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2403_人生を取り換えるには「前提」が足りない「イマーシブ・フォート東京」

 ユニバーサルスタジオジャパン等の数々のテーマパークを再建したマーケターの森岡毅さん。その森岡さんが新しく仕掛けるのが、2024年にお台場ヴィーナスフォートを改修して作った「イマーシブ・フォート東京」です。
 キャッチコピーは「人生、全とっかえ。」という何とも壮大なエンターテイメントに行ってきました!

 中の作りはヴィーナスフォートのまま、施設の2/3が稼働している状況でした。全体的に薄暗く、ショッピングモールとして機能していた当時のまま、広い通路、高い天井のため屋内にも関わらず解放感のある室内。
 1dayパスで利用できるアトラクションは4つ。他にもパーク全体を使った謎解きや、会場内のショー等がありました。

 まずは、最恐没入型の「ジャック・ザ・リッパー」へ。
 お化け屋敷なんて、初めてかもしれないなと思いながら、6人ごとに長めのロープにみんなで捕まって自分でとことこ歩くスタイルでした。
 「怖い」と「びっくり」は違うと思っていて、びっくりは反射神経なんですよ。大きな音を使った驚かしが「怖さ」じゃないんですよ。演者の方々が迫真の演技を見せてくれる中、作り物の中だとどうしても身の危険は感じなくて、やはり実体験のドキドキには届かないと感じてしまうのです。
 テーマパークの体験は自分というよりも、一緒に行った人との思い出の共有だと思っています。高い食べ物も、同行者次第で1人で牛丼行った方がいいなとなりません?

 ヘンゼルとグレーテルの物語の裏側を体験するアトラクションでは、シアター形式になっている小部屋を視聴しながら進んでいくスタイル。
 各章の映像はもちろんきれいで、物語もしっかりとしたつくりになっていて面白い。
 しかし、映像を観るのは立ちっぱなしで、小部屋を移動しているだけなので疲れますね。
 来場の2~3割がインバウントの中、字幕などもない日本語のみのストーリー説明なのでお客さんの2~3割が体験まで至っていないのではないかと心配になってしまいました。

 それぞれの体験が10~20分単位の中で、感情移入をする「没入」に至るには前提条件が圧倒的に足りていない。アトラクションごとに物語の前提が異なるので、数時間で疲弊してしまいました。
 1dayパスから更に追加費用を払うと楽しめるアトラクションが3種類ほどあり、こちらのついでに楽しむのが正解なのかな。
 総じて、「お金を払えば喜ばせてくれる」という都市型エンターテイメントの典型だなと感じました。VRやARや日々技術進化する現代で、待機列に並んでいる間くらいはスマホをしまって、今感じていることを目の前の人に伝えることをしたいなと改めて思ったのです。

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