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誠意とは「スピード」である

朝から特急で病棟患者さんを回り、問題がないことを確認する。看護師にいくつかの指示を出し、急いで郡山駅へと向かった。今はもう新幹線の中だ。

よく「誠意を見せろ」とか「誠意が大切」とか「あの人は誠意がある」とか言われる。

誠意とは、なんだろうか。

仕事においても恋愛においても婚姻においても、あらゆる人間に対する態度だ。場合によってはロボットに対する態度にもなる。人間関係、あるいは人ロボ関係において誠意は重要なキーワードになる。

あまり得意ではないこの分野だが、ちょっと考えてみた。

誠意とは、丁寧さか。丁寧さは大事だ。丁寧でない仕事に誠意はない。丁寧でない手術に勝ちはない。必ず落とし穴に引っかかる。

誠意とは、礼儀正しさか。いや、礼儀正しさは誠意がある人に自然と備わるものであって、礼儀正しさだけで誠意とは言えない。表面的に過ぎる。

では、誠意とはなんだろうか。

実は、誠意とは「スピード」である。

考えてみて欲しい。
仮にあなたの親の命を救った恩人が居たとして、その人が電話をくれたとする。その電話を折り返すのに、3日も4日も待つだろうか?
全ての人が間違いなくその電話に気付いたら最優先で電話をかけ直すのではないだろうか。親の命の恩人が気に食わなければ、あなたの命の恩人でもいい。

では、命の恩人でなくて、これがあなたの会社の社長だったり病院の院長からの電話だったらどうだろう。やっぱりその日じゅうにはかけ直すのではないだろうか。

なぜ急いでリアクションをするのだろうか。なぜ最優先するのだろうか。それは、その相手への強い恩義があったり、その相手が自分の生殺与奪を握っていたりするから、最優先するのだ。前者は「ご恩に報いたい」という相手への気持ちからで、後者は「少しでも良く待遇されたい」という自分のインセンティブへの気持ちからだ。

どちらにせよ、急いでリアクションをすることで相手に誠意が伝わると考えているから、急ぐのだ。

だから、誠意とはスピードなのである。

これを逆手にとって使うことを、おすすめしたい。
あなたにお願いをする人がいる。それも結構無茶なお願いだ。仕事でも恋愛でも、そういう人はいつもいる。
その無茶なお願いを、まるで命の恩人からのお願いのように答えてみたらどうか。そうすると相手は驚きながらも、とても有難く思ってくれるだろう。もしかしたら自分に恩を感じてくれるかもしれない。ここの期待は危険だが、たまにそういうことはある。

もう少し現実レベルに落とし込むと、こうなる。
メール、ライン、メッセンジャー、電話の返事を最速にする。まるで命の恩人からの連絡かのようにふるまうのだ。速い返信に相手は驚くし、あなたへ信頼を寄せてくれる。そしてなによりあなたのことが好きになる。
なぜなら、「私との仕事(あるいは恋愛)を最優先してくれているのだな、私のことを重要だと思ってくれているのだな」と感じる上に、速いレスポンスのおかげでその人の仕事(あるいは返信を待つ焦れた気持ち)が早く済まされるからだ。その人のインセンティブに直結するから、その人はあなたを好きになるのだ。

さらに現実的には、メールやメッセンジャーは見てから5分以内に返事をするといい。逆に言えば、すぐに返信できない時にメールやメッセンジャー、ラインをチェックしてはいけない。見ておいてあとで返事、は忘れるリスクが上がる上に、どうせたいして練ることができないからだ。練ることができる自信がある時も、「拝受致しました、練ります」の返信を5分以内に書く。
特に、数多くのやりとりをしている人には強く勧める。堀江貴文氏著書にもある「忙しい人ほど即レス」は本当だ。私は1週間に10人以上の人と並行して仕事のやりとりをしているが、「誠意はスピード」を使うことでこんがらがったり、仕事が棚上げになることは(ほとんど)ない。いま大ヒット本を毎月出している異常編集者の箕輪さん(幻冬舎)は、「ガケガキ」といって仕事などで会った人と別れた帰りがけのカフェでお礼状を自筆して郵送していた。帰りがけに書くからガケガキだ。会った翌日に手書きの礼状が来ていて、感動しない人はあまりいない。

誠意とは、スピードだ。

ちなみにこの言葉は私のオリジナルではない。
この言葉は、元タレントの福間文香さんという方がSNSで「仕事で会ったある人に言われた」言葉として紹介していたものだ。

しかし、「誠意はスピード」には一つ弊害がある。
相手も「誠意はスピード」を採用している場合、即レス対決のようになってしまってめちゃくちゃ速いスピードで仕事が進むことがある。そのスピードは、普通のスピードで仕事をする人の二倍ではなく二乗のスピードなので、他の人がついていけなくなる。
なのでみんなで仕事をする場合は、ある程度ペースに気をつける必要がある。

最後に、誠意とはスピードである。これを使うだけで、うまくいく仕事は多い。


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