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「マクアケでのクラファン決定、そしてSかぐちさんとのサシ飲み」〜出版までの道〜中山祐次郎

(前回までのあらすじ)
くるしいときは弱音をはき、うれしいときはうれしそうにしていたぼく。ソフトバンククリエイティブという発音しづらい会社からの出版依頼を受けたぼくは、ただ本を書くだけでは意味がないと思い、一度は妻にダメだしをされたクラウドファンディングを思いついた。

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マクアケとのスカイプ


プルルルル プルルルル

ある日の夜、ぼくはスカイプである人とつながった。その人は森恵さんというなかなかの美女で、たぶん本名は「もりめぐみ」さんなんだがみんな「もりえ」ちゃんと呼んでいるマクアケの社員だ。

マクアケは、数あるクラウドファンディングの中でも今一番勢いがある会社。手数料は高いが最も売ってくれる、そしてスタッフは美女が多いという会社だ。

サイバーエージェントの子会社で、去年、歌舞伎役者のエビゾウさんが出資したこととか、日本アカデミー賞最優秀アニメーション作品賞をとった映画「この世界の片隅で」をクラファンで作ったことなどが話題になった。ロゴもなんかかわいい。

ぼくは妻の親友がこの会社にいることもあり、そしてもりえちゃんとは以前から何度か会ったことがありなんとなく親しみがあった。もりえちゃんは「目標はいついつまでに彼氏を作ることです!」と人前で言い切ってしまうような、とっても気持ちがいい人だ。竹を割ったような、という言葉は彼女のための言葉かもしれない。

他のクラファン会社も知っているし気になるところもあったが、やっぱり顔を知っている人がいる会社を使いたくなるのが人情だ。campfireをやってる家入さんとかやってることは面白いけど、家入さんの元奥さんのファン(紫原さんというものを書く方)としてはちょっとためらってしまう。」


圧倒的クロージングのもりえちゃん

そうこう言っているうちに、マクアケのもりえちゃんにスカイプが繋がった。自慢じゃないが、スカイプ打ち合わせは人生2回目くらいだ。外科医はめったにスカイプ打ち合わせはしない。スカイプにはすぐにSかぐちさんも加わった。

(実際のスカイプ写真。←はSかぐちさん、→のもりえちゃん、実物はもっと綺麗だ)

キュレーターであるもりえちゃんとぼく、そしてSかぐちさんの3者によるMTG(←一度これ使ってみたかった、医者は会議を「カンファ」という)が始まった。

もりえちゃん「実は出版のクラウドファンディングってこれまでにいくつかやっているんです」

そう言って、過去の出版クラファンを説明してくれた。へー、あるんだなあ。

実際、マクアケのホームページで「出版」を検索すると、25件もヒットした。こんな具合だ。

                   (マクアケ ホームページより引用)


もりえちゃん「出版はいつ頃なんですかあ?」

ぼく「8月のアタマです。でもその前に全文をwebで連載する予定で」

もりえちゃん「そうなんですね。もしうちでやっていただくとすると、だいたい四月の初めにスタートして、二ヶ月ちょっとで終了というカタチになります」

ぼく・Sかぐちさん「はい」(スケジュール決まるの早!

もりえちゃん「目標額はこれくらいで、リターンは先に出してもらっていたこれで面白いですね。ではうちでやるとすると、ゆうじろう先生個人でやられるか、SBクリエイティブさんの会社でやるかどうでしょうか?」

ぼく「ええと、個人かな」

なんというクロージング力。気づいたら、もうぼくはマクアケでクラファンをやる気になっていた。

そこに助け舟を出してくれたのが、妻の親友でマクアケ広報の女の子だった。ちょいっと画面に顔を出すと、

妻の親友「ゆうじろう先生(どうやらマクアケ社内ではぼくはこう呼ばれることになったようだ)、どうです?クラウドファンディング、やってみる気になりました?」

と聞いてくれた。

ぼく「ええ、そうですね!やってみたいです!Sかぐちさんは?」

Sかぐちさん「ええ、すごくいいと思いました」

妻の親友「そうですか、ありがとうございます。なお、本件には奥様の説得も手数料に含ませて頂きますので」

半分冗談で妻の親友はそう言ったが、ありがたい。そして出版前クラファンは面白そうだ。もりえちゃんの圧倒的クロージングを引き算しても、十分やる価値はある。

だって、ぼくのクラファン目的はこれだから。

「人を巻き込んで、コミュニティを作る」

従ってお金を集める目的ではない。しかしお金を払ってまで参加してくれる方は、きっとSNSで参加するだけよりも真剣に本作りに参加してくれるだろう。だから、お金を払っていただいた分とトントンになるくらいのリターンを用意した。クラファン詳細は、またスタートする頃にこの連載に書こうと思う。


妻参加のサシ飲みでSかぐちさんの深堀り

そしてもう一つ、Sかぐちさんとのサシ飲みが都内某所(表参道駅前の焼き鳥「ひごの屋」表参道店 入って一番右奥のテーブル)で行われた。なぜ表参道で焼き鳥なのか。一つにはSかぐちさんの会社を調べると六本木にあったので、新宿乗り換えのSかぐちさんには都合がいいだろうということ。あとは、その前に社長の見城さんと小説の編集者さんに会いに行っていた幻冬舎という会社が北参道で、近かったからだ(幻冬舎からは、このまま行けば小説を近いうちに出させていただく予定)。

そしてなぜか、サシ飲みなのに妻に同席してもらった。

理由は、Sかぐちさんとのサシ飲みはちょっときつかったから、ではない。サシ飲みは、編集者さんと自分の距離を縮めるためのものだ。お互いがどんな人間かもわからず、人を感動させるプロダクトが作れるわけがない。そう思い企画したのだ。

しかし、サシ飲み=もっとも深い関係になれる、というのはいささか安易だ。それも、いい歳をした男同士ならなおさらだ。男同士はとにかく不器用で、それこそ合コンでたまたま同席した同士だってなかなか仲良くなんてなれない(独身時代の思い出)。

そこでぼくは、お酒が大好きでしかも焼き鳥が大好きな妻に同席してもらうことにした。Sかぐちさんにとっては若干アウェーになってしまうが、そのあたりの気の遣い方は妻の得意とするところだ。不思議なのだが、彼女には見知らぬ人を「武装解除」するちからがある。

案の定、ぼくの作戦は当たった。妻はやっぱりメガハイボールを飲み酔っ払い、Sかぐちさんにぼくだったら聞けない質問をバンバン飛ばした。

「Sかぐちさん、いまおいくつ?」「お子さんは何歳?」「ご結婚はいつ?」「前はどんなお仕事を?」「奥さんはお仕事は?」「好きな食べ物は?お酒は?」「好きな女性のタイプは?」「すみません、夫の好き勝手に巻き込んでしまって」

男性の皆さんにはわかってもらえると思うが、こんな話は、とてもじゃないが男同士ではできない。妻が来たことで、より一層のサシ飲みになったことを明記しておく。もちろん出版に関連した出版前戦略や、本の内容についても議論した。また少し、Sかぐちさんと近づいたのだ。

あとからSかぐちさんからはこんなメールが来ていた

えー!記憶薄いの!!!!そして「すべてを手に入れている中山さん」という表現がとても引っかかった。そう見えたのだろうか。少なくともぼくはこの飲み会のあと、突然風邪を発症しホテルで夜じゅう苦しみ、急性喉頭蓋炎かと思って救急車を呼ぼうか迷ったくらいだったのに。


ともかくクラファンはやることになり、Sかぐちさんとの距離はちょっと縮まった。

ぼくは満を持して、10万字(原稿用紙250枚ぶん)の原稿を書き始めたのだが・・・・

第九回につづく)

※この連載は、2018年8月に出版した「医者の本音」(SBクリエイティブ) の、執筆依頼を頂いたときから出版までのいきさつをリアルタイムに記録したものです。

アマゾンリンクは↓こちら。kindle版もあります。


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