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"泣いてしまうなんて勿体ない" aikoの名バラード10選

わたしは、熱烈なaikoファンである。
正直、ファンという言葉はあまり使いたくない。だって、そんなもんじゃない。

「aikoジャンキー」とはよく言ったものだと思うが、まさにその通りなのである。
彼女にはものすごい中毒性がある。いったんハマったら最後、きっともうあなたも抜け出せない。

「aikoはええ曲しかない……」それはもう大前提として、中でもわたしが、「何回聴いても泣いてまうからうっかり外で聴けへん、、」
と思っているaikoのバラードを10曲厳選してみました。

できるだけ冷静に、極力感情的にならずに(ほっといたらどこまでも高ぶるんで)、
aikoのバラードの魅力をお伝えできればなと思う。

どれもほんっっっまにええ曲なんで、
aikoジャンキーはもとより、そうでない人にもぜひご一読いただきたい。

(ちなみに、どの曲も好きすぎて順位はつけられないのでランキング形式ではありまへん。)

ではさっそく参りましょう。ドン!


1.Aka

2012年6月発売のアルバム「時のシルエット」の一曲目、Aka。

冒頭でも述べた通り、どの曲もほんまに好きすぎて「これが一番!」っていうのはめちゃくちゃ難しいんですが、「一番~な曲」という言い方をするならば、Akaはわたしにとって一番思い入れの深い曲です。

というのも、初参戦したaikoのライブの一曲目だったんですね。
つまり、人生ではじめて聴いたaikoの生歌が、Akaでした。
そりゃ思い入れも深くなるってもんです。

そんな個人的なエピソードはさておき、
Akaは、離れた場所で恋をしている二人の曲。

あなたがあたしの事をどう思っているのか
それはそれは毎日不安です

遠くて逢えない日があっても全てうまく行きますように

かつて雑誌のインタビューで「私、遠距離ダメなんです(笑)」と答えていたaikoだが、もちろん経験したことはあったに違いない。

祈るような思いで過ごす毎日。

泣いてしまうなんて勿体ない

この記事のタイトルにも引用した、何度も繰り返されるこのフレーズが印象的。

逢えない日を重ねたあとに広がる「今だけの世界」。

やっと逢えた大好きな人をちゃんと目に焼き付けたい、
笑顔の自分を見てもらいたい、なのに
「泣いてしまうなんて勿体ない」。

なんとなく「ぼやけた向こうに見える」あなたの顔は、泣いている「あたし」をなだめるように、優しく笑っていると思えてならないのだ。


2.愛のしぐさ

2005年発売の6thアルバム「夢の中のまっすぐな道」に収録されている曲。

これが好きっていう人はちょっとコアなファンかもしれないな(ファン言うんかい)。

愛のしぐさを一言で伝えるなら、とにかく「切ない」。
今回紹介する10曲の中でも、切な度はダントツトップやと思います。

歌詞や曲調もさることながら、なんといってもaikoの歌い方が、もう。
あまりにも切実で。心に刺さるみたいにして訴えかけてくる。

ふと道で香ってた同じ匂いにこのまま
倒れてしまいそうだった

「香ってた」の「た―――」がやばいです。わたしは「た―――」で泣ける。
歌いながらも、息が抜けるような。力尽きるっていったらニュアンスが変わってしまうけど、なんとも切ない抜け方をするんです。

ここの歌詞も、愛のしぐさの中でいちばん好き。
匂いって、五感の中で最も記憶をよみがえらせるものやと思ってる(科学的にも証明されてた気がする。知らんけど)。

あなたも、そんな経験ありませんか?


3.明日もいつも通りに

同じく「夢の中のまっすぐな道」より、明日もいつも通りに。

余談ですが、「夢の中のまっすぐな道」ってタイトルがめちゃめちゃ好きです。
収録曲がタイトルになってたり(後で出てくる「秘密」とか)、曲の中でタイトルに近い歌詞が出てくる(キスの息 /「泡のような愛だった」の ” 泡のように嘘だったと消えたりしないでね ” )アルバムもあるけど、これはそうじゃなくて。
(ってさらに関係ないけど、「キスの息」が予測変換で「キスの域」って出てきて笑ったわ。どっからどこまでやねん)

収録曲とか薄青いフェードがかったジャケットとか、そういう全部でアルバムの雰囲気ができあがってる。その雰囲気ぜんぶ含めたタイトルなんかなと。
もちろんどのアルバムもそうやろうけど、「夢の中のまっすぐな道」は特にその色が強い気がするなあ。想像をふくらませるのが楽しいです。

で、話を戻すと、
明日もいつも通りに は、愛のしぐさに続く切ない曲だと思ってる。切な度ランキング第2位。

恋人と別れたあとの曲です。

あたしの声はあなたには届かない
悪口叫んだとしてももう聞こえない

時が経って知ったでしょ?何気なく過ぎてゆく毎日に生まれてた愛情が
「つまんない」と呟いた白く煙る日々でも心の隅っこで生きてた事

なんとなしに曲調、歌い方ともに 愛のしぐさ に似ているところがある。

1番と2番はBメロで盛り上げて盛り上げて、
一瞬の空白でさらに高めた気持ちを吐き出すかのようにサビへとなだれ込む。
そこでもかなりぐっとくるのだが、対照的な2番あとの大サビがさらにこの曲の印象を強くしている。

間奏後、長めに取られた空白に身構えるも、
耳に入ってくるのはそっと撫でるかのように優しいピアノと控えめな歌声。
しかし次第にそれらは情感を増して熱を帯びてゆき、同時に例えようもないくらい胸に迫りくるのだ。

だけど一生想うだろう 本当は大好きなの
キスする感覚を忘れても
指の間絡ませて繋いでたこの手が
大人な握手に変わっても

この部分こそが、明日もいつも通りに を『明日もいつも通りに』たらしめている箇所だといっても過言ではないだろう。


4.微熱

2016年発売の最新シングル、「恋をしたのは」のカップリング曲。

わたしが最近、一番かもしれないくらい好きかもしれない曲です(曖昧すぎか)。
いや、やっぱり今いちばん好きな曲です。

わたしがこの曲最大の要やと思ってるのは、
二番あとの間奏に、aikoがハミングでハモるところ(3分25秒から3分30秒までの5秒間)です。

いや、ハミングではないんかな。
「ふ――、うぅ―――」みたいな。(字面めっちゃ苦しそうやん。違うんですよ。)

そこが本当に、たまらなく美しい。
心が洗われるみたいに綺麗な音楽に、何回だって涙が溢れる。

あなたと手をつなぐ時はいつも
汗の星屑と心がぶつかる

この歌詞をはじめて目にした時、誇張なく鳥肌が立った。
汗の星屑。そんな綺麗な表現ほかにありますか?って思う。

1分1秒刻み
あなたを知り あたしをあげる

あぁ 大好きで泣けてくる

好きすぎて泣いてしまう感覚。幸せだけど苦しいな。


5.自転車

Akaと同じ「時のシルエット」の、最後に収録されている曲。

なんとなしに、清潔な空気がはりつめた夏の早朝が思い浮かぶ。
(発売が初夏だったからかな)

恋人に別れを告げられたあとの曲です。

とはいえ、重苦しい感じは一切ない。
しずかで、丁寧で、さわやかで。
別れを告げられたという辛い現実に向き合いながらも、
「あなた」のことを心から大切に思っていて、同じように「あたし」も大切にされてきたんやなあと思わせられる、優しい曲。

気持ちは昨日今日 毎日変わって行く
明日あなたはあたしの事をどう思っていてくれるだろう

噛みしめるように何度も思う。
気持ちの境目は見えないから、いつも不安なんだろう。

こんなに好きな人に逢えた事は
とても大きな出来事

たとえ離れてしまっても、そんなふうに思える人とできた恋は本当に素敵だと思う。


6.スター

2006年発売、通算7枚目のアルバム「彼女」の収録曲。
映画「あらしのよるに」の主題歌にもなっていました。

素直でまっすぐな歌詞が素敵で、随所にちりばめられた言葉が本当に綺麗。

「心から好き」とか喜んだ顔とか
そんなものばかりで溢れます様に

はにかみ 吐息 唇が動いた
「明日もちゃんと傍にいて」

透き通る日も 曇り濁った日も
あなたに想いを焦がして

そして、サビの熱量がすごい。
Bメロからブレスなしでサビに入るから否応なしに高められるし、そのあとのメロディーラインがたまらなく切なくて印象的。

あと、どうしても知ってほしいことがありまして(そんなん常識やわってなったらごめんなさい)。

あたしが射す光のもとへと
強く手を伸ばせるのならば

っていうのが一番のサビ。

で、2番のBメロの歌詞が、

真っ白な世界を歩いて行こう
あなたはいつまでもあたしの光

お気づきだろうか。

「あなたはいつまでもあたしの光」

ということは…

「あたしが射す光」って、
ほかでもない「あなた」のこと。

高校生の時そのリンクに気づいて、
aikoすごい…って心が震えるほど思ったのを今でも覚えてる。


7.瞬き

2011年発売の29thシングル、「ずっと」のカップリング曲。

厳選した後になって「はたしてこれはバラードなのか…?」って思ったけど、
もう決めたんで気にせず書きますね(ミディアムバラード、かな?)。

aikoらしい濃密さがぎゅっと詰まった曲。
現在は別れているものの、時系列をくるくる変えながら好きな人(好きだった人)とのことが描き出されている。

こんなにもこんなにも苦しくて眠れないのは
あなたを愛する証だと言い聞かせてるの

歌い出しから、濃い。
「愛してた証」じゃない、「愛する証」。

繰り返す時の中で何度もすれ違った

ただ過ぎる時の中でまた出逢ってしまった

時間を重ねても、きっと他人にはなり切れない。
つかず離れずの関係で揺れる心が垣間見える。

両手の隙間から見えた あたしを見てるあなたも
両手の隙間から見えた あたしが見てるあなたを

まるで間違い探しみたいだ。
たった一文字、助詞が違うだけでこんなにも変わる。

これだから、日本語はすごい。
これだから、aikoはすごい。

今 瞬きが始まりに変わる

すごく好きなフレーズです。


8.いつもあたしは

両A面シングル「恋のスーパーボール|ホーム」のカップリング曲。

大好きな人を、このうえなくたいせつに想う気持ちを描いた一曲。

その気持ちが大きすぎて生まれる不安や逡巡も、きちんと認めて温めてあげようって思うことができる。

心襲う不安な事 想像したら一瞬時が止まる
温かい今を愛おしく思う事もあたしには出来ない

例えばあなたがいなくなったら あたしは死んでしまうのと
あなたをいつも引き留めてしまう
いつもあたしは

この辺は、俗にいうメンヘラ的な要素でしょうか…。
まあaikoジャンキーである以上、誰しも多少は持ち合わせてるのかもしれないな、、笑

出逢えた日を何度も思い出す
忘れる事なんて出来ないから

出逢った日、ではなく「出逢えた日」。
偶然といってしまえばそれまでなことも、きちんとすくい上げて大事にしたい。

過ぎてく日々にひとつひとつ
重ねる何気ないあなたとの時
これ以上のものはいらない
いつもあたしは
いつもあたしは

「これ以上のものはいらない」
aikoにそう言わしめるほどの幸せは、手の込んだサプライズや記念日といった特別なものではないのだ。

二人で過ごす中、圧倒的に多くやってくるのは特別でもなんでもない「ふつう」の日常である。
「ふつう」の日々を、どれだけ愛おしく思えるか。
この曲は、またその大切さにも溢れていると思えてならないのだ。


9.秘密

さて、いよいよ終盤に差し掛かってまいりました。
通算8枚目のアルバム「秘密」より、表題作の 秘密 です。

この曲はもう、

「とにかく一回聴いてみてください!!!」

と、言いたい。

この曲なしに、aikoは語れない。

っていうくらい、
歌詞にも曲調にも歌い方にも、aiko的要素が濃縮されている曲。

これ以上想いが募ったら
なんだか好きだけじゃ済まなくなりそうで

「好き」の向こうには一体なにがあるのか?

きっとそれはaikoにもわかっていないのだろう。だから怖い。
人を好きになるって、とてつもなく怖いことだ。

こうして出逢えた事も きっと決まっていた事

ここでもまた、「出逢った事」ではなく「出逢えた事」なんだなあ。


10.約束

ラストは、アルバム「秘密」の最後に収録されている曲。

好きな人と別れてしまった曲です。
同じくアルバムの最後に収録されている 自転車 と、どことなく似ているかもしれない。

イントロなしでいきなり始まる歌い出しに、まず心掴まれる。
歌詞全体が、まるで詩みたいな美しさ。

夏の雲が作る
グランドに引いた白線の様な石灰舞う瞬間

冬の雲は作る
細く切ない生糸で編んだ薄いストールの波

1番と2番のAメロでつくられる対比が本当に素敵。
きっと長い時間を共にした二人だったんだろうなあと思う。
「グランド」「白線」っていうワードからも、
わたしの中では高校時代を想起させられる一曲です。

あなたの斜め後ろにいた時いつも思い描いた
強く淡い明日

「強く」「淡い」という、一見対照的な二語が組み合わせられている。
でも、なんだかわかる気がするのだ。
たしかなもの。でも同時に、このうえなく不確かな相手の気持ち。

自転車 の ” 明日あなたはあたしの事をどう思っていてくれるだろう " 的な漠然とした不安が、ここでも垣間見える。
約束 の中で、わたしがいちばん好きな歌詞です。

桜色の花火 朱色のコート

四季が表現されたaikoの歌詞の中でも、もっとも秀逸だといえるのがこれ。
「桜色」で春を、「花火」で夏を、
「朱色」で秋、そして「コート」で冬を表している。

ここからも、すべての季節を共にした二人の姿が浮かんでくる気がしてならないのだ。

いつかまた逢える日が来るでしょう
その日まで必ず元気でいてね

次に逢う時はきっともう恋人同士ではないけれど、大切な人であることに変わりはないからそう思うのだ。


さて、以上10曲ご紹介しましたが、いかがだったでしょうか。

なんだかんだで結局、自分の思い入れや主観の強い解説になってしまいましたが

少しでも「この曲聴いてみよう!」とか、
または「この曲こんなところがあったんや!」
もしくは「ここいいよなーーー!わかる!!」
なんて、思ってもらえるきっかけになれば幸いです。

言葉に言い表せない程の
想いの方がきっと多いよ

言葉の力を心から信じているわたしでさえ、

本当に好きなものとかすきな人とか、
打ちのめされるほどの衝撃を前にするたび
いかに言葉が無力かを知る。

とてもじゃないけど、言い表せない。
それが好きであればあるほど、
すごいと思えば思うほど。

それでもわたしにとっては言葉がほとんど唯一の手段だから、なんとか言葉にしたくって、いつも不格好にもがいています。

想いを言葉で伝えたい。
どうか伝わってほしい、って泣きそうなくらい切実に思う。

aikoはめちゃくちゃ多才な人やけど、中でも「言葉」をすごく大切にしてるんやなあっているのがひしひしと伝わってくるから大好きです。

最後ちょっと話がそれちゃいましたが、
ぜひあなたもaikoの沼へ、おいでませ。

長いのに読んでくださって、
本当にありがとうございました!

#エッセイ #aiko #音楽 #歌詞

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