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僕が、ライブハウスに行く理由。

5月17日 恵比寿LIQUIDROOM。

4年ぶりのライブハウスだった。
学生の頃はよく通っていたけど、社会人になっていつの間にか足が遠のいていた。

いま考えると、ライブの高揚感のあと現実に引き戻される感覚や、
キラキラして夢を語っていた学生時代と今の自分とを比較して襲われる虚しさから、無意識に背を向けていたのかもしれない。

そのせいもあり、社会人になってから音楽はダウンロードしたり、YouTubeで聴いたりして、ライブとは一定の距離を置いていた。

それでも、今回ライブを観なきゃと思ったのは、MOROHAだったから。
以前から存在は知ってはいたけど、アフロの発する言葉の力強さや熱気は、いつか自分の目で見て体感しなきゃいけないと思っていた。

MOROHA自主企画『怒涛』。
この日は、阿部真央との対バン。

まずは、先行の阿部真央が登場。
昔、『モットー。』をよく聞いてたな、とか
当時好きだった子とこんな風にライブハウスに来てたな、なんて、また学生時代を思い出しながらステージを眺めていた。

休憩を挟み、いよいよMOROHAの出番。
ステージに出てきてしばらくの沈黙。

準備運動、深呼吸。なにか心を決めているアフロの様子が、ライブハウスに異様な緊張感を生んでいた。

拳銃を構えるかのようなポーズをとった瞬間、曲がはじまり、空気が変わった。

アフロの鋭い目線がフロアに向けられる。
「おい、なにヘラヘラしてんだ」
「俺らはケンカしに来てんだ、お前はどうなんだ?」
マイクから放たれる言葉のパンチが、一気に胸を刺した。

そうか、ここは受け身でいられる場所じゃないんだ。
MOROHAの生き様を見せつけられているんだ。
その熱を、汗を、傷を、葛藤を、決意を受け止めるだけの覚悟が、お前にあるのか?そう問われている気がした。

ライブ中、アフロと目が合った、いや実際には合ってないのかもしれない。
だけど、そのまっすぐ睨むような眼差しには、確かな覚悟があった。
だから、こっちも目を逸らしちゃいけないと思った。視線を逸らしたらMOROHAに負けると思ったし、何よりも自分に負ける気がした。

気付くと、そこにいるみんなが、姿勢を正してまっすぐステージを向き、曲を聞いていた。背筋が伸びるライブなんて初めてだ。MCで2人が見せる和やかなやりとりで、時折、緊張感を緩めてくれるのが唯一の救いだった。

「勝つってなんだ?テレビに出ることか?売れることか?いや、勝つとは、命を燃やし続けることだ。」彼の口から語られるでかい夢や叫びを、くさいセリフと笑う人は誰ひとりいなかった。

あっという間のライブが終わった。MOROHAの熱量に圧倒されて、重いパンチを受けたように足元がフラフラになった。

忙しいから。時間がないから。社会人になってから色んな言い訳をして、自分と向き合うことから逃げてきたんじゃないのか。「お前はいったい何に命を燃やすのか」と、電車に揺られながらの帰り道、繰り返し自問自答していた。

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ライブ後、アフロがTwitterで、こんなことをつぶやいていた。

LIVEは緊張と緩和を操り、生きる事の厳しさと膨よかさを晒す事だと思う。ただ、時に厳しさだけで満たされた部屋にこもりたくなる。6/4(月)中野MOON STEP思い立って急遽、会場手配。最初から最後まで緩めない。緊張感のみMCなしで曲のみ。この日は一切、和まない。人によっては苦痛。それでも俺が俺の為にやります。公演名は「尋問」。 (※一部を抜粋)

嘘だろ、と思った。あの日見たライブは、まだまだ甘かったんだ。6月4日は、どれだけ追い込むライブになるんだろうか。恐怖と同時に、行かなきゃという衝動に駆られた。

チケットは即座に完売。残念ながら、予約チケットは取れなかった。それでも、当日券が出ることを願ってライブに臨んでみようと思う。

そこには、僕がライブハウスに行く理由があるはずだから。

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追記

結局、ライブの当日券は出ず。しかし、12月16日のZEPP TOKYOは先行予約することができた。この日に答えが出せるよう自分と向き合っていきたい。

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