「初めての人生の歩き方――毎晩彼女にラブレターを」(有原ときみとぼくの日記) 第67話:昨日はごめんね。本当は一緒にいたいだけなんだ。
昨日はごめん。
と、彼は朝一に何度もいようとしたがなかなか口からその言葉が出なかった。それはプライドが邪魔してのことだった。
彼は気まずい中、少しだけ瞑想をした。
そして決めた。
「昨日はごめん。よかったら仲直りしたいです」
プライドなんて必要ない。
大切なことは彼女たちに喜んでもらうことだ。
そして彼らは少し話し合って、無事に仲直りすることになった。
子供にもきちんと誤った。
ケンカは起きる。
とつぜんやってくる災害のように、悲しみや苦しみは避けられない。そのときにどう捉え、なんのための悲しみかを考えることが大切なのだろう。
彼らは昨晩の間に成長した。
涙と夜風はときにやさしく見守ってくれる。
願っても切れる縁、偶然としか言いようのない縁。
二人の距離はまた縮まった。
二人は向かうべき方角を改めて見つめなおした。
午後。
家でのんびりしてから、外に。
彼女の産土神様に挨拶をしに行き、そのまま近くの公園でバドミントン。
汗が流れるまで遊び、早めの晩ご飯。
悲しみは突然やってくる。
彼はトイレに行っているときにインスタのストーリーを見たのだが、その内容が彼にショックを与えた。
自分が勝手に親切にしただけだとは理解していても、心の中で仲間外れのような寂しい感情が渦を巻いていた。
その数十分後ぐらいに、別件でまた彼に悲しみが襲った。
(内容はちょっとふせておきますが、身近な人に陰口っぽいことを言われただけです!)
心の動揺は怒りに変わり、その怒りを鎮めるとそれは悲しみになって彼は涙をこらえるのに必死だった。
地下鉄の風がいやに生暖かった。
別れのとき、子供が言った。
「ちょっとこっち向かんといて」
彼はなんだろうと思い少し遠くを歩いていた。後ろを振り返ると彼女と子供がこそこそとしている。
子供が彼に向き直り、走ってやってきた。
「これ、あげる」
手にはその子の大好きなお菓子が握られていた。
地下鉄の風がとても心地よく感じられた。
彼らは別れた。
電車の中で彼はひすいこたろうさんと吉武大輔さんの本「パズるの法則」を読みながら、あるページのワークをやっていた。
「こんなことが叶ったらうれしいということを今から書き出してください。ここに書かなかったものは一生叶わないというつもりで全部書き出してくださいね」
制限時間は15分。
彼は書き出した。
小説家、バンドデビュー、音楽家、世界一周、親孝行、彼女と結婚、ノーベル文学賞、、、。
ここで筆が止まり、彼は悩んだ挙句ページを開いた。
※ここからはワークのネタバレになるのでご注意ください。
よかったら皆さんもワークをやって見てもらえると面白いと思います!
「では質問です。願いが一つしか叶わないとしたら、この中でどれを選びますか? そしてなぜその一つを選んだのか、理由も併せてお考え下さい」
彼はすぐに選んだ。
――彼女と結婚。
理由は、小説家やバンドデビューしたところで、彼女がいなかったら意味がないから。
彼は気がついた。
本当にしたいことは彼女といたいだけなんだ。
そのスタイルが小説家だったら嬉しいだけで、本当の望みはただ彼女と過ごす日々を大切にしたいだけなんだ、と。
電車は揺れる。
彼の目は潤む。
今日は本当に素晴らしい夜だ、と彼はこれからの未来を想像して、家に帰る途中に空を見上げて静かに笑うのだった。
☆
昨日は本当にごめんね。
そしてありがとう。
今日は、それだけをきみに伝えたい。
きみに出会えた人生を誇りに思う。
心から愛しているよ。
☆
初めての人生、安定などどこにもない。
失敗はするし、後悔だってする。
不安や恐怖だっていつ襲われるのか想像もできない。
それでもぼくたちが生きていくことができるのは、
その想像の力だと思う。
不安や恐怖がやってくるということは、
幸運や幸せもやってきているはずだから。
想像しよう。
この世界は自分の想像通りにつくられていく。
まずは自分をゆるして、
愛してあげていくこと。
ぼくはいま「まなゆい」というものをいつもやっている。
悲しいと思った自分を受け入れ、認め、許し、愛しています。
この「悲しい」の部分に自分が思ったことをなんでも入れてとにかく言葉に出していくんだけど、
もちろん、昨日の夜もやりまくりました。
人生は冒険だ。
やってみないと分からない。
まず、できることを、ゆっくりと。
大丈夫。
みんなだって人生初めてなんだ。
失敗して当たり前。
当たり前に当たりをつけよう。
考え方で世界は変わる。
明日はいったい、
何色の世界が広がっているのだろうか。
わくわくして眠れない。
明日もあなたは信じられないぐらい、ありえない幸福をたくさん受け取る自分を受け入れ、認め、許し、愛しました。
おめでとう。
ありがとう。
おやすみなさい。
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