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【まとめ】配信映画傑作選! 緊急事態宣言、自粛生活のおともに!

2020年は映画を取り巻く環境が大きく変化しました。新型コロナウィルスの感染拡大により映画館の相次ぐ休業など、興行収入に大きな影響を及ぼしたのは明らかです。先日中国の興行収入が北米を抜いて世界一になったとのニュースがありましたが、前年比約70%減と決して数字として奮っていたわけではありません。

日本では『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』の歴史的大ヒットの恩恵はあれど、新たに緊急事態宣言発令の見通しが取り沙汰されており、予断を許さない状況です。

映画館の興行収入が下がる一方で、映画のあり方も大きく変わってきています。2020年7月に行定勲監督作品『劇場』が劇場公開と同時に、Amazonプライムで配信開始と前例のない試みを決行。続いて9月には1998年のアニメ映画の実写リメイク『ムーラン』を、Disney+が独占配信に切り替えたことが話題になりました。12月には劇場公開から一変して、同じくDisney+の独占配信になった『ソウルフル・ワールド』もあります。

そんな状況下で、劇場公開されずに配信オンリーとなった作品は数多くありました。配信だけになったからといって決して作品の質が劣っているわけではありません。この中でも傑作と呼べる作品がたくさん輩出され、大きなプロモーションを打たれていたわけでもなく、作品自体知らないという方も多いはず。

今回はそのような配信だけとなってしまいながらも、埋もれてしまうには勿体ない良作の数々をランキング形式で(一部ランク外も)紹介していきます。

なお、2020年の劇場鑑賞映画のベストについても記事を書いておりますので、よければこちらもご覧ください。

❶ザ・ウェイバック

<あらすじ>ジャック・カニンガム(ベン・アフレック)はかつて順風満帆の人生を送っていた。高校ではバスケットボールの天才として鳴らし、大学へは全額支給の奨学金が約束されていた。ところがなぜか突然、バスケットコートから去り、輝かしい未来を自ら棒に振ってしまう。それから数年が経った今、ジャックはやりがいのない仕事に行き詰まり、酒に溺れ、それがもとで結婚も人生への希望も失っていた。そんな折、彼は母校からバスケットボールのコーチを頼まれる。往年の黄金時代の見る影もない落ちぶれたチームの再生をジャックは渋々引き受けるが、そのことに誰よりも驚いたのがジャック自身だった。選手たちがチームとしてまとまり、勝ち始めるにつれ、ようやくジャックにも、自分の人生を狂わせた悪魔と戦う覚悟ができたかのようにみえた。だが、果たしてそれだけで空白を埋め、心の古傷を癒やし、もう一度やり直すことができるのだろうか?(dTV公式サイトより)

『アルマゲドン』『ゴーン・ガール』『ザ・コンサルタント』のベン・アフレックがアルコール依存症に陥ったバスケットボール指導者として再起を図る物語です。個人的には抑揚のない演技の彼は、作品によって大きく印象が変わらない俳優なのですが、『ザ・コンサルタント』の感情の起伏のない会計士兼殺し屋の役をした際にはなんという適役だ、と感じたほどです。

同作と同じギャビン・オコナー監督との再タッグということで、彼はアフレックの魅力を最大限に引き出すことができる稀有な監督だと認識しました。さらには、アフレック自身が過去にアルコール依存症悩まされたバックグラウンドがあり、物語をよりリアルに感じました。

アフレックは『グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち』で、幼なじみのマット・デイモンと共同脚本にて若くしてアカデミー脚本賞を受賞するなど成功を収めながらも、関わった作品の興行失敗や前述のアルコール依存症など浮き沈みの激しいキャリアを送っていました。

作品では、アフレック演じる主人公のジャックは高校時代にスタープレイヤーとして名を馳せながら、自堕落な生活に溺れる落差が描かれており、さらには高校生たちとの交流を描いていくことで彼が再起を図っていく物語は爽快感があります。

アルコール依存症の恐ろしさを映像面でもうまく表現しており、社会派作品としても人間ドラマとしても秀逸な作品でおすすめです。

本作はAmazonプライムのほか、U-NEXT、dTV、RakutenTV、ビデオマーケットで有料コンテンツとして視聴可能です。残念ながら、配信見放題のサブスクはありませんが、それでも観る価値ある作品でございます。

❷タイラー・レイク-命の奪還-

<あらすじ>「マイティ・ソー」「アベンジャーズ」シリーズのクリス・ヘムズワースが主演を務め、「キャプテン・アメリカ」「アベンジャーズ」シリーズの監督アンソニー&ジョー・ルッソ兄弟が製作、「アベンジャーズ エンドゲーム」などでスタントコーディネーターを務めたサム・ハーグレイブが初メガホンをとったNetflixオリジナル映画。誘拐された少年を奪還するべく敵だらけの街に潜入する傭兵の死闘を描いたサバイバルアクション。裏社会の危険な任務を生業とする凄腕の傭兵タイラー・レイクは、ムンバイで誘拐された犯罪組織のボスの息子を救出するため、ギャングが支配するバングラデシュのダッカ市街地に向かう。敵のアジトに単身突入したタイラーは少年の奪還に成功するが、街中のギャングたちから猛追を受ける。絶体絶命の状況の中、卓越した戦闘スキルを駆使して戦うタイラーだったが……。Netflixで2020年4月24日から配信。(映画.comより)

今観るべきアクション映画として自信を持っておすすめできる作品です。

MCUの『アベンジャーズ』シリーズで雷神ソー役としてお馴染みのクリス・ヘムズワースですが、同シリーズを圧倒するほどのCGに頼らない迫力ある近接格闘アクションを見せてくれています。

この作品を語るうえではずせないのが、監督のサム・ハーグレイブです。『キャプテン・アメリカ』のクリス・エバンスのスタントマンとしても有名で、世界一のアクション集団としても名高い”87イレブン・アクション・デザイン”の中核メンバーの1人なのです。

有名どころでいえば『アトミック・ブロンド』やキアヌ・リーブスの『ジョン・ウィック』シリーズのアクションを手掛けた会社。チャド・スタエルスキ(『ジョン・ウィック』監督)とデヴィッド・リーチ(『アトミック・ブロンド』監督)が設立した会社で、ハーグレイブは次代のアクション界を担う1人とも考えられ、そんなアクションのスペシャリストが本作でついにメガホンを取ったのです。

正直なところ、あまりにもダイナミックな格闘アクションやカーアクションの連続で、映画館で鑑賞できなかったのが残念なほど。2020年4月の配信開始から1ヶ月の視聴世帯数がNetflix史上最多を記録し、続編の製作も進行中とのこと。

アクション好きには是非とも観ていただきたい作品です。Netflixオリジナル作品のため、配信はNetflixのみですが、本作を観るために契約する価値もあると思います。

❸サウンド・オブ・メタル

<あらすじ>「ヴェノム」「ローグ・ワン スター・ウォーズ・ストーリー」のリズ・アーメッドが主演を務め、聴覚を失ったドラマーの青年の葛藤を描いたドラマ。ドラマーのルーベンは恋人ルーとロックバンドを組み、トレーラーハウスでアメリカ各地を巡りながらライブに明け暮れる日々を送っていた。しかしある日、ルーベンの耳がほとんど聞こえなくなってしまう。医師から回復の見込みはないと告げられた彼は自暴自棄に陥るが、ルーに勧められ、ろう者の支援コミュニティへの参加を決意する。共演に「レディ・プレイヤー1」のオリビア・クック、テレビシリーズ「ウォーキング・デッド」のローレン・リドロフ、「007 慰めの報酬」のマチュー・アマルリック。監督・脚本は「プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ 宿命」の脚本家ダリウス・マーダー。Amazon Prime Videoで2020年12月4日から配信。(映画.comより)

近年でも特に衝撃を受けた作品の一つです。音楽を題材にした映画ですが、主人公は突如聴覚を失ってしまうという過酷な現実を突きつけられてしまいます。

主役のルーベンを演じたリズ・アーメッドの役作りには驚異さえ感じさせられ、本当に聴力を失ってしまったかのようなリアルな演技が見どころです。さらに演出面が特に優れており、聴力が失われていく過程を、鑑賞者であるこちら側も味わうことができる”音”の演出には唸らされます。

また、聴覚障害の主人公の苦悩を描くだけでなく、同じような悩みで苦しむ人々を援助するろう者のコミュニティに深く追求した珍しい作品でもあり、最終的に主人公がそのコミュニティで過ごしながらどのような結末を迎えていくかという決意を見ることができます。個人的にはラストの余韻としては、近年でもベストエンディングと呼べるほどの印象度でした。

配信自体2020年12月に開始されたばかりということと、これだけの良作をAmazonはなぜか全然宣伝しないこともあり、あまり知られてないのが難点。ですが、多くの方々におすすめできる傑作ともいえる作品です。Amazonプライムにて配信中。

④ハーフ・オブ・イット: 面白いのはこれから

<あらすじ>デビュー作「素顔の私を見つめて…」で注目を集めたアリス・ウー監督が15年ぶりにメガホンをとった、Netflixオリジナルの青春恋愛映画。アメリカの田舎町で暮らす中国系の女子高生エリーは、内向的な性格で周囲となじめずにいた。頭脳明晰な彼女は、同級生の論文を代筆して小銭を稼いでいる。そんなある日、エリーはアメフト部の男子ポールからラブレターの代筆を頼まれるが、その相手は彼女が密かに想いを寄せる美少女アスターだった。1度は拒否するエリーだったが、家庭の事情でお金が必要になり、仕方なく代筆を引き受ける。Netflixで2020年5月1日から配信。(映画.comより)

2020年は女性監督の躍進が目立ちました。『ストーリー・オブ・マイ・ライフ/わたしの若草物語』のグレタ・ガーウィグ、『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PREY』のキャシー・ヤン、『燃ゆる女の肖像』のセリーヌ・シアマ、そして本作のアリス・ウーです。

邦画や外国映画問わず、2020年は青春映画の傑作が多く、その中の代表格がこちらの作品です。映画ファンの間では年間ベストに入れている人も多く、赤裸々な高校生の恋愛、友情、親子の絆を丁寧に描いています。

素晴らしいと感じたのが、近年題材の中に入れられていることが多いLGBTQのテーマ性ですが、「あぁこれLGBTQについて扱っているな」と他の作品が明らかにそのテーマ性をチラつかせるものの、本作ではそれが気にならないぐらい、実に自然に内包させているのです。

2020年は劇場公開作品で『ブックスマート』という青春映画も評価が高かったですが、あちらは下ネタが満載なので、下ネタが苦手という方にも自信を持っておすすめできるのが本作です。Netflixで配信中です。

⑤ルディ・レイ・ムーア

<あらすじ>きわどい下ネタを連発するスタイルで1970年代に活躍したミュージシャンでコメディアンのルディ・レイ・ムーアを描いたNetflixオリジナルの伝記映画。75年にルディ・レイ・ムーアが製作・主演した映画で、ブラックプロイテーションのカルト的作品として名を残している「ドールマイト」。同作でムーアは女たらしで下品で強烈なキャラクターの主人公ドールマイトを演じ、それが大当たりする。70年代初頭のロサンゼルスでくすぶっていたムーアが、いかにして「ドールマイト」を生み出していったかを、「ハッスル&フロウ」のクレイグ・ブリュワー監督のメガホンで描いた。「ビバリーヒルズ・コップ」「ドリームガールズ」のエディ・マーフィがルディ・レイ・ムーアを熱演。ウェズリー・スナイプスが「ドールマイト」のメガホンをとったダービル・マーティン役を演じた。Netflixで2019年10月25日から配信。(映画.com)

『ビバリーヒルズコップ』シリーズや2020年に再リメイクされた『ドクター・ドリトル』、『星の王子ニューヨークへ行く』などのコメディ映画で有名なエディ・マーフィ久しぶりの主演作です。

日本では馴染みが薄いかもしれませんが、後世のラッパーたちに多大なる影響を与えたコメディアン”ルディ・レイ・ムーア”をマーフィが演じます。”コメディアンとしての成功を収めるまで”と”自主製作映画を完成させるまで”の二部構成で進行するエピソードですが、とにかくどんな苦難にさらされても前向きに信念を貫き通すルディに感情を揺さぶられました。

下ネタが満載で、正直彼の漫談はあんまり面白いとは思わなかったんです(文化的な違いだと自己完結しています)が、自主製作映画『ドール・マイト』が完成するまでにかける彼の情熱と挫折、そして再起という流れに感情移入して涙腺をやられてしまいました。

自伝映画ですが、コメディタッチのため、全然勉強させられている感はないので、気軽に観ることができます。Netflix配信中。

⑥アンカット・ダイヤモンド

<あらすじ>「グッド・タイム」のジョシュ&ベニー・サフディ兄弟監督が、アダム・サンドラー主演で描いたクライムドラマ。ギャンブル中毒の宝石商ハワードは、借金まみれで常に取り立て屋から監視されていた。そんなある日、ハワードはエチオピアで採掘されたブラックオパールの原石を手に入れる。ハワードはその石をオークションに出品して大儲けしようと考えていたが、店を訪れたNBA選手ケビン・ガーネットが異常なほどに興味を示し、仕方なく彼と取引することに。しかし事態はさらにハワードの望まぬ方向へと転がっていく。ケビン・ガーネットとミュージシャンのザ・ウィークエンドが本人役で出演。Netflixで2020年1月31日から配信。(映画.comより)

コメディの帝王アダム・サンドラーがギャンブラーの役をシリアスに演じる作品です。これまでお笑い一直線な映画への出演が多かった彼ですが、本作ではキャラクターとしての軽口はあれど、基本的にはシリアス路線という珍しい役柄でした。

主人公のハワードは宝石商という職業でありながら、ギャンブルで生計を立てているというならず者。世の中は自分中心で回っており、借りたものはタダで返さないというとんでもない奴なんですが、賭け事で一喜一憂するハラハラとした感覚を疑似体験できます。

衝撃的な結末という意味では近年でもかなり度肝を抜かれました。実際にあったNBAのプレイオフを賭け事の場として用意しており、しかも実在のNBA選手(ケビン・ガーネット)が本人役で出演するキャスティングにも驚かされました。

主人公があまりにも罵詈雑言の限りを尽くす会話劇ですが、テンポのいい映画が好きな方にはもってこいです。Netflixにて配信中。

⑦もう終わりにしよう。

<あらすじ>「マルコヴィッチの穴」「エターナル・サンシャイン」のチャーリー・カウフマンが監督・脚本を手がけ、イアン・リードの同名小説を実写映画化した異色スリラー。恋人ジェイクとの関係を終わらせようと考えながらも、彼の実家を訪れることになった女性。雪が降りしきる中、2人は様々な内容の会話を交わしながらドライブを続け、ようやくジェイクの両親が暮らす農場にたどり着く。両親から歓迎される彼女だったが、異様なほどテンションの高い母親と認知症気味の父親の奇妙な振る舞いに戸惑いを隠しきれない。その後も彼らの周囲で、不可解な出来事が次々と起こり……。ジェイクをテレビシリーズ「ブレイキング・バッド」のジェシー・プレモンス、彼の恋人を「ワイルド・ローズ」のジェシー・バックリー、両親を「ヘレディタリー 継承」のトニ・コレットと「ワンダーウーマン」のデビッド・シューリスがそれぞれ演じた。Netflixで2020年9月4日から配信。(映画.comより)

多数のメタファーが要素として飛び交う不親切設計。だけど、仕掛けがわかったら俄然爽快感が味わえる、ミステリー好き・映画好きにおすすめしたい映画です。

2人の夫婦が夫の実家に車で帰省するんですが、妻が大好きな夫と、夫との生活に限界を感じている妻という構図。134分の上映時間ですが、会話劇中心ということあって、とにかく情報量が多く頭がパンクしそうになります。

単純に物語だけを目で追いかけていると、全くもってついていけないのですが、「なぜそうなっているのか」「どういう状況なのか」と常に疑いの目を持って、作品のメッセージや仕掛けを探っていくと面白い作品です。

観る人を選ぶ作品ですが、色々と考察するのが好きな人にはおすすめです。Netflixにて配信中。

⑧ザ・コールデスト・ゲーム

<あらすじ>キューバ危機に揺れる1962年、落ちぶれ天才数学者が米国政府から命じられたソ連相手のチェス対決。だがその実体は、2国の運命をかけたスパイゲームだった。(Netflix公式より)

1962年キューバ危機を目前に控えた米ソ冷戦時代というノンフィクションとアメリカとソ連の威信を賭けたチェス大会というフィクションを見事に掛け合わせたポーランド映画です。

天才的な頭脳を持ちながらアルコール中毒という問題を抱えた数学者を主人公として緊張感のあるチェスの心理戦を戦うという構造ながら、骨太なサスペンススリラーとしても見応えがある作品。

基本的にアメリカ製作の場合、横暴なソ連といったステレオタイプな描き方をするところを、ポーランド人の目線でアメリカとソ連を中立的に描いた点が評価できるポイントです。誰が味方かわからないという緊迫感が最後まで持続するため、一瞬たりとも飽きることがない良作です。

全世界に目を向けたNetflixだからこそ製作できた代物です。Netflix配信中。

⑨ユーロビジョン歌合戦 〜ファイア・サーガ物語〜

<あらすじ>「俺たち」シリーズのウィル・フェレルと「アバウト・タイム 愛おしい時間について」のレイチェル・マクアダムスが共演した、Netflixオリジナルの音楽コメディ。欧州を中心に毎年開催される世界最大級の音楽コンテスト「ユーロビジョン・ソング・コンテスト」を題材に、歌手としての成功を夢見る男女の奮闘を描く。アイスランドの田舎町。幼少時から歌手を夢見てきたラーズは、中年になった現在もその夢を諦めきれず、幼なじみのシグリットとともに売れない音楽活動を続けていた。そんなある日、偶然に偶然が重なり、彼らのユニット「ファイア・サーガ」がユーロビジョン・ソング・コンテストのアイスランド代表に選ばれる。コンテストでの優勝を目指し、意気揚々と開催国のスコットランドへ向かうラーズたちだったが……。共演は実写版「美女と野獣」のダン・スティーブンス、「007」シリーズのピアース・ブロスナン。監督は「シャンハイ・ナイト」のデビッド・ドブキン。Netflixで2020年6月26日から配信。(映画.comより)

音楽を題材にした爆笑コメディ。真面目な顔した主人公たちがシュールに笑わせてくるところがクセになります。コメディ映画の常連ウィル・フェレルとラブコメの女王レイチェル・マクアダムスのタッグに要注目。

”ユーロビジョン”とは実在するヨーロッパの音楽大会で、本来は2020年に65回目の開催となる予定だった歴史ある大会でした。過去にはABBAやセリーヌ・ディオンらが優勝を飾ったことのある由緒ある大会で、2020年は新型コロナの影響で初開催以降初めての中止となりました。

日本に住む私たちには馴染みが薄いかもしれませんが、過去のユーロビジョン出場者も多数出演しているようです。実際に彼らのパフォーマンスが聴けるので、音楽好きには是非ともおすすめしたい作品。あと、とにかくフェレルとマクアダムスの漫才のような掛け合いは爆笑必至です。

いくつか用意されているミュージックビデオもクオリティ高く、お笑い要素も含め、このコロナの状況下だからこそ笑って楽しむためにはもってこいです。Netflixにて配信中。

⑩マ・レイニーのブラックボトム

<あらすじ>1920年代のシカゴを舞台に、「ブルースの母」と称される実在の歌手マ・レイニーと彼女を取り巻く人々を描いたNetflixオリジナル映画。「フェンス」の原作者としても知られる劇作家オーガスト・ウィルソンの戯曲を、「サヨナラの代わりに」のジョージ・C・ウルフ監督のメガホンで映画化した。1927年。シカゴの録音スタジオで、人気歌手マ・レイニーのレコーディングが始まろうとしていた。4人組バックバンドのひとりであるトランペット奏者レヴィーは野心に燃え、他のメンバーたちと揉め事を起こす。やがて遅れて到着したマ・レイニーは白人のプロデューサーらと主導権を巡って激しく対立し、スタジオは緊迫した空気に包まれる。マ・レイニー役に「フェンス」のオスカー女優ビオラ・デイビス。「ブラックパンサー」のチャドウィック・ボーズマンがレヴィーを演じ、彼の遺作となった。Netflixで2020年12月18日から配信。(映画.comより)

MCUのブラックパンサー役で知られるチャドウィック・ボーズマンが急逝したのが2020年8月28日。多くの映画関係者にも知らされることなく、大腸がんによって亡くなったことに、多くの映画ファンが悲しみに暮れました。私もその1人。

2021年4月に『21ブリッジ』という彼の主演作が日本公開予定ですが、こちらは全米2019年公開済みの作品のため、実質本作が彼の遺作となります。

マ・レイニーは「ブルースの母」と呼ばれる実在の伝説的歌手ですが、本作は1982年に発表された戯曲『Ma Rainey's Black Bottom』を原作としたフィクションです。彼女のバンドメンバーのレコーディングと対立を描いた作品ですが、とにかくボーズマンの演技は圧巻。彼が魂の叫びの如く激昂するシーンはその表現力に圧倒され、感情を揺さぶられ自然と涙を誘われます。

全体的には会話劇と少しの演奏シーンという構成で退屈に感じる部分もありますが、ボーズマンの迫真の演技を見るだけでも十分に価値があるといえます。Netflixにて配信中。

◆その他おすすめしたい良作

・エノーラ・ホームズの事件簿

あのシャーロック・ホームズに妹がいたという設定のミステリー。Netflixオリジナルドラマ『ストレンジャー・シングス』で大ブレイクしたミリー・ボビー・ブラウンがとにかく魅力的な疾走感ある作品です。

・ブレスラウの凶禍

デビッド・フィンチャー監督のブレイク作『セブン』を彷彿とさせる猟奇的殺人を扱ったポーランド産の佳作。グロ描写満載で苦手な人は注意ですが、撮影の仕方など迫力満点なところも多く、エンタメとしても十分に楽しめます。

・アンダーウォーター

暗闇での微かな光、呼吸音、水中を歩く音…既視感のあるパニック映画ながらクリステン・スチュワートをはじめとした役者陣の緊迫感伝わる好演に惹き込まれる佳作。Amazonプライム、dTV、RakutenTVにてレンタル配信中です。

・オールド・ガード

“不老不死”の恐怖。人類を守り続けてきた不死の特殊部隊と人類の未来と健康を守り続ける製薬会社の対立を描く。シャーリーズ・セロンのスタイリッシュなアクションに魅了され、不死であることの葛藤をも表現したNetflixオリジナルの良作。

・ウォー・マシーン:戦争は話術だ!

痛快戦争ブラックコメディ。戦争映画特有の派手な戦闘シーンはほぼ皆無だが、戦争とアメリカを皮肉る主人公を軸にした展開が面白い。「理想のリーダー像とは」を考えさせられる良作。Netflixにて配信中。

・悪魔はいつもそこに

クソ牧師、クソ保安官、クソ夫婦、あらゆる世の中の糞にまみれたやつらがトムホを中心に結実していく模様がまるでタランティーノ映画を見ているかのよう。全体的に不穏で胸糞悪いのに何となくスッキリできてしまうセラピー映画。

・スペンサー・コンフィデンシャル

安定のWバーグコンビの織り成すクライムアクション!今回は割とシリアス路線。作品としては及第点で前作ほど突き抜け感は感じなかったけど安心して観られる。バディムービーとしてはもっと2人のタッグ感を出してほしかった。

・ケミカル・ハーツ

ほろ苦い青春時代の恋愛。過去を受け入れ前進すること、文学や脳科学を引用しながらも口下手な男は一目惚れした女と距離を縮める。少し気恥ずかしい主人公の脳内が微笑ましいが、ヒロインの心情を丁寧に深掘りした佳作。

◆まとめ

いかがだったでしょうか。映画は好みによってランキングも変わるため、本記事のランキングはあくまでも私の主観が多分に含まれている点はご了承ください。

Netflixが中心になりましたが、それぞれの作品の見どころポイントに注視して紹介いたしました。今後、緊急事態宣言再び、となるかはわかりませんが、変わらず自粛生活は余儀なくされることもあるのかなと思います。そんなときの自宅で過ごす一つの目安として本記事を参考にしていただけたら嬉しいです。

マスクをつけることなく、またいつも通りの日常が戻ってくることを信じて…みんなで配慮しながら頑張っていきましょう。ありがとうございました。

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