SPR

SPR(Stack-to pot ratio)は、エフェクティブ(実効)スタックをポットサイズで割ったもので、フロップ、ターン、リバーでそれぞれ計算する事ができます。このSPRの数値を基に、リスク・リワード(見返り)比を考慮します。計算は簡単ですが、どのようにハンドをプレイするかに関して非常に重要になってきます。

SPR=実効スタック/ポットサイズ

実効スタックとは、単純に、参加しているプレーヤーの中で最も小さいスタックサイズを指します。例えば、ヘッズアップのフロップでポットが$10だったとしましょう。もしあなたと相手が互いに$95を持っているなら、SPRは9.5です。相手が$35しか持っていないのなら、SPRは3.5というわけです。

SPRはハンドをプレイするにあたっての非常に重要な指標です。オールインになる可能性を考慮したとき、リスク対リワードのシナリオを見積もります。PLOにおいては、ポットサイズ以上のベットができないため、SPRという概念はNLHEよりも重要になってきます。相手がフロップからリバーまでポットベットをし続けた場合のポットサイズを、正確に測定することができるのです。

ヘッズアップポットでSPRが1だったとしたら、1回のポットベットでオールインになります。SPRが4であれば、現在とその次のストリートの2回、ポットベットが可能です。そしてSPRが13の場合は、フロップからリバーまで、ポットベットを打ち続けられるというわけです。SPRが13以上の場合、どこかでレイズというアクションが起こらない限り、オールインになりません。下にある表は、一般的なSPRシナリオの概要を示しています。

ポットベットの回数は、ポットレイズにも適用されます。1回のストリートでポットサイズとポットレイズが起こると言う事は、2回連続したストリートでポットベットが起こると言う事と同義です。つまり、SPRが4の時に、1度のストリートでポットベットとポットレイズが起これば、オールインになるというわけです。下にある表には、いくつかのSPRの数値と、それぞれの場合のブレイクイーブンに必要なエクイティ%が記されています。リスク/リワードシナリオを考慮する上で、SPRは深く影響します。とりわけ、低SPR時は、利益的になるために必要なエクイティが比較的少ないため、よりスタックオフしやすくなります。

SPRが4近辺になってくると、ハンドのエクイティが44%あるかどうかと言う事が重要なラインになってきます。低SPRであれば、スタックオフする事は充分利益的です。しかしSPR4あたりでは、相手のスタックオフレンジや、レイズする余地がある故に発生し得る、フォールドエクイティなども、考慮しなければなりません。

SPRが非常に高い場合は、よりいっそう、取るべきリスクについて考える必要があります。フロップでオールインまで行く事が-EVになり得るのです。フリーロールされている可能性や、後のストリートで負けてしまう事などを心配しながら、ベストな方法でエクイティリアライズしていきましょう。

低SPRシナリオ

実効スタックに比べてポットが非常に大きくなった場合、スタックオフするレンジを劇的に広げるべきです。基本的に、フロップで何かしらヒットしていればフォールドしません。ブレイクイーブンに必要なエクイティはたった33.3%なのですから。

低SPRシナリオでは、ほとんどポットオッズのみが重要な要素です。よりよいプレーヤーの、あなたを負かし得るスキルの大部分(フロートやライトなレイズなど)は無効化されます。ムーブ、ブラフの余地はありません。低SPR下では、難しいポストフロッププレイは発生し得ないのです。後のストリートでの難しい決断がない「1ストリートゲーム」になります。ナッツでないドローにもバリューがあります。ポットがすでに大きくなっているため、フリーロールされていたとしても、比較的些細な事と言えるからです。

中SPRシナリオ

中くらいのSPR(4~13)というのは、100BBゲームにおいて一番よくある状況です。SPRが高くなるほど、複数のストリートを想定してプレイしなければいけなくなり、+EVなプレイをするために必要なエクイティはより高くなります。

エクイティリアライズするためのベストなラインを取るにあたって、ナッティネスが重要になりはじめてきます。一般的に、SPRが高い範囲にある時は、リドローのないナッツを注意深くプレイする必要があります。リドローのあるセイムハンドにフリーロールされているかもしれないからです。中~低SPRにおいては、なるべくフロップで決着がつくようにしたほうが良いでしょう。

ディープSPRシナリオ

13からそれ以上のSPRにおいては、誰かしらがレイズをしない限り、スタックの全てはポットに入りきりません。リワードに対してのリスクが高いため、レンジはよりいっそうナッツかナッシングかでポラライズされていきます。高SPR下では、中途半端な強さのハンドは激しいアクションに耐えられません。ただのトリップスや、アンダーフル(より強いフルハウスに負けている可能性があるもの)は注意深くプレイしましょう。

SPRとポジション

SPRにおいて、1つの注目する価値のない側面があります。すなわち、低SPR下で効果を発揮しなくなる、ポジション的アドバンテージです。プレイするストリートはより少なくなり、フロップかターンでプッシュorフォールドになる場面がより多くなるからです。

SPR操作

SPRの操作は、よりよいプレーヤーになるための基本的なスキルです。あなたはハンドを評価する際、以下の自問をしなければいけません。「マルチウェイとヘッズアップ、どちらでより良く機能するのか」「低SPRと高SPRどちらが良いのか」「より弱いプレーヤーをポットに参加させ続けるべきか」「アグレッシブなプレーヤーのライト3ベットに期待してモンスターハンドをフラットするべきか」その他諸々を、プリフロップラインを決定する前に考えなければいけないのです。例えば、スーテッドのA876のようなナッティなハンドを持っているのならば、マルチウェイになる事を望むでしょう。フロップに強くヒットすれば、多くの利益を得られます。一方QT85dsは、3ベットする事によって、低SPRかつヘッズアップの状況に持ち込みたいでしょう。マルチウェイにおいてこのようなハンドは、ドローがドミネートされる恐れがあるので、あまり良く機能しないのです。EVを最大化できるような状況を作り出す事によって、あなたのウィンレートは大いに上がります。

一般的に、マルチウェイで高SPRな状況ならば、ナッティなハンドをより多くプレイします。一方、ヘッズアップで低SPRな状況ならば、ナッティでないスムースハンドの方がよりよく機能します。プリフロップのプレイは、以上のような要素を全て考慮にいれて、配られたハンドにとって最も利益的な状況を作り出さなければなりません。

まとめ

♠SPRは、利益的なプレイをするために必要なエクイティを指定してくれます。

♠低SPR時は、ナッティなハンド及び高いエクイティがより必要なくなります。

♠高SPR時は、ナッティなハンドと高いエクイティが要求されます。

♠SPR操作:異なるプリフロップラインによって、SPRを調整できます。ナッティなハンドは高SPRを、スムースハンドは低SPRを目指しましょう。

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