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美津江さんの影を追って ――由利子の広島紀行②

Day1 その2

いよいよ広島平和記念資料館だ。
ロシアのウクライナ侵攻後、入館者数が増えているそうだ。外国人も多い。
 
被爆者の遺品や被爆の惨状を示す写真や資料の展示の初めのところで、「被爆者の実相」という文字がまず目に飛び込んできた。
「実態」でも「事実」でもなく「実相」。あまり聞かない言葉で気になる。
広辞苑無料検索で調べると「実相」とは、「実際の有様。真実のすがた。」また仏教用語でもあり、「現象界の真実のすがた。」とある。まさに1945年8月6日、広島に何が起きたのか、その真実を伝えたい、伝えなければならないという想いがこめられているのを感じる。
一点一点の遺品はどこの誰のものかに加え、エピソードも紹介している。
ひと括りにした「被爆者」ではない。広島で確かに生きていた一人一人の存在の証そのものだ。
 
広島の原爆でその年の末までに約14万人の方が亡くなったという。そんなにもたくさんの方々がと思う。が、広島に行って強く感じたのは、何万人という数字ではないということだ。亡くなったのは、野口さんであり、山本さん、加藤さん、乙羽さんであり、伸ちゃん、しげるくんであるのだ。鈴木さんちの家族全員、おとうさん、おかあさん、英昭くん、公子ちゃん、護くん、昭子ちゃんなのだ。
 
広島は太田川のデルタ地帯で、川と川に挟まれた洲がいくつもある。洲の一つに平和記念公園がある。その場所の原爆投下前の地図や写真を見ると、びっしりと家や店が立ち並んでいる。そのすべての暮らしが吹き飛び、焼けたということなのだ。一発の爆弾で。
 
また竹造さんの台詞が聞こえてくる。
 
 

拡大して見ると、被爆前後の違いがよくわかる

昭和23年元気に生きている美津江さん、その後もきっと苦労があったろうなと展示を見ながら思う。
〈つづく〉

*   *   *   *   *
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