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ChatGPTに、エンジニアのキャリアカウンセリングをお願いしてみた

こんにちは。tatsumiです。

みなさんは、将来のキャリアについて考えることはありますか?
私は、カフェに来店したお客さんが誕生日だった時にギターで一曲歌って帰っていくジジイになることが夢なのですが、どうやってなればいいのか見当が付かないため、日々頭を抱えながら過ごしています。

しかし、最近は人生相談もAIに投げかける時代とのこと。
今日は流行りの「ChatGPT」というサービスを使って、キャリア相談をしてみたいと思います。

一応ChatGPTに関する説明

ChatGPTは、OpenAIが2022年11月に公開したチャットボットです。https://openai.com/blog/chatgpt/
ChatGPTは2023年2月現在、リリースから2ヶ月あまりで全世界ユーザー1億人を突破しました。これは今までリリースされてきたサービスでダントツの最速だそうです。

質問に対する回答の精度の高さに定評があり、日本語にも対応。
お題を与えたら小説を書いてくれる様子もTwitterでバズり、2月現在もどこかしこでこのサービスの名前を聞きますよね。

それでは、早速ChatGPTくんにキャリア相談をしてみましょう。

カフェに来店したお客さんが誕生日だった時にギターで一曲歌って帰っていくジジイになりたい人は少ないと思いますので、
今日は、Webエンジニアのキャリアについて、相談を投げかけてみたいと思います。

はたして、タメになる意見を得ることはできるのでしょうか?

ChatGPTくんがやる気になってくれたので、早速本題に入りましょう。
自分にWebエンジニアを憑依させ、ざっくりとした経歴を書き、抽象的な質問を投げかけてみます。

仕事柄、エンジニアのキャリア相談を4年ほど受けてきた私ですが、この情報だけでいきなり「どういった企業を受ければいいでしょうか?」と相談をされても、正直何から話したらいいか困ってしまうものですが…

果たしてChatGPTくんの回答は!?


すげえ。

しっかり会話になっているし、

  • 「Webアプリ開発に特化した企業やEコマースサイトを運営する企業」を勧めたり、

  • 「自社開発の経験を活かせそうな開発チーム」を勧めたり、

  • 「興味のある分野を特定してね」というアドバイスをしてくれたり、

至極真っ当なアドバイスをしてくれました。
興味ある分野を特定してくれと言われたので、とりあえず意思表明をしてみましょう。

「音楽分野」というざっくりした希望から、「ストリーミングサービス」や「音楽アプリ」といったもう一歩ブレイクダウンした選択肢を提示してくれましたね。

また、「フルリモートワークがいい」というわがままも無視せず拾ってくれるのも好感度高いです。
アンタ!世の中フルリモートワークの会社ばっかりじゃないのよ!本当にリモートワークであることがアンタの第一優先なの!?と言われてもおかしくないシーンですが、ChatGPTくんは非常に褒め上手な性格であることが伝わってきます。


…って、アレ???

ChatGPTくん!?

話、

終わらせようとしてる〜〜〜!?

いいえ、もう少し踏み込んで聞いてみましょう!
伝家の宝刀、「具体的な求人情報を教えて下さい」を使います!
流石にここまで踏み込むと、お茶を濁して尻尾巻いて逃げ出すのではないでしょうか!!?!?!?

NANI !?


まさか…具体的な企業名まで出してくるとは思いませんでした。

「〇〇業界に興味がある」といった要望から、細かな分野をブレイクダウンして教えてくれるだけでなく、具体的な企業名を含めて教えてくれるとは…正直ナメてました。すみません。

ですが、具体例として挙げられた企業は、どれも有名企業。
優秀なエンジニアの集まる環境で、魅力的な企業であることは間違いないのですが、入社するためのハードルは大変高く、私でもチャレンジできるのか不安になります。

ちょっと弱音を吐いて、ChatGPTくんの出方を伺ってみましょう。

「可能性はありますか」と聞かれたら、「あるっちゃある」という回答。
今の実力だと難しいかもしれないが、数ヶ月後、数年後に実力がつけばハードルを越えられる可能性があるという、大事な考え方を再認識させてくれました。要は、勉強せいということですね。

また、人間は持っているカードでしか勝負ができないので、自分のカード(=スキル)は何なのかを把握することが重要であると、真っ当なアドバイスもしてくれました。

「配られたカードで勝負するっきゃないのさ、それがどうゆう意味であれ」PEANUTSより

「スキルセットとキャリアゴールを明確にさせよ」というお告げをいただいたので、是非手伝ってもらいましょう。
キャリアゴールとは、いわば「どんな人間になりたいか」「誰のようになりたいか」といった将来像。イメージが湧かない、憧れる人もいない、という方は、案外多いのでは無いでしょうか。
ChatGPTくんは、どのようなアドバイスをくれるのでしょう。

うーん、手順を教えてくれましたね。
4つのステップの流れはわかりますし、納得感もあるのですが、これ以上1つ1つのやり方を深く掘り下げることが、どうも出来なさそうです。
「得意なことを整理して下さい」と言われて、「自分の得意なことが何なのかよくわからない…得意なことなんてないんじゃ無いか?」と考えてしまう人は多いのでは無いのでしょうか。
この痛みを、どうにかしてChatGPTくんに理解してもらえればいいのですが…

ちょっと、ここからどう掘り下げていいか見えなかったので、ひとまず先のステップに進んでみましょう。
キャリアゴールを自分で仮に決めて、ChatGPTくんにぶつけてみます。

僕にもできるようです。

…さて、今回は敢えて、質問を投げかける私からは「ざっくりとした要望」を投げかけてきたので、ChatGPTからの回答も同じようなレベル感で返ってきました。
ユーザーからより具体的な悩みや質問を投げかけると、ChatGPTの回答も濃くなっていくのでは無いかと思います。

OpenAI社へのコネ入社に失敗したところで、今日のやりとりからChatGPTに対する理解が少し深まりました。
ここからは、「ChatGPTはキャリア相談の相手として有効か?」という観点で、整理してみます。

ChatGPTの特徴1:こちらに質問してこない

一番最初に気づいた点は、「ChatGPT側からユーザーに質問してこない」という点です。相談に乗る為には、まずユーザーのニーズに関する解像度を上げていく必要があり、その手段として質問が有効であると思うのですが、ChatGPTくんは我々に質問してこないんですね。

「転職したいのですが、どう言った企業を受ければいいのでしょうか?」という質問に対しては、「何故転職したいのか」「どういうジャンルに関心があるのか」「転職によって何を得たいのか」などといった、ユーザーの言葉の奥にある考え方を理解するための質問が浮かんでくるものですが、現在のChatGPTくんにはそれが無い。

解像度を上げていくための質問の応酬がない為、1で聞かれれば1を返し、10で聞かれれば10で返し…といった会話になる印象を受けました。

ChatGPTの特徴2:ユーザー側が、話の方向を誘導していく必要がある

特長1の話の延長線上となりますが、あくまでChatGPTは「こちらからの質問に素直に答える」といった構造であると思われるため、ユーザーの「質問するスキル」が問われているように思います。

キャリア相談に関しては、「何を聞いたらいいかわからない」「どう進めていいのかわからない」といった、WhatもHowも両方はっきりしていない上での相談となるケースが多いと考えています。ですがユーザーが自分の思考や意志を示せない限り、ChatGPT側からは何も伝えられない。

また、ChatGPTが示してくれるのはあくまで手順書で、手順に沿ったユーザーのアウトプットに関しフィードバックをしない為、人間のサガとしてはそこに物足りなさを感じてしまいます。

例えば、「キャリアゴールを決めましょう」というお題に対して、ユーザーが「私はとにかくつよつよなエンジニアになりたい」と言おうが、「私は世界を代表するAI SaaS企業のエンジニアリングマネージャーとなり、日本の労働生産性を向上させるプロダクトの開発を推し進めたい」と言おうが、ChatGPTはただ「わかりました。ではそこに向けて頑張ってくださいね」と肯定するだけなのでは無いでしょうか?

ChatGPTの特徴3:可能性の提示はしてくるが、実現性については考慮されていない

具体的な会社を紹介してくれ、というユーザーの要望に対し、企業名を提案してくれました。ChatGPTが海外産のサービスが故に、海外の大手企業のみを提案してくれるのはいいとして、「このユーザーはこれらの企業に転職することができるか?」という実現性に関しては考慮されていないですよね。

ユーザーの、「何という会社を受けたらいいでしょうか?」という言葉の前提には、「僕でも入社のチャンスがある会社」という条件があるはずですが、これは日本語の巧妙で難しい点なのでしょう、ChatGPTくんに汲み取れと言うのもちょっと酷な話なのかも。

ポジティブな捉え方をすれば、ChatGPTくんは「実現性なんて知るか!すべての可能性を提示したんだから、かたっぱしからエントリーしやがれ!」という熱血指導をしてくれたのかもしれません。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

ユーザーのどんな質問に対しても意を汲み取り、的を得たアドバイスをしてくれたこと、弱音に対しても前向きな回答をしてくれる点は素直に驚きました。英語に比べて日本語の対話AIは全然ダメみたいな先入観を持っていたのですが、いい意味で覆されました。

とはいえ、「ユーザーのエンジニアとしてのキャリアプランや要望、および、エンジニアとしてのスキルを解像度高く把握し、そのスキルと要望に沿った企業を提案する」という複合的な行為を、現段階のChatGPTがパーフェクトにこなせるかというと、まだその段階では無いという印象を受けました。

しかし、技術は日進月歩。
1on1のQA行為だけでなく、ユーザー要望の深掘りのための質問や、希望と実現性の統合や折衷案の提示などもAIができるようになれば、話は大きく変わってくるのでは無いかと感じました。

※私がChatGPTを使いこなせていないだけという可能性も十分にありますため、建設的なご意見ご感想あればお気軽にコメントいただけますと幸いです。

相談相手として、人間って頼もしいねということを再認識できましたし、
まだまだAIの実力も上がっていきそうで楽しみですね。

安心したので、森へ帰ります。
さようなら。

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