ポストフロップライン(5)

ベットサイジング

ベットサイジングは最も複雑なコンセプトの内の1つで、一般論を話す事さえ困難です。あなたのレンジ/ハンド、対戦相手、ボードテクスチャー、自分自身のイメージ、ゲームの流れ、直近のテーブルヒストリーなど、非常に多くの要素があなたの決定に影響を与えます。

何よりもまず、それがどんな場合であっても、ベットサイズを一定にする事だけはするべきでありません。フロップ、ターンと様々なベットサイズを使いわけます。ドライボードでは、ウェットボードほど大きなベットサイズは打ちません。ウェットボードほどハンドをプロテクトする必要はありませんし、より小さなリスクでブラフする事もできるからです。逆にウェットボードでは、ハンドのプロテクト及び弱いドローをフォールドさせるために、ベットサイズをより大きくします。

適切なベットサイジングは、相手プレーヤーのコールレンジの操作を可能にします。大きなベットは相手のコールレンジを狭く、強いものにし、小さなベットはレンジを広く、弱いまま保ちます。

あなたは、何故相手がペイオフしてくれないのか不思議に思った事があるかもしれません。それはおそらく、ベットサイズが大きすぎたのです。逆に、非常にウェットなボードでトップセットをヒットした時、ベットサイズを小さくしすぎてサックアウトされた事もあるのではないでしょうか。これらは極端な例に見えるかも知れませんが、最適なベッティング戦略というものを強調しています。ベットサイズが大き過ぎれば相手はより多くフォールドしますし、小さすぎればたくさんコールされます。また、ポラライズされたレンジに対しては、小さなベットと大きなベットは通常同じ働きをします。ベットサイズがいくらだったとしても、5678を持っている相手はKKQボードでコールはしないでしょう。もしあなたがバリューベットを、ポラライズされた、ウェイアヘッド/ウェイビハインドなボードで打つのであれば、ベットサイズを小さくするべきです。相手は大きなベットにはコールできないのですから。そしてブラフをすると決めたのであれば、サイズは同じにします。あなたのバリューベットとブラフは、エクスプロイットされる事を避けるために、同じサイズで打たなければなりません。バリューベットをポットサイズで打っているのであれば、ブラフもまたそうする必要があります。

ゲーム理論的観点から見れば、あなたのベット頻度とサイジングは、相手のコール頻度及びコールレンジと均衡が取れています。つまりはそこに、両者の相互関係と、インディファレンスポイントがある事を意味しています。あなたがバリューベットとブラフを適切な頻度及び適切なサイズで打つならば、相手はあなたのベットにコールしようとフォールドしようとどちらも変わらない(インディファレンス)と言う事になります。あなたは完璧にバランスを取り、相手の決断とEVはインディファレンスされます。

よって長期的には、あなたの完璧にバランスされたラインから利益を出すことが不可能になっていきます。これが、バランスの取れたゲームプランと戦略のパワーです。ただし、こういったバランス戦略を構築する事には多くの時間と労力を要しますし、単に理論的な解析だけでそれを成し遂げる事は不可能です。実際のハンド例をいくつか詳細に分析し、あるスポットでの確固としたベットレンジとコールレンジを徹底的に掘り下げていく、という方法を採るのが良いでしょう。そうする事で、同様のシチュエーションに適用できるような結論を導き出す事が可能になりますし、バランスの取れた戦略の意味する所を感じ取る事もできるはずです。こういった事を、ハンド実例の章におけるいくつかのスタンダードなスポットを見ていくことによって成し遂げていきます。

そのハンド解析に進む前に私たちは、ポーカーにおける心理学的側面と心構えの重要性を再確認しようと思います。

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