ゲーム理論原則(2)

相対ポジション

アグレッサーのオープンに対してブラインドをディフェンスする時、「相対ポジション」は大きなアドバンテージをもたらします。

さて、UTGがオープン、CO,BTNがコールし、BBにいるあなたはブラインドをディフェンスしました。この場合、全てのストリートであなたは最初にアクションをおこさなければなりません。しかしあなたはUTGのアグレッサーに対して相対ポジションをもっているので、もしUTGがフロップでベットしたのならば、あなたが最後にアクションできるということになります。

(※ここで「相対ポジション」の話は終わって、通常のポジションの話に戻っていると思われます。)

ポジションは、フロート、レイズ、コールもしくはブラフなどをしたいときにも重要になります。ポジションをもつことによって全てのストリートで情報的有利を保てるのです。あなたがアグレッサーで、トリプルバレルを打つつもりだったとしても、リバーで十分なショウダウンバリューのあるハンドになれば、チェックバックしてもいいし、ブラフに変えてもいいわけです。チェックバックは、全てのストリートで相手のレイズというアクションを防ぐことができます。

知っての通り、「エクイティの実現」はPLOにおいてとても重要です。フロップ後に決してベットしなかったり、常に正しいドローオッズを与えてくれるようなパッシブなプレーヤーに対しては、プリフロップにおいてどんなハンドでもコールしない理由はありません。したがって、もし相手がOOPにいるのならば、出来得る限り相手にプレッシャーを与え、エクイティを実現させないようにしなければいけません。同時に、こちらのハンドおよびエクイティがレイズされるリスクを排除しながらショウダウンを目指す事もできます。

では、例を出します。

あなたはBTNからA♥Q♥J♦5♣をオープンし、BBがディフェンスしました。フロップはT♥6♠4♦。このフロップはあなたのレンジにとって良いものとはいえませんし、チェックレイズされたらコールはできません。一方、BBはプリフロップで3ベットをしておらず、彼のレンジの中にハイカードは薄いはずです。このほど良くコネクトしたボードに対して、BBが何かしらヒットさせていると考えるべきでしょう。言うまでもなく、こういうボードでBBはしばしばブラフやバリューでチェックレイズができます。

何のカードがターンであなたのエクイティをより良くしたり、いくらかのショウダウンバリューを与えるか考えてみましょう。A,Q,J,5でペアを作り、J♥,5♥ならばフラッシュドローもつきます。9ならばオープンエンドドロー、Kならばラップドローとなります。つまりこれら20枚のいずれかが落ちれば、ターンのベットにコール、ひょっとしたらレイズできますし、チェックされればベットできる可能性もあります。そして、ベットする価値がなさそうな時、相手がチェックレイズしかねないと思った時はチェックバックします。あなたのハンドを改善してリバーまでプレイ可能になりそうなアウツが20枚あるということは、44.44%でショウダウンバリューがある、もしくは良いドローになるということです。

PLOにおいては、先々のストリートまで見越したあなたのハンドのプレイアビリティ(プレイしやすさ)を理解することが重要で、ブラフとしてCBを打つのかそれともエクイティ実現のためにチェックバックするか、という場面はよくあります。

では、前の例でのあなたのホールカードをKKJ2r(レインボー、スートのないハンド)に変えてみます。この場合むしろあなたはベットしたくなるでしょう。ブラフの一種として、あるいはプロテクトやバリューとして。相手のレンジの最も弱い部分をフォールドさせる為、もしくは彼のエクイティを放棄させる為に。あるいは、ターンでブラフされることを防ぐ為にです。A,9,8,7,5,3,2は、ドローを完成させるか、もしくはKKにとってのオーバーカードになり得るものです。その数27枚。60%ものカードがターンであなたにフォールドを強いてきます。

こういう状況のフロップにおいて、ベットレンジとチェックレンジを作るところから始めましょう。バランスのために、もっとも強い部分と弱い部分とをベットレンジとします。その中間にある、ターンでよいエクイティを得られそうなレンジはチェックバックします。いくらかのハンドはフロップでチェックバックしターンでそのままフォールドしなければいけなくなるでしょうが。

ベット、レイズ、もしくはチェックする時は、常にレプリゼント(主張)したいレンジを念頭に置くことが非常に重要です。章の始まりで述べたような弱いプレーヤー達を相手にするなら、それほど難しいことではないでしょう。しかし、強いプレーヤーと対峙したなら、エクスプロイットされないための、しっかりとしていてリークのない戦略が必要となってきます。

特定のボードテクスチャーにおけるCBの頻度などはよい例でしょう。例えば、あなたがUTGからオープンして、ボードがローカードばかりだったり、ロックダウンボード(4-5-8rのようなボード)になった時、こういったボードテクスチャーとあなたのレンジはほとんどかみ合っていないはずです。あなたのレンジはハイカードに偏っているからです。したがって、相手がフロップもしくはそれ以降で通常より降りすぎる、という読みがない限りはこのようなボードでCBを打つべきではありません。相手がフロートあるいはフロップレイズを容易に行ってくるであろうことは言うまでもないでしょう。このハンドを継続することは難しく、相手のブラフレイズは極めて利益的になります。

あなたのレンジ自体は相手より勝っているはずです。しかしこういったボードテクスチャーであなたのUTGレンジをどのようにプレイ可能にするか、ということを考慮しなければなりません。CBを打つよりも、チェックコールあるいはチェックレイズを伴うような、特定のレンジをプレイする戦略を作りましょう。もしこういったフロップで打たないとするなら、相手はエアーで過剰に打ってきたり、間違ったバリューベットやプロテクトをしてくるかもしれません。チェックすることで、レイズされるよりも安く、ハンドのエクイティ実現が可能になるでしょう。

ここまで見てきたとおり、ポジションを持っているということはとても有利です。最後にアクションできる、とりわけマルチウェイにおいては対戦相手のレンジをより良く評価できます。MPやCOにいてUTGのオープンがあったなら、BTN,SB,BBのスクイーズを心配しなければなりません。さらにオリジナルレイザーのリレイズも起こりえます。一方、他のどのポジションにいるより、BTNからはより簡単にライトな3ベットを行えます。弱いプレーヤーをアイソレートできますし、広すぎるオープンレンジに対してはエクスプロイットできます。

フロップでベットしたくないときにはチェックバックでき、ターンやリバーでのエクイティ評価もできる。ポットもコントロールできて、良いフロップでブラフも可能になる。ポジションをもつこと、少なくとも相対ポジションをもつことは、誰もが過小評価できないほど大きなアドバンテージとなるのです。




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