花言葉は「平和」ですって。

オリーブの木が、やってきた。
3年来の付き合いである大切な友人が、誕生日のプレゼントにと贈ってくれたものである。

ずしりと持ち重りのする紙袋からは、青々とした葉っぱが飛び出している。
生きているものを貰ったのは初めてのことだったので、わたしはちょっとどきどきしながら鉢を袋から取り出した。


一緒に入っていた手紙には、こんなことが綴られていた。


『今年は(わたしが)夢に向かって本当にスタートを切った年だと思ったので、その記念と、一緒に成長していけたらいいなという想いを込めて木をおくろうと決めた』

わたしの姿にいつも力をもらっているし、ずっと応援している、とも。


彼女は、わたしが文章を書くことで生きていきたい人だということを知っている。

わたしの文章をいつも読んでくれていて、ずっと応援してくれているのだけれど、他ならぬ彼女自身がものすごい努力家なのだ。

彼女の目に映るわたしはそんなふうだったのかと驚く反面、
やっぱりすごく嬉しかった。
とても、とても嬉しかった。

自分でも見落としそうなわたしの変化に気づいてくれたこと、
それを祝福してくれたこと、
そして、応援してくれたこと。

心の底の方が、じいんと痺れるみたいにあったかくなる。
想ってもらえること、こんなにも嬉しいのだと。


しかし。

不器用・ずぼら・めんどくさがりと三拍子そろったわたしでも、果たしてちゃんと育てることができるのだろうか。
そんなに難しくない植物だということは調べてみてわかったものの、やはり不安は拭えない。

せっかく想いを込めてもらったオリーブの木、枯らしてしまうことだけは何がなんでも絶対避けたい。
ホームセンターにでも相談しに行こうか、と考えていた矢先のことだった。


オリーブを貰った翌日、サークル活動の一環で作成しているフリーペーパーの取材予定が入っていた。

取材先は、期せずして素敵なお花屋さん。
あわよくば取材終わりにオリーブ相談ができるのでは…! と、淡い期待を込めつつお店へと向かう。

迎えてくれたのは、優しげな女性のオーナーさん。
その気さくな雰囲気に緊張もほどけ、いろいろなお話を伺った。

取材も終盤に近づいた頃、お話ししていてふと気になったことを尋ねてみた。

「オーナーさんが感じるお花の魅力って、どんなものでしょうか」


すると、


たった一本や二本の花で、人の気持ちに寄り添うことができる
言葉がなくても伝わるものがある

そういうところに魅力を感じるのだ、と。


それを聞いて、真っ先に思い浮かんだのは、友人がくれたオリーブの木だった。

彼女は言葉をも添えてくれたから目でも見ることができたけれど、多分それ以上にずっと、木に込められた想いは計り知れないものなんだろうと思ったから。

気持ちを伝えるための手段が、必ずしも言葉だとは限らない。
そして、本当にたくさんの人が誰かに気持ちを伝えようとしてるんだなあ。

と、子どもみたいな素直さでそう感じた。
なんだか目のさめるような思いだった。


わたしみたいに、言葉で伝えたい人。

お花や木や、植物を贈る人。

イラストや漫画で伝えたい人。

歌に乗せて届けたい人。

食べものを通して寄り添う人。


きっとその手段はもっともっとたくさんあって、そしてそれは目に見えるものとは限らないかもしれない。

伝えたい気持ちがある。
「伝えよう」とする想いがある。

贈る側にとっても、受け取る側にとっても、なんて素敵なことなんだろうと思う。

でも、ぴったり来るかたちを見つけることは、時にとても難しい。

気持ちのいれものには無限大のかたちがあって、すこし違えばちゃんと正しく伝えられないかもしれない。
人に気持ちを届けるということは、常にそんな
怖さと隣り合わせであるように思う。

だから、まっすぐに届くとうれしい。
だから、まっすぐに受け取れるとうれしい。

もしかしたらわたし以上に、2017年という年に意味を見出してくれた友人を、とてもとても大切に想う。

会う頻度は年々減ってしまっているけれど、間違いなく出逢うべくして出逢った人。
これからもずっと、励まし励まされ続ける存在なんだろうなあ、と、確信に近い強さでそう思う。


3000年生きるというオリーブの木とともに、わたしもぐんぐん成長していかなくちゃいけないな。

すっと背筋が伸びるような気持ちです。
生きものと一緒に、生きていく。


ちなみに、オリーブはとても丈夫なので、ちゃんと陽に当ててお水をやってあげさえすれば心配ないとのこと。

ほっと胸をなでおろしましたとさ。


#エッセイ

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