見出し画像

本物と出会った日


「わああああ、本物や!!!サインしてください!!!」
もう、すでにテンションの上がった子どもたちと、大内さんの出会いの瞬間でした。


大内秀之さんという、車いすバスケットボールの選手であり、パラクライミング世界大会2位という輝かしい記録を持つアスリートと私が出会ったのは、2023年の夏真っ盛りの頃でした。


あまりの熱量と人を惹きつけるお話と、夢に向かって一途に進む姿に魅せられて、当時の私は無職だったにもかかわらず
「小学校の子どもたちにお話しに来てほしいです!」
とお願いしたのでした。




1.ついにこの日が……!


その、ほぼ妄想とも言っていいお願いから4か月。
大内さんは、ほんとうに、私の勤める小学校の子どもたちにお話しに来てくださったのです。


全員じゃなくて、3年生だけだったけど(^^;)


担任から事前に大内さんのご活躍ぶりをYouTubeなどで見せてもらって事前学習ばっちりだった子どもたちは、体育館で車いすに乗った大内さんが実際に目の前にいるのを見て、もうすっかりテンションMAX(*^^*)


なのに、なのに、整列して座って、お話が始まる前には、先生たちは何も言っていないのに、ほんとにしーーーーーーーんとしたのでした。
一瞬じゃなくて、数分間も。
(ちょっとしたハプニングがあって、「開始を待つ空白の数分間」が生じてしまったんです)


この子たちを1年生のときから知っている私としては、この時間が驚きでした。
誰に、何を言われるのでもなく、自分たちでこんなに静かになるなんて。
こんな時って緊張に耐えられなくてつい笑ってしまったりして静寂を破る子がいてもおかしくないんだけど、それもないんです。


子どもたちなりの、期待と緊張の表れだったんでしょうね。



2.できるかどうかじゃない やるかやらないか


お話が始まってからは、それはもう熱心に聞いていて、バラエティー番組のオーディエンスばりのリアクションが返ってきていました(*^^*)



取り組まれているスポーツの話はもちろん、車いすユーザーとしてのお話も子どもたちの興味をひいて、車いすを操作される姿に、いちいちどよめきが起きていました。
うん、「百聞は一見に如かず」って、こういうことをいうのね。


また、大内さんといえばこの言葉!



大人へのお話に出てくる言葉かと思いきや、小学生にも伝えるんですね。


それがもう、説得力がすごいんです。


・・・・・

大内さん(ご自分をそう呼ばれていました)は、すきなことはやる。
とことんやる。
人からお願いされたこともやる。
人が困っていたらお手伝いをやる。
全部やる。

ただ、めんどくさいことはやらない。
いやなことは、あんまりしない。

けど、(みんなが動画で見た)クライミングであんなに簡単そうに上っているけど、あれって実はめっちゃしんどい。
ああやって上るために、めちゃくちゃきらいなトレーニングをやっている。

めんどくさいししんどいしイヤやけど、クライミングをもっと楽しく、好きになりたいから、イヤなこともやる。

みんなも、やりたいことだけをずっとやれていたとしても、いつか、やりたくないこととか、めんどくさいことに出会う。
でも、それを、やる。

できるかどうかじゃない、やるかやらないか。
これ、大内さんが大事にしている言葉です。
だから、大内さんは、全部やる。
全部やったからこそ、世界の銀メダル、銅メダルになったんです。

・・・・・・・・・


めんどくさいこと、イヤなこと、それも全部、自分の「好き」につながっているんだという発想。
「全部やる」という覚悟、意気込み。
大人たちにも響いた言葉でした。


3.「○○になりたい」は、夢じゃなくて手段


そして、次に子どもたちが面食らっていたのは
「○○になりたい」は、夢じゃなくて手段、という言葉でした。


プロ野球選手になりたい
パイロットになりたい
ユーチューバーになりたい

それは全部「夢」じゃないよ、と言われて「ええ?」とどよめいていた子どもたち。
「それは手段だ」と言われて、聞きなれない言葉に、シュダン??となっていましたが。


プロ野球選手になりたいっていう夢だったら、そうなったらもう終わりやん?
大事なのは、プロ野球選手になって、何をしたいの?
どんなことをしたいから、プロ野球選手になりたいの?


大内さんがこんなにいろんなことをやっているのは、一番やりたいことがあるから。
それは「障がいのある人もない人も、一緒に成長していく社会を作りたい」ということ。


足の動かない大内さんとみんなが友だちになってしまえば、友だちが困っていたら助けるよね?
べつに足が動かないから助けようじゃなくて、困ってたら、お互い助け合うよね?
それはみんなにとって、障がいのある人を知るきっかけになる。
そんなふうに知り合うきっかけを作りたい。


子どもたちはすっかり引き込まれて、うんうんと頷きながら話を聞いていました。


実は後ろで聞いていた先生たちも「うんうん」とうなずいていたそうで(笑)
終了後、若い先生が「確かに先生になったからって、夢が叶って終わり、じゃないですよね。これから先まだありますもんね。なっちゃったからどうするんやろ、と思いました」と半ば苦笑しながら言っていました。

大内さんのお話は、子どもたちだけでなく、先生たちにもしっかり響いているのでした。



4.「ありがたすぎる!」


書き出したらキリがないくらい、ぎっしりつまった60分足らずのお話でした。


お話の後はバスケットボール用の車いすに乗り換えて、シュートも決めて見せてくれましたよ。
一発で決まって、子どもたちも拍手大喝采でした。


そして!
子どもたちが教室に帰る時は、パラクライミング世界大会の銀メダル銅メダルを、一人ずつ触らせてくださったのです!


せかいたいかいのめだるですってえええええええーーーーーーー


大人は大興奮で、もちろん子どもたちも大喜びだったのですが
実は子どもたちが一番うれしそうだったのは、別れ際に大内さんとハイタッチができたこと。
(もうこの手は洗わない!と言う子続出でした 笑)


メダルを触ってハイタッチをして、ほんとうに嬉しそうな子どもたちの表情を見て、4か月前の妄想が実現できて、子どもたちにも先生たちにもこんな時間をプレゼントできて、心底よかったと思ったのでした。


中でも、大内さんに握手をしてもらったある男の子が
「ありがたすぎる……!」
と言って自分の手を見つめては深くお辞儀をしていたのが驚きでした。


1年生のときも、2年生のときも、教室ではやんちゃでなかなか先生の言うことを聞かず、トラブルをしょっちゅう起こしていたような子だったんです。
その彼からまさか「ありがたすぎる」だの、90度に近いお辞儀だのが出てくるなんて。


そんな子どもたちの姿を先生たちと振り返っていると、大内さんは
「いや、子どもたちも楽しんでくれたんならもちろんうれしいですけど、あの体育館で一番楽しんでいたのは間違いなくぼくですからね!」
と言い切っていらっしゃいました( *´艸`)


全力で楽しむエネルギーって、すごいですね。
大内さんの「場を楽しむエネルギー」は、確実に体育館にいた全員を巻き込んで、キモチを揺さぶる何かがありました。


子どもたちにも、先生たちにも、そんな本物の力が伝わって、大興奮の数時間でした。





ヒデさん(大内さん)と出会って、学校にお呼びすることになった経過のお話はこちら




ヒデさん(大内さん)運営の、一般社団法人フォースタート。
月額1,000円から応援できる、マンスリーサポーターを絶賛募集中です!


******************

電子書籍を出版しています。


ぺーバーバックもできました!!
 ↓ ↓ ↓
2021年9月に出版した、初めての電子書籍です。
子育て中であり仕事にも忙しかった小学校の先生の私が、少しずつ意識を変え、生活を変え、夢を叶えていったお話を書いています。



子どもたちの心に種をまくように、ちょっと心に響いたり、何か行動してみようと思えたり、そんなきっかけになる絵本を紹介しています。


主に小学校の教科の学習の中で、関連づけて読み聞かせができる絵本を紹介しています。



それぞれの季節に合わせて読み聞かせできる絵本を紹介しています。



子どもたちにも人気の、読み聞かせで鉄板ともいえる絵本を紹介しています。
なぜ小学校で読み聞かせをするのがいいのか、学級づくりにどう役立つのか、そんなことも書いています。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?