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就活日記① 〜お祈りメール編〜

(うわ、……これは、結構クるわ。)

ついにわたしも受け取ってしまった。
噂のアレ。受け取ったらしばらく立ち直れんという、アレ。もちろん、不幸の手紙などという可愛らしいもんではない。

それは、選考に落ちたとき会社から送られてくる残念メール。
いわゆる「お祈りメール」である。

「末筆ながら、今後のご多幸をお祈り申しあげます」

短いメールの最後にあったその一文を、しげしげと眺める。
(ついにわたしも、祈られた……。)
ついにといっても、選考結果が出たのはこれが1社目である。しかしそこは、かなり志望度の高い会社だったのだ。

いつものように客観視して笑い飛ばそうにも、顔が引きつり、到底できそうになかった。
これは、笑えん。笑えんて。だいぶショックやて、なあ。と揺れる車内でひとり、どっぷり途方に暮れていた。

一気に悪い妄想が、ばーーっと頭を埋めてゆく。
こんなに自信満々でいろんな人に言いふらしているくせに、全部落ちたらどうしよう?
友人から同じことを相談されたらば、かけるべき言葉はいっくらでも浮かんでくるけどしかし、それが我が身に降りかかるとまったく、話は別物なのだった。

就職が決まらず、やる気も熱意もすべて喪失し、家の近くのセブン・イレブンでぼんやりとレジを打つ自分の姿がつと浮かび、短絡的すぎるその思考回路に落ち込んだ。せめて本屋さんとかケーキ屋さんなら良かったのに。

これまで散々、楽観的なことを言ってきた。わかってる、わかっているよそんなこと。

終わったことは仕方ないからもう同じ失敗をしないように、早く対策を始めた方がよいのだよ。まだまだこれからなのだから。
それは励ましでもなんでもない事実、選考ラッシュはこれからなのだというところ。

もう忘れたい、忘れようと思いつつ、未練がましく何度もそのメールを見てしまう。
間違いなんじゃ、なかろうか。しかし何度確認したところで、決して間違いなどではないのだった。

もういっさいがっさい放り投げ、カナダにでも飛んでいきたい気持ちである。
しかし実際、そうもゆかぬ。進まない御社のエントリーシートを思い切り睨みつける。
月並みな自分の文章に吐き気を催し、知らないことの多さに打ちのめされたとしても、立ち上がり進んでゆくしかないのだ、今は。今だけは。

そこが最終目標じゃないにしたって、今やるべきことが目の前に山積しているというのは、紛れもない事実である。
だからどうか、がんばってくださいねわたし。今後の健闘を誰より心より、お祈りしているよ。


#エッセイ #就活

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