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夢は現に寄せては返す

現実が夢となってひとつ変容し、そののちそれが現実となってさらにふたつ変容する。
重ねた手の感覚は、目覚めたあとでもはっきりとあり、語られた言葉はあざやかだ。
わたしの絵を真似て、白い紙に友が描く。その花は生きることを疑いなく信じる植物のように、迷いなくのびやかでうつくしい。

ときに現実は過酷でくだらなく、思いがけない出会いと喜びに満ちている。頭ははっきりしているのに、感情はだいたい混線している。好き、嫌い、憎い、愛してる、くだらないのに、救いがある。現に心を大きく揺さぶられ、やがてわたしたちは夢へと帰っていく。夢と現を縦糸と横糸にして、まばたきに似た物語を織りながら、唯一思い出すのは愛のことだ。ここで会うのが最後でも、いずれ夢で、次の世で、かならず会う。約束する。交わった一瞬は永遠に続く。

茫漠としている荒野の中から、果実を見いだそうとしている。感情は、意識のあるうちずっと混線しているから、ときどき泣いたりしながら生まれてきたことを思い出したりしている。

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