導入

この本は、今日のポットリミットオマハに対する、堅実でアグレッシブなアプローチを説明しています。

この本はセオリーと実践、2パートに分かれています。基本的な原則とゲーム理論だけでは、複雑なオマハというゲームにアプローチすることが難しいからです。理論を理解することは必要ですが、実際のゲームにおいては、時間的制約の中であなたの知識を個々の場面に適応しなければならないという問題があります。

パート1では、ゲームの原則としっかりとしたゲームプランを理解するための理論が含まれています。まずはじめに「ゲーム理論」およびその重要性を説明します。加えて、搾取的(exploitative)アプローチとGTO(game-theory-optimal)アプローチ、2つの基本的なゲーム理論的戦略も説明します。どちらもすぐれた意思決定に基づいていながら異なるゴールを目指しています。前者は対戦相手の弱みをついて利益を最大化すること、後者はバランスのとれたレンジとベット頻度によって対戦相手につけこまれないことに主眼をおいています。ポジションの意味、エクイティへの理解、適切なブラフ頻度といったゲームの原則を理解したのちに、パート1の核となる章「ゲームプラン」に進みます。

私たちは「総合的なゲームプラン」を、起こりうるすべての状況について明確かつ戦略的に説明していきます。ハンドセレクションの原則(ポジション、エクイティ、プレイアビリティ、エクイティディストリビューション)とポストフロップシナリオ(参加人数、SPR、イニシアティブ、対戦相手の傾向)を含みます。これらのコンセプトは、まともで利益的なレンジ(オープンレンジ、コールドコールレンジ、3ベットレンジ、コール3ベットレンジ、4ベットレンジ)のハンドセレクションを作成するための基本になります。異なるレンジに対するエクイティとエクイティディストリビューションの表は、バランスのとれたプリフロップ戦略を構築する手助けとなるでしょう。

プリフロップ戦略とハンドセレクションの原則を知ることに加えて、ポストフロッププレイの重要な側面、「ボードテクスチャー」を理解することが絶対必要になります。さまざまなカテゴリーのボード(スート、コネクト、ランク)を正しく評価しなければなりません。ウェットでドローヘビーなボードの時は、ドライで静的なボードの時よりも、異なるベッティング戦略をとる必要があります。何故ドローヘビーなボードでベットサイズが大きくなるのか、何故静的なボードでCBの頻度を高くするのか、何故ポジションと相手の傾向によって異なるポストフロップのラインをとるのか。これらを理解することによって、ポストフロップは劇的に改善されるでしょう。異なるボードのタイプを読む上でもうひとつ重要な側面は、プリフロップのレンジとの相互関係です。あなたのレンジが強いハンドをあまり主張できないとき(例えば、タイトな3ベットレンジと8-7-6のようなボード)、バランスのとれたチェックレンジとベットレンジをもって、よりよいプレーヤーからつけこまれることを避けなければなりません。

マインドセットの章では、感情やティルトのこと、キャリアやバンクロールの管理など、ポーカースキル以外の重要な部分について説明します。

パート2では、典型的な実例を用いて、実践的に議論していきます。ボードテクスチャーをどう読むか、相手のレンジに対してベットやレイズ、フォールドするレンジを、どのようにバランス良く構築するかなどを、具体的にアドバイスします。理論を知っていて理解しているだけではなく、個々の状況に適応させることが非常に重要なのです。深い解析によるハンドレンジとベッティングラインに基づいた様々な実践例(リンプポット、シングルレイズドポット、3ベットポット、4ベットポット)によって、どのようにあなたのハンドを改善していけばよいかを示します。ポジションの意味とゲーム理論の原則によって、正しいポストフロップのラインを確立します。

最後の章では、CAPゲーム及びディープスタックといった、異なるスタックサイズのゲームについて説明します。浅いあるいは深いスタックがどのように影響するか、また、エクイティなどの概念をどのように応用するかというところが重要なのです。CAPゲームではポストフロップのプレイしやすさよりも、実際のハンドエクイティにもとづいてプレイしたいでしょう。ポジション、プレイしやすさ、あるいはデセプション(偽装)といった概念はディープスタックプレイのほうではるかに重要になってきます。

この本を2つのパートにわけるという決断は難しいものでしたが、理論と実践を分けるこのやり方が読者にとって利益的であると確信しています。長々と抽象的な理論を読み続けるのは辛いので、全てのプレーヤーが知っておくべき難しい理論はある程度簡略化しました。一方、具体的なシチュエーションの解析は、実際のハンドを全体的なゲームプランの中でどのようにプレイするかだけでなく、どのように戦略とゲーム理論原則を適用させていくかの手助けになるでしょう。

ハンドレンジ表記について

この本はハンドレンジ解析の際、ProPokerTools (http://www.propokertools.com/) に準拠しています。ここで使われているハンドレンジ表記をよく知っておいてください。全てをここ (http://www.propokertools.com/simulations/generic_syntax.) で見ることができます。また、この本の最後の部分にも短い説明がついています。




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