ゲーム理論原則(3)

エクイティリアライズ(実現)

エクイティの実現は、この本の中でも最も重要なトピックの1つです。このコンセプトはPLOの根幹となるもので、全ての戦略において自分のエクイティを実現することに努め、相手のエクイティ実現をさせないようにします。

エクイティリアライズはあなたをさらに強いプレーヤーにします。この数学的コンセプトは全てのポーカーのアクション及び戦略に寄り添っています。PLOはハンドのエクイティが近いゲームですのでなおさら重要になってきます。エクイティに差がないのなら、エクイティリアライズは難しいのではないか?と思われたかもしれません。そう、確かにPLOにおいては難しいのです。ホールデムで弱いハンドをフォールドするということはそれほど大きい犠牲を払っていることにはなりません。一方PLOでは、一見捨てたくなるようなハンドでさえ、ポットオッズ的に見て十分なエクイティが与えられていることもあるのです。

これはよく言われることですが、ホールデムでの最も大きなミスはコールしすぎる事です。しかしPLOにおいては全く逆で、降りすぎる、ということが最大のミスなのです。PLOの最も大きなベットサイズはポットベットです。33.3%以上のエクイティを必要としません。理論上は、マージナルなハンドでもプレイ可能になると言う事です。しかし、もちろん事はそう簡単ではありません。ハンドを続行するかフォールドするかを評価することはPLOにおいて最も難しい問題なのです。

私たちはこれから非常に有用なコンセプトである「ホット&コールドエクイティ」を定義していきます。ここからの議論の基礎となります。

ホット&コールドエクイティ

ホット&コールドエクイティは、単に特定のポイントにおける、プレーヤーが持つハンドのエクイティという意味です。どのストリートでも使える言葉ですが、通常はフロップ以前のエクイティのことを指します。

例を出しましょう。あなたはA♠A♥K♣J♣をもち、相手は6♥5♥4♠3♠をもっています。あなたのプリフロップでのホット&コールドエクイティは55.61パーセントです。何のアクションもおこっておらず、ハンドが進行した場合の起こり得る結果を考慮しないエクイティです。

6543側を見てみましょう。プレイアビリティと言う意味で、たくさんのフロップがこのハンドにとって悪い物になります。仮に、高いSPR(Stack-to-pot-ratio,ポットとスタックの比率)で何のリドローもないフラッシュドローを引いたとしましょう。このフラッシュドローはもしかしたら良い物かもしれません。しかし相手が強いアクションを取り続けてきたら、よく考えなければなりません。より良いフラッシュドロー相手にドローイングデッドになっているかもしれないのです。したがって、フラッシュドローがフリーロールされないために、エクイティがあるかもしれないハンドをフォールドしなくてはならなくなってしまうのです。ドミネートされている可能性から、あなたはエクイティを実現できなくなってしまいました。

ホット/コールドエクイティはアクションを加味しないエクイティを意味します。先ほどの例にもどって詳しく数字を見てみましょう。

あなたはCOから6♥5♥4♠3♠をオープンし、BTNが3ベットしてそれをコールしました。あなたは、相手がBTNから12%ほどで3ベットしてくる事を知っています。このレンジに対してあなたのエクイティは42.15%です。フロップが開きK♠Q♠2♥。フラッシュドローになりました。さてここで問題が生じます。相手の12%レンジ全体に対しては、あなたのエクイティは37.7%あります。加えてバックドアのフラッシュドローとストレートドローがあります。このハンドの最大の望みはフロップでフラッシュドローを当てることですが、問題はどのくらいの頻度でドローイングデッドになっているか(相手により高いフラッシュドローを持たれているか)ということです。

相手は20.8%の確率でより高いフラッシュドローをもっています。この場合あなたのエクイティをわずか13.8%にしてしまいます。もし相手にフラッシュドローがなければ、大体44%のエクイティを保っています。つまり、約20%の確率であなたのエクイティは13.8%、80%の確率で44%のエクイティになるということです。両方のケースを組み合わせたEVの計算をして、頻度にもとづいたあなたの採算性を評価しなければいけません。

ハンドvsハンドとハンドvsレンジを比較することに加えて、相手と自分のレンジを考慮にいれなければなりません。ゲームプラン的観点から、あなたのレンジ全体を特定のボードでどのように活用するのかを考えましょう。

また、レンジvsレンジの解析を基に、3ベットに対するディフェンスレンジを含めたしっかりとしたゲームプランを立てましょう。

私たちはこのようなレンジを前提としたシナリオについてさらに議論していきます。エクイティリアライズと、ホット/コールドエクイティに関してはしっかりと理解してください。

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