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劇団新和座の公演がストレスなく見られるいい感じに作られた小劇場の公演だった件

劇団新和座第12回本公演『デスマーチ ブラックIT撲滅スペシャル』観に行ってきました。(14日マチネ)
知り合いが出ているわけでも、知り合いが脚本もしくは演出してるわけでもない小劇場の舞台を観に行った理由は友人である脚本家のにしうりすいかがベタ褒めしていて、ちなみに本人になぜこの劇団を観にきたかと聞いたら

「デスマーチって単語がツイッターに流れてきたら反応せざるを得ないでしょ」

ですよね、ITの人だもんね。

いわく、ITのテクニカルタームを脚本演出が理解していてそれをちゃんと役者に演出としてつけられているとのこと。

いやほんとそれわかる!!!!

あるーーーーバレエものとかで「本人がバレエレッスンやってバレリーナ役に挑戦!!」とか言いつつ本番前衣装揃えた状態にも関わらず上着も着ないで廊下をトウシューズのままノコノコ歩いてるドラマとか(体や足が冷えるしワックスつくだろ〜〜〜!!!!)
スケートもののドラマでコーチが「じゃあスパイラルから始めようか」とか、出たーゲストのいい感じの映像欲しいからありえない行動ーーー!!!!(ウォーミングアップをしろウォーミングアップを〜〜〜〜)

とまあその辺は置いておいて(なんの作品かは言わない)
劇団側の作り方として、いろんな意味でストレスなく見れるように作られてました。(噛み神様が降りていた回だったので楽日頑張ってください!)

☆小劇場言われがちポイント☆

注意※これらのポイントはおそらく小劇場に足を運んだことのないみなさまが受け取られてそのまま呟かれてるネタのうちなんとなーく私も「それわかるわ・・・」という点を個人の独断と偏見によりツッコミをひたすら入れて行くのであくまで個人の意見です!

● 高い 3〜4千円って、そこそこいい飲み会1回分ぐらい。
→前売り当日共に一般2,000円、学生1,000円。何かと比較されがちな映画とほぼ同価格帯。そしてIT企業割引(要証明書)で1,500円
作品のテーマもはっきりしているので「刺さって欲しい人に刺さるための工夫」の一例

● 全席自由なので受付開始時間にきてとりあえず30分とか意味なく待たされる
→ちなみにおよそ15分前に到着受付入場したのですが着席率は半分から7割程度まあぼちぼち揃ってます。みんないいお客さんだ・・・!(涙)もちろん椅子も全部背もたれついてるし同じ椅子だったからね!!!
30分前受付開始だからそこそこ早くみんな来たんだな…と思っていたら舞台奥のスクリーンで注意事項前説動画スタート

あーこの劇団ちゃんと前説準備してるー!!!

これ、そんなに感動することか!?と思われるかもしれませんが、前説、それは劇場に入ってからようやく手をつける部分。(※個人の見解です)
必要事項を録音して放送しているのが比較的大劇場とか商業である話(宝塚とかだとトップさんがやってたりする)を踏襲している団体はまだいいけれど、いかにも前説で作品と全く関係ないことをやるために顰蹙買ってる人たちもいるアレですよ。(遭遇した)前説も作品の一部なんだったら最初からちゃんと台本に組み込んで作ってくれ。

いわば、

・録音アナウンスで十分なものをきちんと動画というある種1歩手間がかかるものとして作っている。動画なので単純に注目してもらいやすい。
・生前説ではないので単純な「言い忘れ」などがない。各回同じ注意になる。

というのは非常に良い。

● 作者も演出家も役者もかろうじて知り合いがいるから付き合いで見に来たけど「知らない作家/団体/役者の新作」ってリスク高すぎる

→特に小劇場って団体や作品の方向性が固まらないと全然フックもないから宣伝も「いい作品です!頑張ってます!!見に来てください!!!」って知らんがな自分の言葉で作品解説しろ作品解説をってなるよね!自己満ポエミーなあらすじなんか知ったこっちゃねえ、うんわかるわかる。広報用の企画書書くから準備稿は今はいいけどあらすじこれぐらいの分量で出せって言って「ない」って言われたことあるから!!どういうこっちゃ!!(荒)

ちなみにこの作品は前回公演の続編、という位置付けではあるけれど、実際に見て見てもその前提は必要なく、でも続編なので事前に前回公演の映像を使ったWebCMを公開(公演の2ヶ月弱前)

そして本番開始5分前に前回のおさらいしつつの予告編導入動画を放送。

・・・のみならず、劇中に出てくるIT用語解説動画も放送

ありがとうめっちゃわかりやすい。(IT知識ゼロ)

確かについつい見てしまうので「あっ、離席しにくい、始まる前にトイレ行きにくい!見たいし!」となってしまうけど、準備万端でケータイいじりながら待つより断然有意義な待機時間の活用。

● 「あ!この役の役者さんいいなーって思っても役名も名前もわかんなくって結局検索できなかった・・・」「ていうか役の立ち位置や関係性が見えない!!人物相関図ほしい!」

→客席置きの当日パンフレットに役者の役名写真付き配役プリントが入ってる!そうそう、芝居を見ているお客さんにとって欲しい情報ってのは「前情報なしの状態でここに来て、一時停止も巻き戻しもできない状況ででもその目の前の状況について行くためのガイド」。すなわち、「当日配布するものは誰に向けてなんのために作るか」を理解してるからこそなんだろうしそもそもこれ作中のイベントと同じデザインだからちゃんとこだわってるよね!!!
ちなみに登場人物紹介のページは独立したペラ1ページになっているので上演中に広げる必要がないというおまけ付き!ここまで考えられてるのはすごい。
「そういう人物相関図は芝居を見て理解するものだ」って主張する人はいるかもしれないけど、わかんないもんはわかんないし、わからなくなって戻れないともう芝居自体見にこなくなるから。ていうか2.5次元舞台がここまで興行的にも増えてるのって「すでにある程度わかってる」のと「わかんなくなってもなんらかの手段で後からでも補完できる」というセーフティネットがあるからだからね?

・・・・と、こんな感じで「お客様目線」「小劇場どころか観劇初心者目線」のストレスをだいぶ潰してる印象の公演でした。(個人の感想です)

あと、録音している声の音が雑音とか入ってなくて聴きやすい!

観劇してる時のストレスって、視覚的なものよりも音声的なものの方が不快感を与えやすいと思うので、意外と見落としならぬ聞落としといってもいいのかもしれないけれど、好印象。


どんなジャンルでもそうだと思うんだけど、「まず自分がエンドユーザーとして利用した上で」物事を考えるというのはすごく大事なことであって。
なんかそういう意味でも色々考えさせられました。



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