見出し画像

予感めいている

予感めいている

秋の、つんと抜けるような空
胸の奥までひといきで貫くような太陽の光
低くうなるベース音
陽を受けて散らしたあと、前髪の毛先に残る希望のつぶて

来なければよいと思った今日は来て、光あふれる明日につながる、慈悲は、ある、おそらく。

満員電車で押されても、仕事を辞めても、いとしいひとを失っても、わたしたちの尊厳は変わらずここにある
アイデンティティと名づける前からある、手の中に握って生まれてきたものを思い出しながら

わたしの代わりはいくらでもいるけれど
わたしにとってわたしの代わりはいないから
生きているうちに、死ぬ前に、手渡さなければならない
泣きながら握っていたものは何か、太陽のもと指をひとつひとつ開いてじっと見つめる

太陽の光は誰にもひとしく熱く、明るい

予感めいている

いつもお読みいただきありがとうございます。いただいたサポートは、これからの作品作りに使いたいと思います。