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「有意義な時間」から考えるUXデザイン

テクノロジーが生んだ負債

とある休日、一通り家事をすませ、TVでAmazon Prime Videoを鑑賞する。観始めた時間はおそらく、お昼を少しすぎた頃、気がつくと19時を回っていた。


世の中には多くの便利なサービスや、楽しいサービスが溢れかえっています。そのようなサービスの中に身を置く僕たちの時間は、常にその手元のサービスの中にあると言えます。

もちろんそのサービスを利用する時間が「有意義な時間」であればそれはとても素晴らしいことです。

しかし、全てがそうであるとは言えないのではないでしょうか。

読書の時間を楽しむ途中にチャットで連絡がきます。
きっとあなたはそれが気になって読書を中断し、スマホをチェックするでしょう。

中断ついでにSNSを開き、タイムラインを閲覧。メールを開いて通知をチェック。

せっかく「有意義な時間」であった読書の時間を奪ってしまいました。

上記の例だけには留まりません。きっとこのような、同じような事例を体験した経験は少なからずあるはずです。

プライベート空間だけに限らず、仕事中の横からやってきた自分宛のメールもそれと同じことです。


サービスの目的が議論されている

デザイン思想家である、トリスタンハリス氏は上記のような問題を、YouTubeを例にして、以下のように語っています。

スーパーコンピュータが脳を狙い撃ちしている。


あなたの興味を分析して、関連動画を延々と並べるYouTubeは、まさに自分を楽しませてくれる天才です。

僕らの周りに溢れるサービスの多くが上記のような人間の脆弱性を知り尽くした、頭のいい人たちが作り上げているのです。

しかし、最近では人間的な目標が議論され、「提供するサービスが、人間に与えるものは何か」などと言ったブランディングテーマがサービスに組み込まれ始めています。


人間的な目標が加えられたサービス

最近ではFacebookやInstagramが、使いすぎを防止する機能や、iPhoneには利用時間を可視化できる 「Screen Time」 など、少しづつ身近に現れ始めています。

このような動きは、サービスを利用するユーザーの体験を、重要と考えるからこそ生まれています。

物が溢れ、選択肢が増え、多様化しても、利用するサービスによって選択肢は自ずと狭まっているのです。我々は選んでいるようで選ばされているのです。

この状況の中で、我々は、苦労してサービスを使うことをやめてしまいました。

つまり、サービスを提供する側の私たちは、自然に、無意識的に、人間的な目標を達成させることで、サービス利用によって「有意義な時間」を提供する必要が出てきました。

「ユーザー体験(UX)」を重要視する声が大きくなってきました。

テクノロジーは、常に時代を変えてきましたが、便利なだけではこれからの、人間との良好な関係を築くことが難しそうです。

これからのサービスに、人間的な目標が大変重要です。


エンジニアである私がするべきこと

では、我々はそのために何をすべきなのか。

トリスタンハリス氏「有意義な時間」について、例を交えてこう述べています。※内容を簡略化しています。

とあるサービスを利用して、出会った2人が過ごした時間を推定します。
その後、出会った人物との時間は良い経験でしたか?とアンケートを行います。
そこで算出された楽しい時間からサービスを利用した時間を差し引いたものが「GoodTimes(有意義な時間)」です。
「GoodTimes(有意義な時間)」 有意義な時間 サービス利用時間

テクノロジーやデザインによって生まれた、サービスがもたらす「有意義な時間」を上記で算出される「GoodTimes(有意義な時間)」だとすると、フロントエンドエンジニアとしてUIを実現する僕の仕事は、「有意義な時間」を生むためのリーチであると言えます。

サービス設計にもよるところでありますが、サービス利用によってユーザーを惑わせたり、あくまでサービス内への滞在をメインに考えたデザインは良いサービスと言えない、ということになります。(滞在時間がメインでない)

つまりエンジニアである私は、「有意義な時間」とサービスの良好な橋渡しを行うことで、バリューを発揮すべきです。

人間的な目標を設定し、それを達成するためのコンテンツがサービスです。


今後考えていくべきこと

サービスを生む人間は、そのサービスが叶える人間的な目標を意識すべきです。

UXデザイン会社で、フロントエンドエンジニアとして働く僕は、制作会社と違った強みを身につけるためにUXD×テクノロジーとは?と考える時間が多くなりました。今回、トリスタンハリス氏の言葉が少しヒントになった気がしました。

まだまだ目指すところが見えたわけではありませんが、進むべき方法が一つ定まったかなと感じています。

さぁ、エンジニアである我々は、もっとデザインの土俵に出て、サービスの向上に努めましょう!

最後までご覧いただきありがとうございます。

@Myuji_4
長崎県出身。現在は東京のUXデザインカンパニーでフロントエンドエンジニアをしています。ゴルフが好きです。
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