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光に溢れる美術館

先週、日本に一時帰国をした際に、姉の住んでいる長野を訪れた。軽井沢は光と緑が美しい場所だと思う。

ミラノに住み始めてから、美術館巡りが日課のようになりつつある。今後はミラノでの美術館巡りの記録もnoteにアップしていきたい。

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軽井沢千住博美術館

エントランスを入ると、思わず息を飲む。
千住博氏の代表作である「フォーターフォール」に正面で出迎えられ、
その圧倒的な存在感と、
そして同時に明るく光りに溢れる空間が広がり
あまりの美しさに言葉を失う。


こんなにも自然の光を取り込み、
まるでガーデンハウスの中にいるような、非常に心地よい空間の美術館に初めて出会った。軽井沢の光、風、自然と融合した美しい美術館だ。


空間は、区切られずにひとつながりで、グレーの床が奥に向かって傾斜していることが足裏を通して伝わってくる。建物の中にいるはずなのに、自然の土の上にいるような不思議な感覚である。
建物の外周は、曲線を描くガラス張りで、木々の緑や自然光が室内に柔らかく入ってくる。

ひとつひとつの展示の仕方、ライティングもうっとりするほどに美しい。



イタリア、ミラノで日々多くの美術館を訪れているが、
それとはまた違う、
一見、シンプルで、さらっと素っ気なく見える。
しかし、曲線を描いている中庭のガラス、床や天井の段差を全く感じさせない緩やかな傾斜。自然の傾斜をそのまま残していると言う。

軽井沢の美しい森の中に、アートと建築が一体となった空間は、
まさに、美しく創造的な新しい世界だ。


千住博は言う。

”芸術とは、平和創造の知恵。人と人が痛みや喜びを分かち合うためのもの”であると。

日本に一時帰国して感じるのは、これまで当たり前すぎて気づかなかった、シンプルで一見あまり主張がなく、見過ごしがちな日本の繊細な美しさを、より深く、より心地よく、感じるようになった自分自身の変化である。


たとえば、これ。

トイレのマークなのだけど、たまらなく美しいと感じてしまった。笑

大学院でデザインを学んでいるといえど、私はエステティックなデザインではなくビジネスデザインを学んでいる。けれど、ミラノでの日々の生活がエステティックな美に溢れ、日々それらに触れているからか、こういう美しさに以前よりも敏感に反応するようになっている。

そんな自分に気づけた、一時帰国。




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