ボードテクスチャー(5)

ペアボード

フロップは約18%の確率でペアボードになります。この特殊なタイプのボードに対してどのようにアプローチするべきか注意深く考慮するには充分な確率で現れます。何年か前までは、ペアボードをプレイする事は難しくありませんでした。ブラフを試みるプレーヤーは少なく、ほとんどのプレーヤーは、ただオーバーフル(あり得る中で最も強いフルハウス)のみでクリエイティブなプレイをして、トリップスや、あるいはアンダーフルでさえ、ショウダウン志向でプレイしていたのです。全てのプレーヤーはナッツを恐れていました。ナッツを恐れる事は間違いではないかもしれません。しかしここ数年で、ダイナミクスというコンセプトが、そういった考え方を著しく変えたのです。

ペアボードでは、レンジは常にポラライズされます。多くのプレーヤーがこういったボードで、しばしば激しいアクションをするようになりました。特に3ベットポットにおいて。ペアボードでのオーバーペアは、こういったアクションに直面した時、とても不安定な立場に置かれます。ブラフに対しては大きく勝っていて、メイドハンドに対しては大きく負けているのです。ダイナミックボードでは、ハンドのエクイティをベースにフロップの決断を下しますが、ペアボードはそうではなく、それぞれのプレーヤーの「頻度」がベースになります。ペアボードにおける相手のアグレッションを、綿密に検証する必要があるのです。そしてそれがどのようなハンドでもって、なされているのかもです。ペアボードで相手は、ストレートドローやフラッシュドローをもって攻撃してきますか?オーバーペアでレイズしてきますか?もしくは攻撃する事を簡単にあきらめすぎていませんか?などといった事を考慮します。

戦略的アプローチを深く掘り下げていく前に、ペアボードに関するいくつかの確率を見ていきましょう。まずペアボードのヘヴィネス(ペアのランクの高さ)を見ます。相手のレンジは、ボードにヒットしてトリップスを作っていそうでしょうか。例えば、ローペアボードでタイトなプレーヤーに相対した時、彼のレンジがヒットしているとは考えづらいです。それでは、いくつかの標準的なレンジがそれぞれ、様々なペアボードでどの程度トリップスを作るのか見ていきましょう。

標準的なレンジがトリップスになっている確率

この表から私たちは、いくつかの興味深い結論を導き出すことができます。まず、100%レンジから見ていきましょう。全てのペアボードに対してほぼ12.5%前後になっています。限られた試行回数(60万回)なので厳密な数値からは逸脱していますが、原則的には、ランダムハンドがトリップスになっている確率は12.5%ほどと言えます。

普通に考えると、レンジがタイトになるほど確率は偏っていくと考えられるかもしれません。ハイペアボードではより多くヒットして、ローペアボードではよりヒットしにくいという意味でです。実際その傾向は、100%から20%レンジに関しては当てはまります。そして、レンジがそれ以上タイトになると、確率は混合しはじめます。これにはいくつかの理由がありますが、真っ先にあげられるのは、非常にタイトなレンジに多く含まれるハイペアがトリップスを引く確率を減らしていると言う事です。しかし、タイトなレンジになるほど、ローボードよりハイボードでトリップスがヒットしやすいというのもまた事実です。

よって、ある程度まともなレンジを相手にしているのであれば、22x、33x、44xといったボードにおけるオーバーペアは非常に強いものになります。ローカードを多く含んだ非常にルースなレンジに限り、こういったボードでトリップスを作りやすい傾向にあります。

もしあなたがAAを持っていて、フロップがハイペアボードになったとしたら、それは全く良い事とは言えません。全てのレンジが妥当な確率でトリップスをヒットさせているからです。しかし、あなたのレンジにもまた同じ事が言えるのです。したがって、ハイペアボードではたくさんのブラフと、それに対するリブラフが起こり得ます。このような状況では「ドライボードではエクイティよりも、相手のアクション頻度をベースに決定を下す」と言う原則を思い出して下さい。よって、相手の傾向を詳細にノートに取る事が必要になってきます。

ツートーンのペアボードは特殊なケースです。通常、ペアボードでドローを引きにいくと言う行為は注意深く行われるべきですが、例外もあります。3ベットもしくは4ベットポットの場合、たとえペアボードであったとしても、あなたのフラッシュドローはほとんど常に、スタックオフするのに充分なエクイティがあるのです。例えば、5♥2♠2♥というボードにおいてA♥7♥xxは、AAに対しておよそ45%のエクイティを持っています。しかし、K♥Q♥Q♦というボードでは、すでにドローイングデッドになっているかもしれません。結局は、相手の傾向を詳細に研究して、そのアクション頻度に確信的なリーディングをする事が非常に重要なのです。

まとめ

♠ペアボードにおけるレンジはポラライズされていて、ウェイアヘッド/ウェイビハインドな状況になります。

♠エクイティの変化はほとんど起こりません。

♠プレイ方針は相手の傾向次第になります。

♠タイトなレンジはルースなレンジと比較して、ローペアをヒットしている確率は低いです。

♠ハイペアボードはタイトなレンジほどヒットしやすいです。


モノトーンボード

NLHEとは異なり、PLOにおけるモノトーンボードは非常にスタティックです。PLOではホールカードから2枚を必ず使わなければならず、ゆえにモノトーンボードでフラッシュドローがあると言う事はあり得ません。フラッシュが既にできているかフラッシュがないか、それが問題なのです。エクイティを変えるカードは非常に少なく、ボードペアのみがナッツを変える事になります(誰かのストレートフラッシュドローが完成するというケースもありますが、極めて稀な事です)。モノトーンボードに関する確率を見て、それが頻繁に起こるものではない事を確認してみましょう。

モノトーンボードにおける確率

♠モノトーンフロップになる確率:5.18%

♠ターンまでモノトーンになる確率:1.06%

♠リバーまでモノトーンになる確率:0.2%

♠ターンでペアボードになる確率:18.37%

♠リバーまでにペアボードになる確率:38.71%

見ての通りモノトーンボードはレアですが、それでも正しいアプローチを探る必要はあります。オマハにおけるモノトーンボードは非常にスタティックなので、ペアボードと同様の特徴を持っており、かなりの頻度で攻撃的アクションをされます。多くのCBとブラフレイズを受けます。覚えておいてほしいのは、タイトな20%レンジがモノトーンボードでフラッシュを完成させる確率は22.37%しかないと言う事です。しかし、こちらの高頻度のCBは待ち構えられており、相手プレーヤーはコールやライトなレイズをしてくる事があります。モノトーンボードで強いアクションを取れるハンドは3タイプだけです。すなわち、フラッシュ、セット及び(ナッツ)ブロッカーを持ったブラフです。

もう1度言いますが、スタティックボードでの決断はエクイティではなく、相手のアクション頻度をベースに行われます。よってあなたは、相手の様々な場合のノートを多量に取らなければなりません。セット、ナッツフラッシュ、弱いフラッシュあるいはストレートドローやツーペアを持っていた場合さえ、どういったラインを取ったかを記録します。彼らはブラフをたくさんしますか?リブラフにはどう対処しますか?更にブラフを返してきますか?ブロッカープレイをよくしてきますか?するとしたらいくつのストリートでしてきますか?ターン、リバーまでバレルを打ち続けますか?一度ブラフを試みてそのあとはあきらめますか?ブラフを誘うためにフラッシュをフロップやターンでチェックバックしますか?弱いフラッシュもしくは強いフラッシュをチェックビハインドしますか?

上で述べたように、フロップでフラッシュを完成させる確率はそれほど高くありません。したがって、誰もフラッシュを持っていないケースはしばしばあります。フラッシュを持っているかもしれないプレーヤーからのベットに対して対抗できるハンドはほとんどありません。単純に対抗するだけのエクイティが不足しているからです。セットでさえ、モノトーンボードでは複雑なプレイを強いられます。そこそこのエクイティがあっても、フラッシュに対してははるかにビハインドであり、また確かなインプライドオッズもありません。フラッシュに勝つためには、ボードがペアになってフルハウスを作るしかないわけですが、この場合フラッシュを持っている相手はスローダウンしてしまうからです。

もしあなたがフロップでフラッシュを完成させたのなら、ターンやリバーでボードがペアになるのを見たくはないでしょう。相手がフルハウスを作って、あなたのナッツハンドを逆転しかねないわけですから。

何度も言いますが、相手の傾向を見る事が大事です。モノトーンボードで、相手はどのくらいの頻度で、ツーペアやセットを持ってピーリング(フロップのベットに対して、ターンでのエクイティの改善あるいは逆転を願ってコールする事)してきますか?どのくらいの頻度で弱いフラッシュをコールして、ターンでブラフに変えてきますか?モノトーンボードで彼らをエクスプロイットするためにも、ノートをたくさん取っていきましょう。

モノトーンボードの特徴

♠フロップで相手のレンジにフラッシュがある確率はそれほど高くありません。

♠CBの頻度は高くなります。

♠ブラフが多くなります。(ナッツブロッカーを用いたフロップでのブラフレイズ)

♠プレイ方針は相手の傾向次第です。

♠レンジはポラライズされています。

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