がする。
例えば、ビジネスの商談で顔の血色が良い方が円滑に物事が進む、というなら女性以外のあらゆる人間に血色を良くするための化粧を促せば済む話だけれど、現実に男性にも化粧をすることをマナーとするような風潮はない。

私はお化粧をしたくなくなる。

最近は男性向けの化粧品ブランドやユニセックスの化粧品などがたくさん出てきたし、化粧品のモデルに男性が起用されることもある。

これは男女、性別・性自認を問わず【化粧をする】という行為がすべての人に開かれたアクションであることを示すだけで、女性が化粧をしなくても構わない、というステイトメントではない。(化粧品会社の広告は、化粧品を売り込むのが目的だからお化粧をしないを肯定する宣伝文句を謳うことはないのは分かっているけれど。)

私はますますお化粧をしたくなくなる。

誰もが化粧をする自由が少しずつ社会に浸透しているように、誰もが化粧をしない自由も同じように広がって欲しい。

バッチバチにメイクをしている人も、ナチュラルメイクの人も、すっぴんでいたい人も。

化粧をしていても、していなくとも、誰かに咎められたり、揶揄されたりしない世界を私は待ち望んでいる。

私はお化粧をしたくない。

それでもたまにはデパートの化粧品売り場で店員さんにお肌をパタパタしてもらいたい。真っ赤な口紅を試してみたい日もある。


でもやっぱり私はお化粧をしたくない。

だから今日もすっぴんで電車に乗り込みデートへ向かう。

これからもきっと出来る限りすっぴんで街を出歩くと思う。
私がお化粧をしない自由を、誰にも文句は言わせない。

サポート…!本当にありがとうございます! うれしいです。心から。