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悲劇のヒロイン

「もう付き合えない」

あなたは過去に、このような別れ話をしたことがあるだろうか。

あるいは自分がされたほうかもしれない。

わたしは残念ながら後者だった。

はじめてのこいびと

出会ったのは、高校2年生のとき。

はじめて人を好きになって、はじめてデートというものをして、はじめて浴衣を着て花火大会にいった。

こどもの頃に憧れていた、少女マンガのワンシーンみたいだった。

高校生から大学生にかけて長い間つきあっていたが、あるとき別れ話を切り出された。

これまでに人とつきあった経験がなかったわたしは、もちろん人と別れるという経験もなかった。

「こころにぽっかりと穴があく」

よく聞くことばだけど、まさにそんな感じだった。

欠陥人間、誕生

わたしは自己肯定感が低い。

おまけに超内向的。

極力、人と会いたくないし、自分の部屋にいたいし、ひとりで生きていきたい。

世界はいつだって暗いし、くもり空のまま。

思えば、別れを切り出されたこの瞬間に、この思いが生まれた。

こころにぽっかりと穴があいて、なにをしててもつまらない。

たぶん、こころにその人のことを考える場所があって、別れた途端にそのスペースが空いたんだと思う。

にんげん。

人間の体は人体模型である程度の臓器の位置や形がわかってるけど、こころはどういう形をしているかまだわかってないんだって。

わたしが考えるこころは、おくすりケースの形をしてる。

こころに入れられるのは数が決まっていて、それ以上のものは入らない。

ひとつなくなると、

なんだかものたりない。

入れるものはなんだっていい。

ただ、そこにぴったり合うものであれば

人生の主人公は自分

わたしが悲しみに暮れていたときに多くの人が語ったことば

「別れるなんてよくある話じゃん!みんなも同じだよ!」

「みんなもつらい思いしてるんだからさ、ひとりだけ悲劇のヒロインぶってもダサいよ」

そのときは、「そうか、わたしだけじゃなくみんなつらいんだ。みんな悲しい思いを抱えて生きてるから、落ち込むのはやめよう」と思ったけど。

いまになって考えてみると、これはちょっとおかしい。

人生の主人公は自分であるはず。

であれば、わたしは悲劇のヒロインだ

「みんなもつらい、あなただけじゃない」

たしかにそうだけど、わたしの人生の主人公はわたしなので、わたしが悲劇のヒロインだ!


みんなが悲劇のヒロイン

こいびとと別れたこととか、第一志望の大学どころか志望してたところすべてに落ちたこととか、仲の良かったともだちがモテすぎてわたしは空気のような存在だったとか、やっとの思いで受かった職場で散々嫌な思いをしたとか、思い返せばどんどんいやな思い出がよみがえってくる

わたしは悲劇のヒロインだ。

でも、そんなわたしがちょっとすきだったりもする。

「こんなにかわいそうなわたしだけど、今日はかっこいい人に声をかけられた!じつはけっこうモテたりして?」

「こんなにだめなわたしなのに、今日はやることリストぜんぶ消化できた!じつはできる人間なのでは?」

根がネガティブ思考だから、最初がマイナスから入る。

そのぶん、いい方向に向かうとめちゃくちゃ自己評価が上がる。

自己肯定感が高くなる。

ネガティブなのもわるくはないかもと思える。

内向的であり自己肯定感が低いネガティブ思考

そんな人生を生きてみるのも案外わるくない。

わたしの人生ではわたしが悲劇のヒロインなので、あなたの人生ではあなたが悲劇のヒロインだ。

かなしいことがあったらかなしめばいいし、つらいことがあったらつらくなればいい。

あなたの人生なので、無理をせず、遠慮もせず、自由に振る舞うことができる。

だれにも迷惑はかかってないし、かけたいならかければいい。

だって、あなたはあなたの人生の悲劇のヒロインなのだから。

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