FitEar 超個人的考察

10年ほど前からとてもお世話になっています。

通常ライブを行う際には足元に「モニター」と呼ばれる
スピーカーが置いてありまして、演奏者は自分の音と
他の人の音(同期であればオケも)と演奏しやすいバランスで
「返して」もらって演奏するのですが、
それを演奏者の耳に直接イヤホンで行うことが一般化してきました。
テレビで歌ってるアイドルにもほぼこれですね。

動きまわっても音の環境が変わらないし、絵的にも邪魔になる
モニタースピーカーを置かなくてもいいし、便利この上ないわけです。

プロ現場でイヤモニが使われるようになった当初はシュアの
イヤホンを使っていました。イヤーチップのサイズを変えて、
耳に合わせるやつです。
イヤーチップが合えばいいのですが、そうでもない時は
普通のイヤホンとあまり変わりません。
そこで耳の型を取りその人専用のイヤホンを作るタイプが増えてきました。

10年くらい前だとメーカーはそんなになかったのですが、
今すっっっごく増えましたね。
ただ、今も昔も「業務用」をうたっているところは少ないです。
逆に業務用しか作っていなかったメーカーが一般の方にも取り入れられる
タイプを発売し出したという感じです。

耳に合わせる最大のメリットは遮音性です。
ステージ上の爆音の中で自分の欲しい音を聞くためには
大きな音で鳴らさないといけないのですが、
遮音性を大きく持たせることで、音量を下げることができます。
つまり耳に優しい♪
難聴になってしまうと大変ですからね。
デメリットといえば、観客の歓声が聞こえないのでちょっと寂しい。。
(よく用意していただくM-48というキューボックスにはアンビエント
というつまみがあり、外音を混ぜることが可能!)

僕がお世話になっている須山補聴器さんのFitearシリーズは
まさにそこに力を入れているイヤモニです。
求める音によってたくさんの種類を発売してます。
(最初はこんなに選択肢がなかったような。。)

最初に使っていたのはProAudio335 rev.2というモデルです。
これはドライバーが高音域2中音域2低音域1という若干高音域よりな
タイプですが、かといって高音がキンキン耳に刺さるようなことはなく、
高音域に余裕があるなーと感じるサウンドをしています。
完全モニターライクな音なので、一般リスニングにはあんまり
気持ちよくはないです。。

MH334という多分一番多く使われているタイプは
高音域1中音域2低音域1というかなりフラットな特性をしています。
僕はこれは使ったことがありません。。
335の方がサックスの音域がよく聞こえるので♪

現在録音でもステージでもほぼこの335しか使っていません。
またケーブルを色々変えて音の変化を感じやすいのもこの335です。

もう一つMH335DWSRというモデルも使っているのですが、
これは耳コピをするときに使っています。
こちらは高音域1中音域2低音域2というダブルウーハーになっています。
ノーマルですと少し高音域がモコモコ感じる時もあるのですが、
SR化でチタンチューブを通すことにより高音が埋もれないように
なっています。
Bassをよく聴きたいステージでも出番があります。
低音の解像度がズバ抜けて良く、ベーシストの指の動きがよくわかりますw

そしてこちらも良く使います。Private222というモデルです。
こちらは穴を開けており、外音が思いっきり聞こえるようになっています。
音楽を聴くにはスカスカな音で主にクリック専用となっています。
「イヤモニでクリックを聞いてその他楽器の音は通常通り外から聞く」という
用途にしか使えません。
じゃあわざわざ耳型に合わせなくてもいいじゃん。となるのですが
普通のイヤモニ(汎用型シュアなど)では装着にどんなに頑張っても
5秒かかります。こちらですと0.5秒です。後は長時間つけていても
痛くならない!←とっても大事。

他にも須山さんでは色々なタイプを発売しています。
業務用途なのかリスニングなのか、リスニングであればどういった音楽なのか、
その辺りを見極めて選ぶ必要があります。
タイプによる音質差はかなりあります。
各モデルによってインピーダンスも異なるので、音量差も出ます。
聴き比べる時に音量が大きいタイプ=音がいい!と感じてしまうマジックも
あるのである程度音量を揃えて聴き比べると良いと思います。

最近手に入れたチタンのイヤモニは最初はリスニング用にと思って
お願いしました。
チタンはものすごく手間がかかるらしく作るの大変そう。。。
今まで僕が使っているタイプとは違いいわゆるダイナミックとバランスドアーマチュアのハイブリッドタイプ。
ダイナミックはFOSTEXのを使っているそうな。
インピーダンスも少し高めで音量も小さめ。

だがしかし!これ素晴らしいイヤモニでした!!
まずショートレッグと言って耳穴に挿入される部分が短くできています。
装着しやすい!痛くない!
耳に挿入する部分が短くなったことにより遮音性の低下を心配してましたが、
そこは分厚いチタンによってカバーされてます。
(ダイナミック型を収納するために少し大きくなっています)
低音域の解像度はMH335DWSRには及ばないのですが、
全音域での混ざり具合が絶妙です。
高音域から低音域までの全体のバランスをモニターするにはちょうど良い気がします。
335系がスタジオのモニタールーム(でっかいミキサーとかがある場所)なら
チタンは超高級オーディオルームといった感じ♪
パキッ!となる感じではないのですが、
ステージ、録音でもモヤモヤすることなく使えます。

ちょっと意外だったのが、
録音現場で一人一つのキューボックスを用意して
いただける場合には問題ないのですが、
たまに二人で一つという時があります。
そしてお隣さんが定番のSONYの900STだった場合。。
二つを比べると335系は音が大きすぎる、、
インピーダンスが低いのですね。
キューボックスを共用しているのでヘッドホンのボリュームは一つです。
ここでどちらが先輩なのかが大事になります(笑)
あまりにも音量差がある場合は僕が900STを使うことになるのですが、
今回のこのチタン、なんと同じボリュームですw
もうお互いに気を使わないで済みます。
いやー素晴らしい!チタン!
ショートレッグゆえに「半挿し」ができないので、
その辺で少し忖度がありそうではありますが、
使い分けが楽しくなります♪


また最近では自宅録音→納品という流れも多いのですが、
簡単なミックスをそのままヘッドホンで行うことがあります。
当然、解像度が高いイヤモニでやるのですが、
最終確認にチタンはちょうど良いと思いました。
リスナーが高解像度のイヤモニで音楽を聴いている訳では
ありませんからね。まあ中にはそういう人もいらっしゃるかと
思いますがw
それくらい周波数特性、音の混ざり方のバランスが絶妙です。

冬はチタンが冷たくなるので耳に入れる前に温める必要があるらしいのですが、
それはまだ未経験。ちょっと楽しみでもあったりw


とまあ勝手な意見をポロポロ書きましたが、
あらゆるシチュエーションであらゆるモデルを検証したわけではないので、
個人の意見として「ふーん」と流してもらえれば良いかと。。


そして須山補聴器さんではこの耳型の技術を応用して耳栓を作っています。
管楽器を演奏する時に耳栓をすると自分の音が良く聞こえます。
耳を塞ぎながら喋ると声が頭に響く現象と同じです。
イヤモニは耳栓に音が出る部分が追加されたような感じなのでが、
耳栓だけでも「吹き過ぎてしまう」ことを抑えることができます。
周りの爆音に合わせて頑張ってしまう現象ですねw
オンマイクで音は拾ってるのに自分に聞こえなくてついつい吹き過ぎちゃう。。
全く外音をシャットダウンしてしまうと演奏できなくなってしまうので、
どれくらい音が聞こえるかのタイプをいくつか持っています。
耳栓自体の素材を変えたり、穴を開けてフィルターを変えたり、何dB下がるか、どこの周波数を下げるかなどをその場によって変えています。
これでかなりラクになりました。
この耳栓も耳型に作ることにより装着時間が0.5秒です。
ネジネジして押し込むタイプの耳栓ですとやはり5秒はかかります。
ステージ後方で演奏している時はモニタースピーカーが足元にあって、
ソロで前に行く時に自分の音が分からなくなるのでその時だけ耳栓を
する
、といった使い方もおすすめです。

耳栓にも触れましたが、エレクトリックな現場であればあるほど、
その恩恵は計り知れません。

と、FitEarがないとどうしよう。。となってしまうくらい使ってますw


考察というかただの感想みたいになってしまいました。。
ポタフェスとかヘッドホン祭りとかこういったイヤモニが流行ってる?
らしくいろんな感想をネットで見かけます。
今回は演奏者側の感想(というか使い方?)を書いてみました。

3600文字!!!


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