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小さい子に障がい受容を求めるのって無理?

タイトルの通り。

子どもが障がい受容できるかどうかという質問をよくされる。

私の答えはいつもこうだ!「人による」

だって本当だもーん。

うちの次男くんの話を今日も一つしよう。感動的な話になるかもしれないから、ちり紙とハンケチを用意するように。

小学校入学前に幼稚園でも相談した。とても良く子どもを見てくれる幼稚園で大好きな幼稚園だ。先生の答えは決まって「成長はスローペースだけどトラブルを起こしたりするタイプではなく、むしろお友達思いの優しい子ですよ。もう少し様子を見てから進路を決めても良いのではないかと思います。」だった。

私も今のその現状はわかっている。

だけど、このまま何もしないでいたら、この富士山のように高い次男くんの自己肯定感が誰かの手によって崩された時にとんでもないことが起こるんじゃないか。。また、長男くんがすでに公立の小学校に行っていたこともあり、疑うべき自称ホワイティーな子達の行く末がなんとなく見え始めていたこと。そしてそして、私の高校まで同じ学校だったという障がいがある子の大人になった姿を知っているからの3点セットが私の前頭葉にドンと乗っかっていたからである。

市の療育センターにも次男くんに会ってもらい相談もしたのだが、私の求めている感じの対応ではなく、幼稚園の先生と全く同じ答えだった。ま、この時の私はまだ自分自身が我が子の仮性障がい受容者だったので、無理もない。教育センターの方に全くをもって落ち度はないのだ。

「そうだ!検査を受けてみよう!」

JR東海のCMである「そうだ!京都に行こう!」と同じノリだ。

まさに突発的な思いつきを体良く表す最高の文句だ。ありがとうJR東海。

私はたまにこのCM文句で自分自身にエンジンをかける。

突発的な思いつきだったので、もちろん深く考えたり、ここがいいんじゃないかとか探すこともなく、近所の聞いたこともない子ども発達クリニックの門をたたく事にした。

聞いたこともないクリニックの先生はおばあちゃんだった。

そこは私が小さな頃から母に連れられてよく行っていた喫茶店の隣にできた比較的新しいクリニックで、帰りにパフェでも食べて帰って来れたらという次男くんとのデート優先の計画だった。次男くんは食べ物で釣るといとも簡単に釣れる。釣り堀のニジマスと同じなのだ。ゴレンジャーなら絶対にイエローになるであろう逸材だ。

クリニックの受付で今までの次男くんの発達の経過を問診票に記入し、先生に呼ばれるまで座って待った。その時までは次男君は本を読んだりしながら私の隣で大人しく座っていた。

先生から呼ばれて入った部屋は、刺激的なものを全く置いていないとてもシンプルな内装だった。だだっ広い部屋に先生であろうおばあちゃんが一人大きな机を前に座っていた。子どもが絶対手を出すであろうクルクル回る背もたれのない丸い椅子が3つ置かれているだけの部屋に私たち親子は通されたのだった。

初めてみる異様な雰囲気の部屋に、次男くんは案の定落ち着きがなくなった。その初めての空間に耐えられなくなって身体が動き出したのだ。なんなら私も一緒に逃げ出したいくらいのとても異様な空間だった。

私の後ろでその丸いすでスケートを始める次男。。なかなか楽しそうに汗だくで滑っている。ちょっと太った次男くんは汗をかきやすい。ゴレンジャーのイエローも同じだったと記憶している。

いつもなら注意して隣に座らせるところだが、今日はある意味覚悟してきているので、ありのままを見てもらった方が良いと、注意せず放置プレイを決めた私。

おばあちゃんは私からさっき問診票に書いた情報をまたゆっくりと聞き始めた。同じこと何度も聞くんだね、おばあちゃんだから?と、心の中で一人ツッコミした。

おばあちゃん「一度検査してみようか、それから今後どうするか決めましょう」

私「はい」

なんじゃい!問診票の内容を読み返して、それだけですか。。

帰りに隣の喫茶店で甘いものを食べて、脳にみなぎる力を与えた。次男くんも椅子スケートのやりすぎで疲れ果てていたので、モリモリパフェを食べてエネルギーチャージ。そして一言「僕の病気が早くわかって治るといいね」と言う。

ちょっと泣きそうになったが、そんな次男の気持ちに応えるべく、もらった紹介状を持って、発達検査をしてくれるカウンセリングルームに予約した。

後日、カウンセリングルームの先生と面談し、WISCーⅢ(ウィスク)という発達検査を受ける事になった。検査中の次男はとても協力的で頑張っていたと聞いた。

まじいいやつなんだよな、次男くん。自分の事より人のことを一番に心配するようなやつで自慢の息子くんなんだよ。。きっと小さいながら頑張らないとって思ったんだよね。いつもうちに生まれてきてくれてありがとうって思うんだ。ポンコツだけど優しい子なんだよ。だからこそ余計に苦しい思いをさせたくない、幸せになって欲しいって思うんだ。

通常級に行って普通の子として育てる事ときちんと支援を受けて育てること、どちらが良いのか大きな葛藤があった。だって行ってみないとわからないよね、どっちがいいかなんて。だから検査を受けて傾向を知ろうと思ったんだ。傾向がわかれば対策がきっと取れると思ったからだ。

2週間後、検査結果が出たため、再度次男くんとカウンセリングルームを訪ねた。

言語理解、知覚統合、注意記憶と大体90以上はあった。 

そう、「処理速度」を除いては!!!!!!!

処理速度めっちゃへっこんでるやんけー!!!!

また検査内容の積み木は高いけど、絵画は低いなど凸凹っぷりが見て取れる。そして協力的に検査を受けていたと聞いていた次男くんだが、答えがわからない問題の時には一度床に寝そべってから答えていたそう。寝そべっても答えることをやめなかったのは偉かったが、ストレスが溜まると通常の動きができない(多動性が高まる)と言うことがよくわかった結果だった。

カウンセリングルームでは診断はしないので、この結果を持ってまた例のおばあちゃんを訪ねなければならない親子は、近くのデパートのレストランで高級洋食のコースをガッツリ食べて、心を落ち着かせてから二人でこの結果についてのリマインドをした。

私「あのさ、家の隣が火事になったら、うちわで仰ぐってなんで答えたの?」

次男「自分の家に火がうつったら燃えちゃうから、こっち来ないでって思った」

私「うさぎとは?の質問にぴょんぴょんして床を飛び回ったんだってね」

次男「だって言葉で説明できないもん」

私「牛乳とジュースの違いは?の質問に味と色が違うって答えたんだってね」

次男「他に何か違いがあるの?」

そうだよね。。うさぎと牛乳&ジュースの質問。私もどう答えていいかわかんないや。牛乳は牛の乳で、ジュースは果物を絞ったやつだよーと答えれば正解だったのか。。ましてや年長さんだよ、幼稚園の。答えられるのかなぁ。。帰ったら年少の娘に聞いてみよっと思った瞬間だった。いや、小学生の長男にも聞いた方がいいな。。

難しいぜ、WISC-Ⅲ…

そしておばあちゃんの診察へと向かった。

おばあちゃん結果を見て一言

「お薬服用するほどじゃないから、病院でやれることはないんだけど…小学校悩んでいるなら私立の小学校の方がこの子が楽になれる可能性が高いよ」

お薬服用がないと、病院ってかかる必要ないの???

私が子どもの発達クリニックジプシーとなった瞬間だった。

今ならいろんな手があるってわかるよ。でもさ、初めて行ってみたクリニックで薬飲まないなら来る必要ないって、あーた私ゃ今後どうしたらいいのさ!!

隣の喫茶店でまたもや脳に活力を与える親子、それは私と次男。。頭の中には今後あのくぼんだ処理速度をどうしていったらいいのかの悩みと私立なんてどこに行かせたらいいのかわからんぜよの悩みでぐるぐる整理がつかない状態だった。

次男くんがあの高級洋食店のコースを食べた数時間後に、パフェをまた頼んで食べている姿だけは覚えているが、自分が何を食べたのかは全く覚えていない。

車で帰り道に次男くんが私に問いかけた

次男「僕の病気わかったの?」

私はこれを聞いた途端嗚咽して泣いてしまった。なんの涙だかわからないが急に今までの障がいを否定していた感情と障がいを受容していた感情が入り混じってしまったのだ。

私「わかったよ。でもお薬を飲んで治す病気じゃなかったんだよ」

これを答えるのがやっとだった。

次男「じゃ、これからは◯◯ちゃん(←子ども達は私のことお母さんではなく、名前で呼ぶ)気にしなくていいよ。僕が頑張って治すから、だから泣かないでね。」

私はわずか6歳、年長の次男にこのセリフを言われてしまったのだ。

車を止めてから、次男を抱きしめてかなり長い時間大号泣した。大人になってからこんな泣き方できるんだって思うくらいに。次男くんは優しく私を抱きしめ返してくれた。

そして、これから先、何があっても絶対に次男が幸せになれるために全力で努力をするんだと心に誓ったんだ。

次男は今でもこの言葉を忠実に守っている。自分の障がいを受け入れて、どうやったらみんなに自分のことを理解してもらえるかをいつも考えて行動している。もちろん大変な小学校生活なども経てだし、思いこみで行動することもあるから、ものすごいポンコツぷりも発揮するが、それでも自身の障がいを周りに丁寧に説明し、理解してもらいながら、楽しそうに生きている。

人それぞれ性格も違うから、できない人もいるかもしれないけど。

うちの次男君はやっているし努力している。

だから小さいからとか関係なく、やってやれないことはないと思うんだ。

だから私も年齢に関係なくやってやれないことはないと思うんだ。

それが私が大学に入り直した一番の理由。次男くんが幸せになるために、そして次男くんと同じような人々が幸せになれる世界が作れるよう、これからもあの時の誓いに真摯に向き合っていきたいと思うんだ。


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