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【タヒチ】自分の夢が叶うことより嬉しいこと。

その時差19時間。
遠方にある東京からタヒチにいる私へSNSを通して飛び込んできた知らせは、私の目頭を熱くした。

数々の保育園で園長を勤めてきた友達のリョーコが、社長として、来春より自分の保育園を持つことが決まったのだ。

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彼女との出会いは、地元の先輩の友達という、近くも遠くもなくお互いに「知ってるよ」と言う距離感。その後、東京で再開し夢を語り同じビジネスに取り組み、姉妹のような関係になっていった。

結婚を機に上京してきた彼女は、どちらかと言うと家庭的で保守的なタイプの女性だ。進んで競争して出世したり、爆発力のあるタイプではなく、いつも周りが背中を押して、やっと腰をあげてやってみようかなと周りをキョロキョロしながら徐々にトライして行く。笑

ここタヒチに住む生物を例えるとヤドカリみたいな性格だ。少し歩いて、刺激になるものが現れると、すぐ殻に隠れて自分にとって平和が訪れるまでじっと待つ。そんな性格。笑

また、子供好きで根っから優しい性格と皆とうまく付き合える素質を持ち合わせている為、地道ながらも周りの協力を得やすい、そんな一面もあった。

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彼女は出会った時から、弱々しくはあるものの、夢を尋ねると決まって

「自分の園を持ちたいんだよね」

教育現場に携わり、日本の教育や給食のシステムにも疑問を抱いていたせいもあるのだろう。「自分の子供を預けたいと思える園作りがしたい」ともよく聞いていた。

だがそう遠くはない過去に、30代前半の彼女はそろそろ自分の子供も欲しいかと、保育園の現場から離れてベビーシッターに転向していた。そして、自分の時間を持ちながらあちこちで人と出会いご縁を繋ぎ、自分の園を持つところまでこぎつけたのだ。

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同じビジネスに取り組み一緒に夢を語り、「どうしたら彼女の夢が叶えられるだろう」「どうしたら彼女の良さを夢の軌道に乗せていけるだろう」と何度真剣に考えただろうか。今目の前で本人の顔を見たわけでもないのに言葉にならない感情が押し寄せてくる。

同時に、私の「世界一周」「旅をし続けるライフスタイル」を叶えた時に一番喜んでいたのは、私を東京で5年間ゼロから育てて一番応援してくれた人であった。

自らが人に愛情を注ぎ全力で応援し、また心から人を信じたことがなければ知り得ない感動はたくさんある。

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その日、彼女はとあるラジオ番組にゲスト出演していた。兼ねてから参加していた女性起業家サークルで、初めてフリーランスから経営者にステップアップした第一号者だという。

ラジオアプリから聞こえてくる、「自分の園」を持つことに対する意気込みを力強く語っていた彼女の声に思わず笑みが溢れたのだった。


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