ポストフロップライン(2)

それぞれのボードテクスチャーに対するベッティング戦略

堅実なポストフロップゲームプランには、あなたにとって良く、相手にとって悪いボードにおいてベット頻度を増やす事が要求されます。強いハンドと同様に、ドローあるいはいくつかのマージナルなハンドでもベットをしていきます。そうするためにも、様々なボードテクスチャーの特徴を理解していないといけません。そして、最も利益的なポストフロップラインを明確にするために、あなたのレンジとボードの相互作用を注意深く考慮していきます。これは非常に微妙で複雑なトピックですが、いくらかの目安はあります。この後に示す、それぞれのボードテクスチャーにおける方針は、主にフロップでヘッズアップになった場合に適用されます。マルチウェイにも同様の原則は適用できますが、ブラフ及びバリューベットは、あなたのレンジの中のより少ない部分でしなければなりません。マルチウェイでは、少なくとも1人はフロップにかなりヒットしている可能性が高いので、あなたは実際持っているハンドをより注意深くプレイする必要があるからです。ブラフはよほど限られた状況でない限り、ほとんど成功しないでしょう。ともあれ、マルチウェイでも基本的な方針は変わりません。

私たちは、前回までのパートで議論してきた様々なボードテクスチャーを、ダイナミクスをベースにして4つのカテゴリーに分け、それぞれの場合のしっかりとしたベッティング戦略を立てていきます。そのカテゴリーは以下の通りです。

♠非常にダイナミック

♠ダイナミック

♠スタティック

♠非常にスタティック

AJ9ss(ツートーンボード)、KT8ss、QJ7ss、JT6ssの様な非常にダイナミックなボードは、とりわけあらゆるレンジに強くヒットします。あなたはCBの頻度を下げて、その額は大きくしなければなりません。ターンでエクイティを大きく変えるカードから、あなたのハンドをプロテクトしなければならないからです。適切なCBの頻度は55~70%、額はポットサイズかそれに近い額を打ちます。

非常にダイナミックなボードにおいては、エクイティこそが意思決定のベースになります。全てのレンジが強くヒットしていて、完全なエアーによるブラフなどないからです。もし誰かが強いアクションを起こしたのなら、通常はかなり強いメイドハンドを持っているか、あるいはセミブラフ、リドローのあるブロッカープレイをしているでしょう。ピュアブラフはこのボードにおいてあり得ません。

こういったボードにおけるあなたの戦略に関して、取るべきいくらか安全なラインがあります。バックドアドローやブロッカーすらない、完全に何もヒットしなかったエアーの場合、ただチェックフォールドするという事です。仮にベットをしたとしてもコールされる可能性は非常に高く、あなたはポットを勝ち取るために、後のストリートで更なるブラフを、エクイティのないハンドでしなければならなくなります。これは明らかにマイナスEVなプレイです。よって、完全にボードをミスしたハンド全てをチェックフォールドするべきです。その一方で非常に強いハンドは、上で述べた通り大きなベットをしましょう。

こういったボードで問題になるのは、OOPでのしっかりとバランスが取れたチェックレンジ(チェックフォールド、チェックコール、チェックレイズ)を作るのが難しいと言う事です。単純に良いハンド全てでベットして、弱いハンドはフォールドすると言った事ができないからです。バランスを取るために、いくらか強いハンドをチェックレンジに含めなければいけません。とりわけ、ミスドCBに対して攻撃的であったり、フロートを頻繁にしてくるようなアグレッシブなプレーヤーに対して必要になってきます。

チェックレンジを作る上で良い方法としては、他にエクイティの足しになるものがない純粋なナッツフラッシュドローのような、弱いけれどもナッティなドローをチェックコールレンジに組み込むのがいいでしょう。こういたハンドでCBを打ってレイズを返されてしまうと、OOPで非常にタフな状況に追い込まれて、エクイティリアライズも難しくなってしまいます。逆にチェックコールならば、ポットを膨らませ過ぎることなく比較的安全にターンのカードを見に行く事ができます。チェックレンジをバランスさせて強くする事によって、アグレッシブなプレーヤー達は、あなたのチェックに対してプレッシャーをかける事に関して慎重にならざるを得なくなります。

チェックレイズレンジに関しては、OOPでプレイするには不安定な、いくつかのナッティでないハンドをプレイするのが良いかもしれません。チェックレイズするのは、ナッツを作る事がありえないからです。アグレッシブなプレーヤーに対してチェックレイズする典型的な候補になるハンドとしては、トップ&ボトムペア+ストレート、フラッシュドローなどの、100BBでスタックオフするのに充分なエクイティを持つものが良いでしょう。そうする事で、あなたのCBに簡単にコールしてくる様なプレイヤーに対して、ターンやリバーでの難しい状況を避ける事ができます。ターンであなたの立場を不安定にする多くのカードがありますが、チェックレイズする事によってあなたの現状を簡単にすると共に、CBに対してはIPから完璧にプレイできたであろう相手から、あなたのドローによっていくらか多くのバリューを得られるかもしれません。あなたのチェックレンジは、相手にするのが更に困難なものとなります。そして相手がチェックバックしたならば、あなたはマージナルなハンドでバリューを失わずに、申し分なく2ストリートプレイできるという事になります。

そういう訳で、非常にダイナミックなボードテクスチャーにおいては、トップセットのようなあなたのレンジの中でも上位にあるハンドをチェックレイズレンジに含めるべきではありません。ハンドをプロテクトし、その場ですぐにバリューを取りにいくべきです。それに、ベットレンジのバランスも考慮しなければいけません。もし相手にチェックバックされてしまったら、あなたの非常に強いハンドにとって悲劇となります。相手にコストを支払わせることなく、マージナルなハンドのエクイティリアライズを許す事になってしまいます。

以上のようなシチュエーションについては、後のハンド実例「シングルレイズドポット」の章、ハンド4、5、6でさらに深く議論していきます。

非常にダイナミックなボードの要点

♠あなたのバランスの取れたゲームプランにとって、OOPにおけるバランスの取れたチェックレンジを作ることが最大の問題となります。

♠非常に強いハンドでベットし、完全にミスしている場合はフォールドします。

♠チェックコール:ナッティなドローをエクイティリアライズの為に含めます。および、ペア+弱いドローも。

♠チェックレイズ:いくつかのナッティでない(OOPでプレイするのが不安定な)ハンドをチェックレイズレンジに含めます。

♠意思決定はエクイティに依存します。

♠プリフロップレイザーとしての妥当なベット頻度は55~70%で、ポットサイズに近いベットをします。

Q75ss、AT6ss、AJ4ss、KQ7ss、984ss、752ssのようなダイナミックボードでのベットは、かなりコールされやすいです。よって、ベッティング戦略を順応させる必要があります。ブラフはしすぎるべきではありません。CBの頻度はおよそ65~75%ほどになります。もちろんベットをする場合は、強いハンドによるバリューとプロテクトのために、スタティックボードよりも大きなサイズでするべきです。ポットに対して70~90%ほど打つのが良いでしょう。非常にダイナミックなボードとの主な違いは、プリフロップレンジがそれほど強くヒットせず、互いに中程度の強さのハンドでぶつかっているという事です。しかし、非常にダイナミックなボードと同様に、チェックレンジをバランスさせる事が重要です。

プリフロップでの強いレンジは、ボードのランクが低くライトになるほどそのバリューを失いますので、ライトなボードにヒットしやすい非常にルースなレンジに対しては、より多くフォールドする事になるでしょう。逆に非常にタイトなレンジに対しては、CBの頻度をより高くするべきです。しかし気を付けてください。非常にアグレッシブなプレーヤーは、ライトなボードテクスチャーで多くのフロートをしてくる傾向にあり、ブラフなどのアグレッシブなラインを取ってくる可能性があります。

ダイナミックボードの要点

♠ライトなボードでは特に、チェックレンジを調整しましょう。

♠ローボードでは、タイトなレンジほどエクイティを失います。

♠アグレッシブなプレーヤーは、とりわけライトなボードでフロートを頻繁に試みてきます。

♠チェックコールによってレンジをバランスさせることが重要です。

♠ベットサイズは70~90%、65~75%の頻度でCBを打ちます。

♠バランス上の観点から、トップレンジをチェックしてはいけません。

♠利益的なチェックコールはできないので、マージナルなハンドはベットするべきです。

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